SASE に関する実態調査について
昨年(2023年)に引き続き、今年度(2024年)も、SASE実態調査を実施しました。
SASE実態調査のきっかけは、SCSKで2021年より主要なSASE 4ソリューションを一同に紹介を行うオンラインセミナー「SCSK SASE Solution Summit(通称 S4 エスフォー)」となります。これまで 18 回開催しており、直近の2024年6月の開催では250名以上、延べ 1,800 名以上の方々にご参加頂いております。この S4 セミナー等を通じて多くの参加者の皆さまからのアンケートを集めると、SASEに関する世間の類似調査結果(例. SASE導入済み企業が4割、SASE導入着手企業が6割など)よりも、実際の認知度や導入率はもっと低いのではないかという仮説が上がっていました。
SASEは、昨年(2023年)より本格的な普及期に入ると予測されていましたが、海外と比べると日本国内でのSASE普及は遅れているとされていることもあり、2023年6月に外部調査企業の協力を得て、国内企業への実態調査を実施し、その調査結果(レポート)を無料公開しました。
昨年(2023年度)のレポートについては、以下のリンクよりダウンロードください。
https://www.scsk.jp/news/2023/pdf/20230809i.pdf
そして、今年(2024年)も、普及期におけるSASE認知度・導入率がこの一年間でどれくらい増加したのかを把握するために、ちょうど一年後(2024年6月)に同じ調査を実施し、その調査結果(レポート)を同じく無料公開したものとなります。
2024年度の詳細なレポートについては、以下のリンクより是非ダウンロードください。
https://www.scsk.jp/news/2024/pdf/20240905.pdf
SASE 認知度
SASE認知度が45%まで大きく向上しています。まだまだ認知度が低いのでは?、55%の人が知らないじゃないか?と言う方も居られると思いますが、このようなIT関連の調査において、特にITインフラに関する認知度は、50%を超えると非常に良い方で、60-70%に達成することはあまりありません。
「マイクロソフト」や「アップル」、「Windows」、「iPhone」であれば、認知度は90%を超える結果になると思いますが、例えば、「クラウド」、「AWS」、「Azure」、「GCP」などが 60-70%に達成することは、まずありえません。
広くIT関連業務へ従事する方へのアンケートとなりますので、インフラ業務に従事されていない方(ex. 開発業務の方)も含まれるからです。来年以降に同様の調査を実施すると、50%は超えるのでなないかと思いますが、60-70%に達するのはおそらく不可能だと思っています。
つまり、本調査での45%は、非常に高い認知度であることを示しています。
SASE 導入率(普及率)
SASE導入率(普及率)については、導入済み企業が 10%(10.0%)から16%(15.5%)と1年で大きく向上しました。
キャズム理論における初期市場であるイノベーター(2.5%)、アーリーアダプター(13.5%)の計16%、市場普及の溝(キャズム)を超え、メインストリーム市場に入ったことが判明しています。
現在導入中・導入計画中の企業を考慮すると、導入率は今後も大きく向上すると判断できます。
Catoクラウド認知度
一方で、調査結果(レポート)には掲載していませんが、昨年度と同様にCato Networks(ケイトネットワークス)社 Catoクラウド(Cato Cloud/Cato SASE Cloud)について個別の認知度調査を実施しております。
2023年は、Catoクラウドを知っている方は 12% という結果でしたが、2024年は 16%(+4%)と少ないながらも認知度が向上していましたが、まだまだ認知度が低いことが分かりました。
SASE 検討で気を付けるべきこと
SASEの認知度が大きく向上し、普及(導入)率においてもキャズムを超え、メインストリーム市場に入ったことが分かりました。また、Cato Networks社、Catoクラウド(Cato Cloud/Cato SASE Cloud)も少しづつ認知度が上がってきています。
Catoクラウドを取り扱うパートナー(ディストリビューター、リセラー)も急激に増えてきており、今では100社近くの企業が取り扱いを始めています。一般的な製品やサービスであれば、パートナー企業数は概ね100社程度で上限になるのですが、SASE は、ネットワーク・セキュリティ分野になるので、システムインテグレータだけはなく、通信事業者(通信キャリア含む)、ネットワークインテグレータ、通信機器メーカ等も参入し始めており、今後どこまでパートナーの数が増えるのかは分かりません(AWSのように700-800社になるかもしれません)
SASEは、企業ネットワークやセキュリティの代替となるサービスなのですが、単純な物販(モノ売り)として取り扱いをしているパートナーもあり、導入がきちんと行われておらず、その後のサポート・保守(マネージドサービス等)も提供されておらず、お客様が困って当社へご連絡が来る事例も増え始めています。
Catoクラウドのサービスを殆ど理解されず、多くの機能を活用できていない例もあります。
また、クラウドサービスなので、AWS等のパブリッククラウドと同じく、多くの場合はスモールスタートを行い、必要に応じて随時増速・アカウント追加を行うのが一般的なのですが、パブリッククラウドと異なるのは、お客様自身がクレジットカード決済で自由に増速・アカウント追加ができないことです。Catoクラウドでは、パートナー経由で、見積・注文を行うことが前提で、注文後にライセンス発行がされて初めて、増速・アカウント追加ができるようになっています。
つまり、パートナー(ディストリビューターおよびリセラー)の見積り作成・提示や、注文後の受注処理およびライセンス発行処理が遅いと、非常に困った事態になります。拠点の帯域が不足しているのに、いつまで経っても帯域増速ができない、従業員が増え、モバイルユーザのアカウントを付与したいのにできない等が発生します。
見積りの取得に数週間掛かったり、ライセンス発行に1ヵ月以上掛かる例もあるようです。
パートナーが急増し、Catoクラウドのエコシステムの形成がされ、全体のビジネスが拡大していますが、その一方で様々な弊害も出始めています。
弊害のひとつは、パートナー(ディストリビューターおよびリセラー)による劣化コピーの問題です。
劣化コピーとは、すでにある作品や表現などの、程度や品質が劣る模倣のことで、要するに出来の悪い二番煎じのことです。
例えばになりますが、当社の実施するCatoクラウドのお客様の導入事例(制作)や、2022年からリリースしているFAQシステムや、この技術ブログ(TechHarmony)を例にすると、後発でパートナー(ディストリビューターおよびリセラー)が、劣化コピーの導入事例を制作したり、劣化コピーのFAQサイトをリリースしたり、劣化コピーのブログ(?)をリリースしたりすることです。
劣化コピーではなく、お客様にとって「より良いもの」、今存在しているものより「さらに良いもの」をリリースして欲しいと思います。個人的には、そもそも同じようなものは紛らわしく、混乱を招くだけなので不要だと思っています。全体エコシステムを意識されるのであれば、劣化コピーを作る労力は、Catoクラウドに必要なもの「今は存在しないもの」をリリースすることに使って欲しいものです。
全体の意識がなく、案件ドリブンの競争(コンペ)としか見ることができないのだと思いますが。。。
最後に
SCSKでは、SASE を単純な物販(モノ売り)ではなく、お客様のビジネスインフラの根幹となるネットワーク・セキュリティと捉えています。
きちんとしたCatoクラウドのサービス紹介から、PoCを含めサービスのレクチャーから技術検証のご支援、その後の設計/構築(移行)はもちろん、導入後の各種マネージドサービスもフルラインナップでご提供しております。毎週新たなサービスや機能がリリースされるため、その情報発信も積極的に実施し、FAQを始めとし、お客様自身(セルフ)で問題解決できる各種施策を提供しております。
また、見積りを含む受発注やライセンス発行などのリードタイム(LT)も常に改善を図っており、特にライセンス発行に関しては15時までにご注文書をいただければ、最短で当日中にライセンス発行を行っております。
パートナーが急増し、劣化コピーも増えていますが、お客様導入事例、FAQ、技術ブログについては、是非オリジナルをご覧いただければ幸いです。
・SCSKが導入し、マネージドサービスを提供しているお客様の導入事例
・Catoクラウド FAQシステム
・SCSK技術ブログ(TechHarmony)
・Catoクラウド 導入・運用の悩みは“パートナー選び”で解決できる
・SASEに関するセミナー、Catoクラウド各種セミナー