Google Cloud Generative AI Summit Osakaに参加してみた!

本記事は TechHarmony Advent Calendar 12/20付の記事です。

こんにちは。SCSKの江木です。

Google Cloud Generative AI Summit Osakaに参加してきたので、イベントの内容と感想を投稿します。

Google Cloud Generative AI Summit Osakaとは?

Google Cloud Generative AI Summit Osakaとは2023年12月14日にコングレコンベンションセンターで開催された、生成AIに特化したGoogle Cloudのイベントです。現地とオンラインの両方での開催となりました。

本イベントは主に以下の内容で構成されています。

  • 基調講演
  • セッション
  • 展示ブース

基調講演・セッションをメインで聞き、休憩時間で展示ブースを回るといったイベントでした。

参加した基調講演・セッション

参加した基調講演・セッションを表にまとめてみました。

時間
基調講演・セッションタイトル
14:05~14:30 【基調講演】生成 AI の未来:創造性とイノベーションの新たな時代
14:30~14:55 実践 生成 AI 〜 Vertex AI で始める Google の大規模言語モデルの活用〜
15:10~15:35 生成 AI 時代のデータ エンジニアリング入門 〜 Google Cloud で実現する 生成 AI データ エンジニアリングの第一歩 〜
15:35~16:00 生成 AI を活用した検索アプリやチャットボットを迅速に開発する 〜Vertex AI Search and Conversation 紹介〜
16:15~16:40 Duet AI がもたらす新たな働き方の世界
16:40~17:00 Google Cloud 生成 AI パートナー エコシステムのご紹介
17:00~17:15 生成 AI による SQL 作成支援機能と AI 活用文化の醸成
17:15~17:30 Vertex AI を使った社内情報高度検索実現への取り組み

それぞれの基調講演・セッションについて記載していきます。

【基調講演】生成 AI の未来:創造性とイノベーションの新たな時代

概要

生成AIの実用化に向けて、何が必要なのかを考える

内容・感想

生成AIが実験から実用へと踏み出した1年だったと話されていました。

生成AIは答えを知っているのか知らないのかではなく、工夫が裏でされていることが強調していました。学習された段階で知らない内容ではハルシネーションを起こすが、グラウンディングと呼ばれる技術によって、ハルシネーションを抑制することができるとのことでした。

先日発表されたGeminiを発表されていました。Geminiは、テキスト、音声、画像などを一度に処理できるマルチモーダルに対応しています。生成AIの応用の幅が一気に広がるのでとても楽しみですね!!

生成AIに必要な要素として、検索や会話が挙げられていました。意味が近いものを取り出すセマンティック検索、生成AIを用いたFAQの会話フローが紹介されていました。

確かに、現在世の中にある生成AIを使ったサービスには、検索と会話の要素が含まれていると感じます。

実践 生成 AI 〜 Vertex AI で始める Google の大規模言語モデルの活用〜

概要

Vertex AIを用いたLLMのカスタマイズ手法の紹介

内容・感想

生成AIを活用したソリューションを作るためのサービスであるVertex AIが紹介されていました。

基調講演でも話されていましたが、生成AIを用いる際にはハルシネーションという問題があります。このハルシネーションを抑制するにはグラウンディングの他にもプロンプトデザイン、ファインチューニングといったモデルのカスタマイズ手法があるそうです。

プロンプトデザイン、ファインチューニング、グラウンディングの手法がかなりわかりやすく説明されていたので、改めて勉強になりました。また、グラウンディングの実装手段として、LangChain、Vertex AI Search & Conversationが紹介されていました。

生成 AI 時代のデータ エンジニアリング入門 〜 Google Cloud で実現する 生成 AI データ エンジニアリングの第一歩 〜

概要

BigQueryを用いた非構造化データの分析

内容・感想

音声や画像などの非構造化データは重要な情報を持っており、ビジネスの差別化のために、活用することが求められると話されていました。

データエンジニアリングに生成AIを使用することで、非構造化データの活用、データへのAI/ML処理の実行、AIアシストによる効率的な分析が可能になるとのことでした。データエンジニアリングに生成AIを取り入れるためのソリューションとしてBigQueryを紹介していました。

BigQuery MLのGENERATE_TEXT関数を使って、文章の要約や感情分析などを行うデモが行われておりました。SQLだけでAIを用いたデータ分析ができるなんてすごいですよね!!

生成 AI を活用した検索アプリやチャットボットを迅速に開発する 〜Vertex AI Search and Conversation 紹介〜

概要

Vertex AI Search & Conversationの紹介

内容・感想

Google CloudのAIの統合基盤であるVertex AIの概要が説明されていました。Vertex AIのサービスの中でも、ノーコードで、Googleの最新基盤モデル、検索技術、会話AIの機能を組み合わせて体験を作ることができるVertex AI Search & Conversationを本セッションでは紹介していました。

Vertex AI Searchはマルチモーダルな検索、文脈維持のマルチターン、要約をノーコードで構築可能だそうです。グラウンディング機能もあるので、ハルシネーション抑制に効果的ですね。

Vertex AI Conversationは生成AIを利用したチャットボットを作ってくれるサービスで、作成したチャットボットの会話の要約、タスクの自動実行もできるそうです。

Vertex AI Search & Conversationの使用事例の紹介も行っていました。

日焼け止め開発でVertex AI Searchを使用した事例を紹介していました。日焼け止めのニーズを生成AIで検索することで、時間短縮を実現したそうです。

自転車が欲しいユーザーに適切な自転車を提案してくれるチャットボットを構築するためにVertex AI Conversationを使用した事例を紹介していました。マルチモーダル対応で自転車の写真付きで提案してくれるそうで、ユーザーとしてはかなり助かりますよね!

Vertex AI Search & Conversationのアップデート情報も紹介していました。先日発表されたGeminiに対応するそうで、ますますマルチモーダル化が進みますね!!

Duet AI がもたらす新たな働き方の世界

概要

Duet AI for Google Workspaceの紹介

内容・感想

Google Workspaceに生成AIの機能を追加したDuet AI for Google Workspaceを紹介していました。Duet AIの活用例として、ブログ作成、会議のリアルタイム字幕翻訳、AppSheetを用いたアプリ作成をデモで紹介していました。

ブログ作成のデモでは、チャットでAIに指示を出すことでブログを自動で作ってくれるといったものでした。他のブログのフォーマットを参照することもできるので、思い通りのブログをAIに生成させることができますね!

会話のリアルタイム字幕翻訳のデモでは、複数の言語をリアルタイムで翻訳してくれるといったものでした。また、会議に遅れて入ってきた人のために会議の要約を表示できたり、議事録の作成を自動で行ってくれたりするそうです。議事録作成しなくてもよくなるので、かなり便利ですね!

AppSheetを用いたアプリ作成のデモでは、作りたいアプリについてAIにチャットで指示することで自動でアプリを作成してくれるといったものでした。ノーコードでアプリケーション開発ができるので、誰でもアプリケーション開発ができる時代がついに来たと感じました。

Google Cloud 生成 AI パートナー エコシステムのご紹介

概要

株式会社スリーシェイク様によるAzure OpenAI/Google Cloud/AWSの3社の生成AI比較とh1-slack-botの紹介

内容・感想

Google Cloudの生成AIソリューション支援パートナーである株式会社スリーシェイク様が発表されていました。

Azure OpenAI/Google Cloud/AWSの3社の開発状況とともに3社の生成AIの比較を説明していました。3社の生成AIには以下のような特徴があるそうです。

  • Azure OpenAI(GPT-4 Turbo、gpt-4-1106-preview)
    • 高コスト、低速レスポンス、高品質レスポンス
  • Google Cloud(PaLM2 API、text-bison)
    • 低コスト、やや高速なレスポンス、シンプルな応答
  • AWS(Anthropic Claude2)
    • 高コスト、やや高速なレスポンス、高品質レスポンス

用途に合わせて使い分けすると良さそうですね!

3社の生成AIのLLM(大規模言語モデル)に対応したSlackのbotであるh1-slack-botを紹介していました。botにLLMを切り替えてほしいと入力するだけでLLMを切り替えてくれるそうです。h1-slack-botは現在社内で導入されているそうです。

生成 AI による SQL 作成支援機能と AI 活用文化の醸成

概要

日本特殊陶業株式会社様の生成AIによるSQL作成支援機能の社内導入とAI活用のための社内活動報告

内容・感想

社内データ活用のツールとして、コネクテッドシートが主流とのことでした。理由として、以下の3つが挙げられていました。

  • 表計算ソフトに慣れている
  • BigQueryコンソールが怖い
  • SQLを書いたことがない

これらの理由から、スキル教育が重要であると述べていました。しかし、教育だけでは難しいため、生成AIによるSQL作成機能を導入したとのことでした。私がSQLを勉強し始めたとき、このような機能があれば勉強がはかどっただろうなと感じました。

スライドにある通り、AIを活用するための活動を社内で行ったそうなのですが、以下の課題が発生したそうです。

  • 最初から完璧を求める
  • 複数業務掛け持ちによるAI技術者の不足

これらの課題を解決するために、完璧を求めない姿勢の浸透と、システム開発の優先順位付けを行ったそうです。その結果、コミュニティの参加人数は1か月で100人を突破したとのことでした。早い開発速度と意見を反映したシステムがウケたそうです。

Vertex AI を使った社内情報高度検索実現への取り組み

概要

株式会社LIXIL様による社内用生成AI活用システムの導入

内容・感想

生成AIを業務プロセスに組み込むことで業務効率が上がる一方で、重要な情報が流出する危険性があると説明していました。そこで社内用生成AI活用システムである「LIXIL AI Portal」を開発したそうです。また、以下の機能を紹介していました。

  • AI Tools
    • テキスト生成AIを利用できるツール
  • AI Collections
    • 登録したデータとテキスト生成AIを組み合わせたAIアシスタント作成機能

デモではAI ToolsであるAI Assistant、AI Programmerを紹介していました。

AI Collectionsの課題を解決するために、「LIXIL Search Portal」を開発したとのことです。以下の機能があるそうです。

  • Helpdesk AI
    • 社内固有の情報を回答するアシスタント
  • Products AI
    • 商品情報を回答するアシスタント

デモではProducts AIを紹介していました。Vertex AI Search & Conversationを使っているそうで、一箇所での検索を可能とするために、構造化データをすべて非構造化データに変換するといった工夫をされていました。

見学したブース

セッションの合間の隙間時間にブースを見学してきました。ブースにはMAPで色がついているGoogle Cloud Boothと黒色のPartner Boothがありました。私はGoogle Cloud BoothのBooth3とBooth4を見学しました。内容は以下の通りです。

  • Booth3:次世代のアプリ開発環境を体験「Duet AI + Cloud Workstations」
  • Booth4:AIとの新たなコラボレーション「Duet AI in Google Cloud Workspace」

Booth3では、コーディングを生成AIが手伝ってくれるというデモを紹介しておりました。Booth4では、セッションの紹介にあったDuet AI for Google Workspaceをより近くで見ることが出来るようになっていました。

感想

2023年12月14日、Google Cloud Generative AI Summit Osakaに参加してみて、Google Cloudの生成AIサービスの最新情報を学ぶことができ、とても勉強になりました。

セッションでは、ハルシネーションの抑制方法についてわかりやすく解説されていたことが印象的でした。生成AIの技術は、様々なクリエイティブコンテンツの生成に活用できる一方で、ハルシネーションのような副作用を引き起こす可能性があるので、ハルシネーションを抑制する方法を知ることは、生成AIを安全に活用するために重要であることを再確認しました。

今回のイベントは、生成AIの最新情報と知識を整理する良い機会となりました。今後も、生成AIの活用に積極的に取り組んでいきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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