第10回 DRBD × LifeKeeperの高可用性リアルタイムレプリケーションを探る

こんにちは、SCSKの茂木です。

前回は「HULFT× LifeKeeper」についてご紹介しました。

今回はデータのリアルタイムレプリケーションを実現する
DRBD(Distributed Replicated Block Device)とLifeKeeperの可能性について探っていきましょう!

 

DRBDの概要

DRBD(Distributed Replicated Block Device)は、Linux環境で動作する
ネットワークベースのストレージレプリケーションソリューションです。

主に高可用性クラスタを構築するために利用され、データのリアルタイムミラーリングを実現します。
DRBDは、ブロックデバイスレベルでのデータ同期を行い、物理的に離れたサーバー間でデータを複製します。

 

データのリアルタイムミラーリングは魅力的ね

DRBDの特徴

続いてDRBDの4つの特徴について確認してみましょう。
DRBDを使用することでどのようなことができるのか、詳しく解説します。

※DRBD9:DRBDの最新バージョンです。様々な機能が追加されました。

リアルタイムレプリケーション

データをプライマリノードからセカンダリノードにリアルタイムで同期し、障害時のデータ損失を防ぎます。
通常のTCP/IPネットワークを利用してストレージの複製を行うネットワークレプリケーションを採用しているため、
特別なハードウェアを必要とせず、Linux環境とネットワークがあればすぐに導入可能です。
DRBD9では、Infini-Bandなどの高速ネットワークを活用することで、パフォーマンスの高い冗長化ストレージを提供します。

シームレスなストレージ冗長化

ファイルシステムよりも低いレイヤーで動作し、レプリケーションされたストレージをブロックデバイスとして提供します。
このデバイスは通常のストレージと同様に使用可能で、アプリケーションはミラーリングを意識せずに動作します。
これにより、リアルタイムでのデータ複製を行いながら、すべてのアプリケーションをシームレスに運用できます。

柔軟な構成

DRBDのマルチノード構成は、複数のノード間でデータをリアルタイムに同期し、システムの可用性を大幅に向上させます。
この構成により、単一障害点を排除し、データの一貫性を維持しながら、スケーラブルな環境を実現します。
特に大規模システムでの高可用性と信頼性を確保するために効果的です。
DRBD9からはメッシュ状に相互のノードを接続し、最大32ノードまでのレプリケーションが可能になりました。

オープンソース

DRBDはオープンソースソフトウェアとして提供されており、コミュニティによるサポートと継続的な開発が行われています。
これにより、ユーザーは自由にソースコードを利用・改変でき、コストを抑えつつ最新の技術を活用できます。

 

Disaster Recovery add-on

DRBDの理解が深まったところで、いよいよDRBD×LifeKeeperのご紹介です。

2024年9月25日より「LifeKeeper for Linux ver.9.9.0」において、
災害対策のための新たなオプション機能「Disaster Recovery add-on」の提供が開始されました。

「Disaster Recovery add-on」を使用し、DRBDリソースの設定と制御を行うことで、
遠隔地の災害対策サイトへのリアルタイムデータレプリケーションとアプリケーションのフェイルオーバーを行うことが可能になりました。

ここではDRBDやDataKeeperの問題点に注目することで、
「Disaster Recovery add-on」を使用するメリットを確認しましょう。

DRBDの問題点

  1. 手動管理
    フェイルオーバーやフェイルバックは手動で行う必要があります。管理者が介入してノードの切り替えを行います。

  2. 監視機能の制限
    DRBDはコマンドラインツールを通じて基本的なステータス(例:接続状態、同期状態)を確認できますが、
    リソース監視等の詳細な監視や自動アラート通知機能はありません。

DataKeeperの問題点

  1. マルチターゲット構成
    DataKeeperは3ノード以上のマルチターゲット構成をサポートしていません。

  2. 非同期レプリケーション
    非同期レプリケーションを使用することは可能ですが、パフォーマン面に課題があります。

Disaster Recovery add-onの使用

  1. 自動高可用性管理
    DRBDのデータレプリケーション機能に加え、LifeKeeperは自動フェイルオーバーとフェイルバックを提供します。
    障害発生時に自動でノードを切り替えることでダウンタイムを最小限に抑え、運用負荷を軽減します。

  2. 監視機能の拡張
    リソースの状態を継続的に監視し、問題が発生した際にアラートを発します。

  3. マルチターゲット構成(3ノード)
    Disaster Recovery add-onでは任意の同期モードを組み合わせた3ノード構成が可能です。
    物理的・地理的な配置や利用可能なネットワーク環境、トランザクションの種類と量、転送されるデータ量などに応じて、
    最適な同期モードを選択できます。

まとめ

  • DRBDはデータのレプリケーションに特化しており、手動での管理が必要です。
  • DataKeeperは同サイトでのレプリケーションを想定しているため、DR環境での利用に適していません。
  • Disaster Recovery add-onは、DRBDの機能を拡張し、システム全体の可用性を高めるための自動化と管理機能を提供します。

 

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1年間の使用権とサポートをセットとしてサブスク型オプション製品として提供されます。


※標準価格は1ノードあたり。LifeKeeperのライセンスと保守は別途必要。

最後に

今回はDRBDとLifeKeeperの可能性についてご紹介しました。

次回は実際に検証を行う予定ですので、ご期待ください!

著者について

SCSK株式会社
ソリューション事業グループ
基盤ソリューション事業本部
テクノロジーサービス部 第一課

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