こんにちは。SCSK 武田です。
先日、幕張メッセにて開催されたInterop Tokyo 2025に参加してきました。
主に生成AIに関するセッションや展示ブースを回ってきたので印象に残った内容をご紹介します。
印象に残った講演
文系人材のためのAIフル活用仕事術
スピーカーは(一財)実用英語推進機構 安河内氏 。
ChatGPTの音声機能を使って英会話授業をしているそうです。
安河内氏はAIからのアウトプットの質を高めるには工夫が必要とのことで
プロンプトを書く上での鉄則として以下5点を挙げていました。
①シンプルで明確に書け
- 長い指示は上手く通らないため、短く明確な言葉を使う。
- タスクが複雑な場合は、小さなステップや要素に分ける。
例)Aをやってください → Bをやってください → Cをやってください
②必要なコンテキストを提供せよ
- 関連する背景情報(誰が何のために)を提供する。
例)「あなたは英語教師です。日本の小学校高学年向けに問題を作成してください。」 - フォーマットとスタイルを指定する。
例)「ワークシートで」「200文字以内で」
③AIのクセを理解せよ
- 曖昧な指示には曖昧な結果しか出さないため、指示は具体的に明示する。
- 一度で完璧に出力するのは難しいため、最初の結果が期待通りでなくても内容を調整して再試行する。
④便利な表現を使い倒せ
- イラスト作成の場合
例)「アスペクト比を16:9で」「アニメ風にしてください」 - 問題作成の場合
例)「正解は1つにしてください」(この指定をしないと答えが2つ以上存在する問題を作ってきたりする) - 文書作成の場合
例)「フォーマルな文体で」「友達に話しかけるように」
⑤ルーティンワークを自動化せよ
- ルーティン業務を洗い出す。
- プロンプトを作成・保存し、定型作業を自動化する。
- 出力結果を確認し、プロンプトの改善を繰り返す。
※同じ単純作業を3回やったら敗北!
AIで変わるサイバー攻撃からネットワークとアプリを守るために今検討すべきこと
スピーカーはA10ネットワークス(株) 高木氏。
ビジネスで生成AIを利用する場合のリスク
AIに情報を提供することで、意図せず個人情報や企業機密が漏洩し再利用される。
また、ユーザとAIのやり取りを誰も把握していないことが脅威となるため、AIを見張る存在が必要とのこと。
AIを悪用する新たな脅威
ボットの生成スピードが上がり、ボットによるDDoS攻撃が増えると明言。
現状、通信、ホスティングサービスに対する攻撃が多く、他にも社会インフラ、ブロックチェーン、教育機関(大学等)等も標的となっているが、攻撃にかかるコストが下がることで、今まで対象外だった業種も攻撃対象になる可能性があるという。
また、AIを悪用したDDoS攻撃として適応型攻撃なるものがあり、防御対策に適応して方法を変えて攻撃してくるらしい。
どのような対策を講じるべきか
- 機密情報漏洩を防ぐツールを導入する
→AIにプロンプトを渡す前のチェックとAIからの出力チェックをしたり、生成AIとのやり取りをログに記録する。 - DDoS攻撃の防御対策をAIに支援させる
→攻撃者の行動を継続的に追跡・分析することで想定外の攻撃を検知したり自動防御する。
生成AIの比較
とある展示ブースにて、複数の有償版生成AIを利用されている方がいらっしゃったので各AIの特徴を伺ってきました。
項目 | ChatGPT | Claude | Gemini |
---|---|---|---|
得意なこと | 自然な対話、プログラミング | 要点をまとめる | 画像や音声など複数の形式を理解し情報提供する(マルチモーダル) |
弱点 | 自信満々に誤情報を話すことがある(ハルシネーション) | 応答が不安定なことがあり「病弱」な印象 | 日本語・ロシア語・韓国語の区別が苦手 |
画像生成 | 可能 | 不可 | 可能(精度はやや劣る) |
おすすめの活用方法 | ・雑談やメンタルケアのための話し相手になってもらう ・プログラムの生成やデバッグ |
・契約書や論文の要約 ・ビジネス文書の作成や校正 |
・写真や動画の内容説明 ・会議の議事録作成 ・図や表を読み取って分析 |
まとめ
AI活用における実践的なコツやセキュリティ面での留意点、生成AIの特徴についてご紹介しました。
私自身、これまで業務での活用経験はほとんどなく、プライベートでも日常的な質問や簡単な調べ物にCopilotを使う程度でしたが、Interopへの参加を通じて生成AIの可能性と活用方法について理解を深めることができました。
特に、AIが単なる便利ツールではなく、業務の質やスピードを大きく向上させる可能性を秘めていることを実感したので、今後は各AIの特性を踏まえた上で目的に応じて適切に使い分けることで、業務効率化や品質向上に繋げていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。