クラウドにおけるデータセキュリティ強化の鍵!DSPMとは何か、導入のメリットと具体的な活用法を解説

みなさんこんにちは。

クラウド環境の利用が拡大する中で、最も重要な課題の一つがデータセキュリティです。クラウドには膨大なデータが保存されていますが、その中には機密情報や規制対象データが含まれていることも少なくありません。こうしたデータを適切に保護するために注目されているのが、DSPM(Data Security Posture Management)です。

本記事では、DSPMをこれから導入しようと考えている方に向けて、その基本的な考え方や導入メリットを解説します。

 

DSPMとは?

DSPM(Data Security Posture Management)は、クラウド環境に保存されたデータを中心に可視化し、分類し、保護するためのソリューションです。
従来のセキュリティ対策はインフラやネットワークが中心でしたが、DSPMはデータそのものに焦点を当てています。

クラウド環境でのデータ管理には以下のような課題があります。

  • 機密情報や個人情報がどこに保存されているかわからない
  • 不適切なアクセス設定によりデータが漏洩するリスク
  • 法規制(例:GDPR、CCPA)への準拠状況が不明確

DSPMは、これらの課題を解決し、クラウド環境全体のデータセキュリティ態勢を最適化します。

 

DSPMの基本的な機能

DSPMが提供する主な機能を以下にまとめます。

データの可視化と分類

DSPMは、クラウド環境に保存されているデータを自動でスキャンし、どのデータがどこに保存されているかを可視化します。また、データをカテゴリ別に分類し、たとえば「機密データ」「公開データ」「個人情報」などを識別してラベリングします。

リスク評価

保存されたデータに関連するセキュリティリスクを特定します。たとえば、暗号化されていない機密データや、広範囲に公開されたデータを検出します。

コンプライアンス対応

GDPRやCCPAといった規制への準拠状況を自動的に評価し、必要な改善点を特定します。

不適切なアクセス設定の検出

データに対して不適切なアクセス権限や公開設定がされている場合、警告を発します。たとえば、「パブリックに公開されたS3バケット」を特定します。

修復の自動化

検出された問題について、適切な修正手順を提案し、自動で修復することが可能です。たとえば、公開設定をプライベートに変更するなどのアクションを実行します。

DLP機能の統合

一部のDSPMはDLP機能を持っており、データの流出につながる怪しい挙動を検出、防御します。

 

DSPM導入のメリット

データ漏洩リスクの大幅な軽減

データがどこに保存され、誰がアクセスできるのかを把握することで、誤った設定や不適切なアクセスによる漏洩リスクを低減します。

運用効率の向上

従来は手作業で行っていたデータ分類やセキュリティ評価を自動化することで、運用担当者の負担を大幅に軽減できます。

コンプライアンス対応の強化

厳しい規制に準拠するためには、データ管理が欠かせません。DSPMは規制の要件を自動でチェックし、適切な対応をサポートします。

データセキュリティの統一的な管理

サードパーティ製のDSPMソリューションを利用することで、AWS、Azure、GCPなど複数のクラウドを利用している場合でも、統一的にデータを管理できます。

 

DSPM導入時に注意すべきポイント

クラウド全体のデータ構造を把握する

DSPMを効果的に活用するには、導入前に自社のクラウド環境でどのようなデータがどこに保存されているのか、大まかに把握しておくことが重要です。これはDSPMも完璧ではなく、検出されたデータの妥当性を確認する必要があるためです。

データ分類ポリシーの策定

DSPMはデータを自動で分類しますが、その分類基準は組織ごとに異なってきます。自社のセキュリティポリシーやビジネス要件に合わせた分類ルールを明確にしましょう。

運用体制の整備

監視対象が機密情報になるので、通常のインシデント対応ではなく、緊急度を高めたエスカレーションフロー等、特別な運用ルールを準備しておくことも検討すべきです。

 

DSPM導入のプロセス

現状分析

まず、現在のデータ管理状況を把握します。クラウド上のデータ量やリスクの高い領域を明確化しましょう。

要件定義

DSPMに求める要件を具体的に定義します。たとえば、「特定の規制への準拠」や「暗号化されていないデータの自動検出」、「DLP機能有無」などです。また、アラート通知頻度や通知方法など、運用要件の具体化が重要です。

ツール選定

DSPMツールは各社から提供されていますが、機能や対応クラウドが異なります。まず、自社のクラウド環境(AWS、Azure、GCPなど)に対応しているかを確認しましょう。また、必要な機能(DLP機能の有無、リアルタイム監視、コンプライアンス対応など)が備わっているかを比較検討します。

導入と設定

選定したDSPMツールを導入し、自社のデータ分類ルールやセキュリティポリシーに基づいて設定を行います。この際、クラウド環境内の各リソース(ストレージ、データベース、コンテナなど)を対象に、どのようなデータが保存されているかを整理し、適切な保護レベルを設定します。

運用開始と最適化

実際の運用を開始し、DSPMの有効性を検証します。検出されたアラートの精度や対応の迅速さを評価し、必要に応じて監視ポリシーのチューニングや体制、運用ルールの見直しを行います。

 

まとめ

DSPMは、クラウド環境に保存されたデータを適切に管理し、セキュリティを強化するための重要なソリューションです。特に、どのデータがどこに保存され、どのように保護されているのかを可視化する機能は、データセキュリティ対策の基本といえるでしょう。

一部のDSPMはDLP機能も統合しており、データ漏洩防止の面でも大きな効果を発揮します。これから導入を検討している方は、自社の課題を明確化し、適切なツールを選定することで、効果的なデータセキュリティ対策を実現してください。

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