徹底解説!Cato Socket X1600

CatoクラウドのEdgeデバイスであるCato Socketに、新機種 X1600 が追加されました!

Cato Networks社よりお借りした実機を、ハードウェア好きの当社Catoチームが調査・検証しましたので、ご紹介します。

まとめますと、既存のX1500よりだいぶ大きくなっており、ポート数の多さが特徴的な機種です。

そもそもCato Socketって?

拠点をCatoクラウドへ接続するために設置する専用ハードウェアです。PoPへの接続や通信制御を行うオールインワンデバイスで、ゼロタッチで設置できるのが大きな特徴です。

2023年9月現在、以下の機種があります。

機種名 特徴 利用シーン
X1500 コンパクトながらCatoクラウドのすべての機能を備えたベーシックモデル。 小~中規模オフィス
X1500B X1500の改良型。サイズが少し大きくなり、ハードウェア・ファームウェアが一部変更されている。 小~中規模オフィス
X1600 今回ご説明するタイプ。2023年7月リリース。 中~大規模オフィス
X1700 主にデータセンタへの設置を想定した大型機。ラックマウント型。 データセンタ等大規模拠点
X1700B X1700の改良型。サイズが少し大きくなり、ハードウェア・ファームウェアが一部変更されている。 データセンタ等大規模拠点
vSocket ハードウェアではなく、パブリッククラウド用の仮想アプライアンス。AWS, Azure, VMware ESXi上で動作する。 パブリッククラウド

これがX1600です!

 

天板のCatoアイコンが印象的です。フロントのLEDはマルチカラーLEDで、接続中はCato色に点灯します。

外装はプラスチックで角が丸く、金属で四角いX1500よりも優しげな印象です。

背後のケーブルが汚くて恐縮です。当社のリアルな検証環境となっております。

ハードウェアスペック

以下にデータシートが公開されていますので、これに沿って実機を見てみましょう。

サイズ

幅256mm x 奥行き200mm x 高さ44mm です。

サイズ感を他の機器と比較してみます。上から、X1500, X1600, Cisco891FJ です。

X1500がとても小さいので、比べると大きく感じますね。X1500の倍以上のサイズとなっています。

なお、オプションでラックマウントキットの提供もあります。X1500のラックマウントキットは1ユニットに2台並べてマウントするタイプでしたが、X1600は1ユニットに1台をマウントするタイプとなっています。X1500同様に、電源アダプタも合わせてマウントできます。

また、X1600にはなんと壁掛けキットも用意されています。これは、将来的にWi-Fiモデルの提供予定があるため、アクセスポイントとしてオフィス内に設置する目的のようです。提供予定のモデルについては後述します。

重さ

本体が約1kg、電源アダプタが約200gでした。

なお、X1500の本体は700g程度でしたので、X1600は大きさの割に軽い印象です。

電源

12V電源アダプタが付属します。アダプタのサイズもX1500のものより一回り大きいです。

アダプタは、申込時に利用する地域を申告し、その地域の規格で提供されます。今回は、日本仕様で通常の100V電源・アース付きのプラグです。

本体側の接続部分はロッキングジャックになっており、プラグを差し込んだ後、ネジ式のロックを回して固定します。意図せず抜けることがないので安心です。

消費電力量は、アイドル時14.3Wh、ピーク時34Whです。

ファン

裏返すと底面にファンがあります。排熱は左右の側面から出るようになっています。

稼働中は、Socketを持ち上げるとファンの回転音がするのですが、底面を下にして置くと音が小さくなります。X1500と比べるとやはりX1500のほうが静かですが、X1600もオフィスに置いてうるさいということはないです。

スループット性能

X1600のMAXスループットは、上り下り合計で1Gbpsとなります。各Socketを比較すると下記です。

機種 MAXスループット(上り下り合計) (ご参考)Site帯域の目安
X1500/X1500B 500Mbps 300~400M程度まで
X1600 1Gbps 600~800M程度まで
X1700 3Gbps 600M以上
X1700B 10Gbps 600M以上
vSocket 仮想マシンのスペックにより可変

通常のご利用においては、上り下りが両方ともMAXに出続けるという状況はほぼないため、上記の目安帯域以上でも利用可能な場合が多いです。機種を検討される際は、Catoクラウドの担当エンジニアにご相談ください。

インターフェイス

X1600最大の特徴が、豊富なインターフェイスです。

背面の各ポートは以下のようになっています。左から順に解説します。

ポート名 解説
CONSOLE シリアルポートとMicroUSBが用意されていますが、他機種と同様、現在のところユーザは利用することができません。
1(WAN) 1GのCOMBOポートです。RJ45とSFPの口がありますが、どちらか一方しか使用できません。
デフォルトでWAN1インターフェイスとなります。WAN以外の用途には利用できません。
2 1GのCOMBOポートです。RJ45とSFPの口がありますが、どちらか一方しか使用できません。
WANにもLANにも利用できます。
3, 4 10GのSFP+ポートです。WANにもLANにも利用できます。
5 2.5GのRJ45ポートです。デフォルトでLAN1インターフェイスとなります。LAN以外の用途には利用できません。
6, 7 2.5GのRJ45ポートです。
8 2.5GのRJ45ポートです。デフォルトでManagementポートとなります。Socketの初期設定を行う際はこのポートにPCを接続します。

なお、デフォルト状態では1(WAN1)と5(LAN1)のみが有効化されており、その他のポートはDisableとなっています。使用する際は、CMA(Catoの管理画面)からインターフェイス設定を行い有効化する必要があります。

続いて側面です。

側面にはUSB3.0 を2ポート備えています。USB⇔Ethernetの変換アダプタを接続し、Ethernetポートとして利用することが可能です。また、機器の初期化を行う際はここに初期化用のUSBメモリを挿します。

以上インターフェイスの特徴をまとめますと、下記2点がポイントです。

SFP標準搭載、10G回線にも対応

X1700でもネットワークカードの追加によりSFP、SFP+に対応可能でしたが、X1600では標準搭載となっています。

Ethernetポートが最大2.5Gに対応

Cato Socketでは初となる、2.5G NICが搭載されています。対向機器が2.5Gに対応していれば、2.5Gでリンクアップします。Auto Negotiation対応ですので、もちろん従来の1G、100M通信にも問題なく対応します。

なお、ポートは高性能ですが、Socket本体の処理性能がX1700よりは低いため、前述のスループット性能には注意が必要です。

(ご参考)複数ポートを利用したLAN構成の例

通常の利用例では、Port5, 6, 7 をLAN側インターフェイスとして利用される場合が多いかと思いますが、X1600に限らず現行のCato Socketの仕様として、複数のLAN側ポートを同じセグメントに所属させること(Layer2 Portとして利用すること)はできません。各ポートはLayer 3 Portとなり、独自のセグメントを持つ必要があります。

以下に、LAN側ポートを複数利用する場合の構成例をご紹介します。いずれも当社にて動作検証済みの構成です。

  • 構成例A : ポートごとにセグメントを割り当てる例です。
  • 構成例B : ポートの下で複数のVLANを利用する例です。

なお、いずれの場合も、ポート間・VLAN間の通信は、なんと、デフォルトではいったんCatoクラウドへ出て戻ってくる大回りな通信となってしまいます

Socketで折り返しさせたい場合は、「LAN Firewall」機能にてルーティングとフィルタリングが可能です。LAN Firewallについては近日別の記事にてご紹介予定です。

他機種からの入れ替え方法

Siteで利用中のSocketを、X1500/X1700 から X1600 に入れ替えする場合は、現在のSocketをUnassignし、X1600をAssignし直す必要があります。Unassign後、X1600がAssignされ動作開始するまでの間、Siteは通信断となります。

また、CMA上のNetwork Analytics(Siteのトラフィックグラフ)がリセットされ、交換以前のトラフィックが閲覧不可となるためご注意ください。Eventsはクリアされず保持されます。

また、他機種同様に X1600 2台でのHA(Active/Standby)構成が可能ですが、異なる機種間でHAを構成することはできません。

派生モデルの展開予定

今回検証しているものは X1600 “Baseモデル” と呼ばれる機種ですが、将来的には、以下のような派生モデルの展開が予定されているそうです。

  • LTEモデル : SIMカードを内蔵し、X1600単体でCatoクラウドへ接続できる機種
  • Wi-Fiモデル : LAN側に対して、無線LANアクセスポイントを提供する機種
  • LTE+Wi-Fiモデル : 上記両方の機能を持った機種

今冬リリース予定のようですので、楽しみに待ちたいと思います。

※上記各モデルはBaseモデルへのモジュール追加ではなく、別機種扱いとして提供される模様です。モデルの変更には筐体交換が必要となる見込みのためご注意ください。正式な情報はリリース時に発表される予定です。

まとめ

Cato Socket X1600は、中~大規模オフィスへの設置を想定した最新機種です。X1500よりも高い処理性能と多種のインターフェイスを持ち、様々な利用ニーズに対応します。

現時点では、X1500とX1700の間を埋める中間機的な位置づけですが、派生モデル登場により独自の価値が出てくるものと期待しています。

今後の展開は、情報が入り次第当社サイトでもお知らせしますので、ぜひご確認ください。

著者について
Hitomi Watanabe

道産子ネットワークエンジニアです。
40%キーボードの愛好家です。

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