本記事は TechHarmony Advent Calendar 12/2付の記事です。 |
こんにちは。SCSKの江木です。
Goolge Cloud Next Tokyo ’23に参加してきたので、イベントの内容と感想を投稿します。
Google Cloud Next Tokyo ’23とは?
Google Cloud Next Tokyo ’23は2023年11月15日・16日に東京ビッグサイトで開催されたGoogle Cloudのカンファレンスイベントです。日本では4年ぶりの現地開催となりました。
本イベントは主に以下の内容で構成されています。
- 基調講演
- セッション
- ブレイクアウトセッション
- ハンズオンセッション
- Expo
- Innovators Hive
基調講演と各セッションではGoogle Cloudの最新情報や技術動向、国内外の企業での活用事例紹が紹介されます。ExpoではGoogle Cloudの最新サービス・ソリューション、パートナーのデモを体験できます。Innovators Hiveではデベロッパーやエンジニア向けに、Google Cloudのデモ体験や認定資格の最新情報が提供されます。
Google Cloudの最新情報を知れるだけでなく、パートナーや資格取得者同士の交流を深められるイベントになっております。
参加した基調講演・セッション
多くの基調講演・セッションに参加したので、表にまとめてみました。
日時
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基調講演・セッションタイトル
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11/15 10:00~11:30 | DAY1 基調講演 |
11/15 12:00~12:40 | 生成AIを活用したコンタクトセンターの顧客体験の変革 |
11/15 13:00~13:40 | 中外製薬がGoogle Cloudで進めるスケーラブルなMLOpsの構築と創薬への活用 |
11/15 15:00~15:40 | Google AIと電通デジタル∞AIの融合:PaLM2とVertex AIを活用したAI実装の新境地 |
11/15 16:00~16:40 | データ駆動型ヘルスケア:医療イノベーションの新時代 |
11/15 17:00~17:40 | 生成AI時代のMLOps実現方法とは? |
11/16 10:00~11:30 | DAY2 基調講演 |
11/16 13:00~13:40 | GKEを使い倒して機械学習/HPCに最適化されたKubernetes基盤を作る方法 |
11/16 14:00~14:40 | Street Fighter 6 アーキテクチャー大解剖 |
それぞれの基調講演・セッションについて記載していきます。
DAY1 基調講演
概要
生成AI、AIに関する新しいサービス、Google Cloudの生成AIソリューションの導入事例の発表
内容・感想
生成AIは今年最も話題になったテクノロジーであると話されていました。しかし、生成AIにはハルシネーション(嘘をつくこと)という課題があるので、大胆かつ責任あるAIが求められているそうです。
AIに関する新しいサービスが発表されていました!様々なサービスが発表されていましたが、その中でもDuet AI in Google Workspaceが気になります!すでに英語版はリリースされているのですが、ついに日本語対応するそうです。Duet AI in Google Workspaceではブログ作成、スライド作成、議事録作成を自動でしてくれるそうです!議事録作成を自動でやってくれたら会議に集中できるので、どれだけありがたいことか…
また、中外製薬株式会社様、株式会社ZOZO様の事例を紹介されていました。中外製薬様ではAlphaFold2とMed-PaLM2を使用して、創薬プロセスの効率化を図ったとのことでした。ZOZO様では、コーディネートの説明文をvertexAIとPaLM2を使用して生成したとのことでした。
生成AIを活用したコンタクトセンターの顧客体験の変革
概要
コンタクトセンターAI(CCAI)の主なサービス紹介と新機能発表
内容・感想
コンタクトセンターには、研修、業務効率と顧客、コスト効率などの観点で課題があるそうです。AIがこれらの課題解決になるのはわかっているが、解決に導くのが難しいとのことでした。
CCAIのサービスとして、Dialogflow CX、Agent Assist、Insights、CCAI Platformが紹介されていました。また、Dialogflow CXと連携しているvertex AI conversationというサービスを用いて、社内・社外データにグラウンディングされた生成AIを利用したカスタムチャットボットを作成できるとのことでした。このサービスでハルシネーションを防げそうですね!
本セッションを通して、CCAIの全体像を把握することができました。
中外製薬がGoogle Cloudで進めるスケーラブルなMLOpsの構築と創薬への応用
概要
中外製薬様で行われた創薬プロセスにおけるAI活用
内容・感想
1つの薬を生み出すには、10~15年の年月と3000億以上のコストがかかっていたそうです。また、これだけの時間とお金をかけても成功率は0.004%だそうです…
これだけコストがかかる創薬プロセスにおいて、タンパク質構造予測の自動化と臨床試験計画の手助けに生成AIのサービスを使用したとのことでした。
タンパク質構造予測にはAlphaFold2を使用したそうです。AlphaFold2はアミノ酸配列を入力すると、タンパク質立体構造を出力します。「未知のタンパク質の構造を知りたい」、「構造データが欲しい」、「立体評価を行いたい」というときに使用するそうです。
臨床試験計画にはMed-PaLM2を使用したそうです。Med-PaLM2はPaLM2を医学的な分野に特化させたモデルで、医学的な質問に高品質な回答をするそうです。プロンプトエンジニアリングがいらないほど、精度が良いみたいです。
このセッションを聞くまで、創薬プロセスにおいてどのようにAIを活用するのか検討がつかなかったので、非常に勉強になりました。
GoogleAIと電通デジタル∞AIの融合:PaLM2とVertexAIを活用したAI実装の新境地
概要
ビジネス・マーケティングの次世代化と∞AIのサービスの紹介
内容・感想
ビジネス・マーケティングでは「新たな価値/事業の創出・顧客対応の自動化→リッチなユーザニース・AIの成長→社内業務効率化・生産性向上」のAI利活用サイクルを回すことが大切であるとお話しされておりました。また、顧客ニーズは対話から引き出されるとのことでした。自分の経験でも身に覚えがあるので、かなり納得してしまいました。
∞AIのサービスとして、キャッチコピー案自動生成を行う「∞AI ads」と企業と顧客の対話を行う「∞AI Chat/Content」というサービスが紹介されていました。∞AI Contentにはチャットボットのコンシェルジュを自分で作ることができる機能があるそうで、かなり面白いと感じました。
PaLM2とVertex AIの話をあまり聞くことができませんでしたが、顧客のニーズや情報を引き出すためには対話が大事であるということを学ぶことができました。
データ駆動型ヘルスケア:医療イノベーションの新時代
概要
株式会社エムネス様の画像診断支援AIサービスとPSP株式会社様医療データ活用のサービスの紹介
内容・感想
医療業界はデジタル化が最も遅れている業界であることをお話しされてしました。
画像診断AIサービスは放射線科医の診断を手助けするためのサービスだそうです。医療データ活用サービスとしては、医用画像の保管を行うクラウドPACS、個人の健康を自分で管理するPHRアプリ、画像診断レポートから病名を抽出するツールを紹介していました。
医療業界ではデータドリブンが非常に重要であるということがわかりました。
生成AI時代のMLOps実現方法とは?
概要
生成AIのMLOpsについての説明とMLOpsに必要なサービスの紹介(vertex AI)
内容・感想
MLOpsはMLシステムを迅速かつ確実に構築、導入、運用するための標準化されたプロセスと機能のセットのことで、事前学習モデルの選定とプロンプト、アーティファクト、生成AIのアウトプットの評価、エンタープライズデータとの接続の話をされていました。
また、生成AI評価サービスとして、Automatic Metrics、AutoSxS、Safety Biasを発表していました。
実稼働するシステムを創るためには生成AIのアウトプットの評価とエンタープライズデータとの接続が重要であると感じました。
DAY2 基調講演
概要
IaaSの新サービスの発表、Google CloudのIaaS導入事例の紹介、Google Workspaceの活用事例、Google for Startupsの紹介
内容・感想
Google Cloudのインフラストラクチャーサービスの歴史の紹介に始まり、新サービスの発表がされました。Google Cloudのインフラストラクチャーサービスの導入事例として、株式会社カプコン様、北國銀行FHD様が紹介されていました!
Google Workspaceの導入事例として、TBS様が紹介されていました。Google Workspaceを展開したことでファイル共有が楽になったそうです。今後の展望としてはAppSheet、Duet AIの活用を掲げていました。
Google for Startupsは資金面、技術面、ビジネス面でスタートアップ企業をサポートするプログラムで、事例として、LUUPが紹介されていました。電動キックボードシェアで有名なLUUPがGoogle Cloudを利用していたことに驚きました。
GKEを使い倒して機械学習/HPCに最適化されたKubernetes基盤を作る方法
概要
GKE上で機械学習/HPCを行うためのリソースの選択、考慮するべきポイントを紹介
内容・感想
機械学習/HPCにGKEを使う理由として、「コンテナによる高い再現性とOSSエコシステム・フレームワークの活用」と「細かなパフォーマンスチューニングや柔軟なインフラ構成を実現」を挙げられていた。
「コンピュートリソースのコスト効率を高めるために、GPUを複数ワークロードで共有する機能やSpotVMsの活用する」、「CA(Cluster Autoscaler)やNAP(Node Auto Provisioning)を活用し、動的にNodeを増減できるようにする」など技術的な紹介が非常に多い印象でした。
Street Fighter 6 アーキテクチャー大解剖
概要
格闘ゲームであるStreet Fighter 6の概要とアーキテクチャーを紹介
内容・感想
近日話題かつ、私が普段お世話になっているStreet fighter 6が、どのようなアーキテクチャーなのかを紹介していました。
クロスプレイ、グローバル展開ということでCloud SpannerやGKEなどでアーキテクチャが実装されていました。このアーキテクチャーはランキングやユーザ管理の機能を実装するためのアーキテクチャーで、対戦中の通信はラグを考慮して、P2P接続だそうです。また、Spannerの良いところや悪いところ、Spannerでの実装テクニックを紹介していました。
普段プレイしているゲームの中身を見ることができて、とても楽しかったです。
見学したブース
セッションの隙間時間にExpoとInnovators Hiveの2つのエリアでブース見学をしてきました!
エリアごとにブースの内容を紹介していきます!
Expo
生成AI対応の新しい情報検索基盤 Vertex AI Search
Vertex AI Searchについて紹介していました。
Vertex AI Searchは企業内のドキュメントやデータベースから情報収集し、AIによる「意味検索」とキーワード検索を実現する検索エンジンです。生成AIによる要約、RAG(検索結果を参考にして、生成を補強する手法)、マルチモーダル検索に対応しています。
ブースではRAGのコーディングによる実装を見せてもらいました。
PaLM活用│次世代チャットアプリ
LLMであるPaLM2を用いたチャットアプリを紹介していました。
PaLM2 APIとCloud Runで実装しているそうで、Bardとは違い、エンタープライズ用のチャットアプリだそうです。
Let’s Talk with Romi
Romiという会話ロボットを紹介していました。
自動音声認識と音声を処理するコンピューティングでGoogle Cloudを使用しているそうです。
Google Cloudは使用していないそうなのですが、Romiは複数人の会話に対応しているということにとても驚きました。
Duet AI in Google Workspace ~ AIとの新たなコラボレーション ~
DAY1 基調講演でも紹介されていましたが、Duet AI in Google WorkspaceはGoogle Workspaceに秘書機能を追加したものです。
Duet AI in Google Workspaceを使うと、会議の議事録作成、文書作成、スライド作成、ブログ作成などをすべて自動でやってくれるそうです。英語はすでにリリースされており、ついに日本語対応するとのことでした。
ブースでは文書作成のデモを見せてもらいました!誤字脱字なく文書が作成されていたので、驚きました。
F1レースで活用。AIプラットフォームによる大規模なリアルタイム分析
Cloud SpannerのData Boostという機能を使って、F1レースのリアルタイムデータ分析を行っていました。
車のテレメトリデータ、気象データ、集計されたレースデータを統合するだけでなく、適切なタイヤタイプの予測も行っていました。
Fitbit と Google Cloud で実現するヘルスデータの可視化 & パフォーマンス解析
Fitbitアプリからヘルスデータを取得し、分析を行った後にLooker Studioで出力するということを行っていました。
複数人のヘルスデータを比較・分析できるので、会社の社員の健康管理に活用できるとのことでした。
THIS IS “Street Fighter 6”
話題の格闘ゲームであるStreet Fighter 6の構成図を紹介していました。
私はプレイしていませんが、写真のように試遊台が用意されており、Street Fighter 6を体験できるようになっていました。
Innovators Hive
Tech Base
Google Cloudのサービスを使ったアプリケーションが紹介されていたり、認定資格に似たクイズの挑戦ができるようになっていたりしました。
認定資格試験が近かったので、私もチャレンジしてみました!
Architect分野が50点、Data分野が60点、App Developer分野が60点と何とも言えない点数でした。
もっと努力しないといけませんね…
クイズの景品として、写真のポーチを3つもらいました!
認定資格者ラウンジ
Google Cloudの認定資格を持っている人だけが入れるラウンジで、資格保有者同士の交流を深める場所でした。
飲み物が無料でもらえたり、席にコンセントがついていたりしたので、ゆっくりくつろげました。
感想
2023年11月15日・16日の両日ともに、Google Cloud Nextに参加してみて、Google Cloudの最新情報や技術動向を学ぶことができ、非常に有意義な時間となりました。
特に、Google Cloudの最新サービスや機能の発表は、今後のクラウド活用を考える上で非常に参考になりました。また、各業界のリーダーによる講演では、Google Cloudを活用した先進的な取り組みを知ることができ、新たな視点を得ることができました。
また、普段から資格勉強をしているので、Google Cloudのサービスをある程度知っているつもりでしたが、いざイベントに参加してみると、まだまだ知らないサービスがたくさんありました。特に、機械学習やAI関連のサービスは、今後ますます重要になると感じました。
今回のイベント参加をきっかけに、Google Cloudの最新情報を常にキャッチアップし、より深く学んでいきたいと考えています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。