意外と知らない?クラウドのダウンロード課金問題

本記事は 夏休みクラウド自由研究 8/21付の記事です

クラウドサービスのオブジェクトストレージの利便性

便利なストレージサービス

AWSのS3(Simple Storage Service)や、Google CloudのCloud Storage、Microsoft AzureのAzure Blob Storageなど、パブリッククラウド各社には代表的なオブジェクトストレージサービスが存在しています。これらは非常にシンプルで便利なストレージサービスです。とりあえずデータを入れておけば、連携するサービスや対応するソフトウェアが豊富にあり様々な活用ができます。さらに、ストレージ料金も非常に安価で、クラウド利用時のデータレイクとして最適です。

思わぬ課金項目に注意!

クラウド上のオブジェクトストレージは確かに便利ですが、その活用方法によっては想定に反して思わぬ請求が来てびっくりしてしまうケースが存在します。見落としがちな課金項目として挙げられるのが、クラウド外へのデータ転送課金です。

クラウド外へのデータ転送課金(ダウンロード課金)とは?

主要なパブリッククラウドにはデータをクラウド外に送信する際に従量課金が発生します。一般的にはEgress課金やダウンロード課金と呼ばれます。

クラウド内や他のリージョンでのデータ送受信はゼロ円もしくは極めて安価でほとんど気にする必要はありませんが、他のクラウドやオンプレミス環境、またはクライアントへデータをダウンロードする際にはGBごとに課金が発生します。

ダウンロード課金とは

この課金は単価が安いため見過ごしがちですが、使用量が増えるとコストがじわじわと上昇していきます。以下はあるオブジェクトストレージサービスにデータを保存してクラウド外に読み出しを行った場合の課金額シミュレーションです。読み出し量が多いと保存料金以上にダウンロード料金がかかることがわかります。

意外とかかるダウンロード課金

 

注意すべきユースケース

特に以下のようなユースケースでは、思いもよらなかった高額な課金になることがあります。

クライアント向けに頻繁にもしくは大量にデータ送信するケース

ファイル配布、モジュール配信、ファイルサーバ利用など、様々なユースケースが考えられますが、データ量が大量になったり、データの送付先・配布先が大量になるケースは場合によって注意が必要です。

クライアント向けに大量にデータ送信するケース

マルチクラウド環境でのデータ活用

パブリッククラウドの大手各社はデータ活用領域でも様々な魅力的なサービスを提供しています。各社の強味や特性を活かすために様々なクラウドサービスへデータを連携させていると、結果としてデータレイクやデータベースの存在するクラウドからのEgressトラフィックが増加します。

マルチクラウド環境でのデータ活用

ハイブリッド環境でのデータ連携が多いケース

様々な理由があってパブリッククラウドとオンプレミスもしくはパブリッククラウド以外のクラウドサービスとの組合せ構成をとる場合。ある程度のEgress発生は想定内のはずですが、ハイブリッド構成をとるシステムが増えてくると意図せずEgressが多くなるケースが発生しえます。

ハイブリッド環境でのデータ連携が多いケース

 

解決策

この課金問題を回避するための方法をいくつか記載します。

解決策1:データ連携の多いシステムやサーバは同じクラウドに配置する

外に送るのにお金がかかるのなら送り先を中にしてしまおうという発想です。
クライアントなどもクラウド内に置いておけば追加のダウンロード料金が発生しません。
複数のクラウドを利用する必要がない場合は、これが最もシンプルな解決策です。

解決策2:ダウンロード課金がかからないサービスを活用する

複数のクラウドを使い分ける必要がある場合や、どうしても外部へ大量のデータを送らなければならない場合には、こちらの方法が適しています。Egress従量料金の代わりに固定の回線費用が発生する場合もありますので、扱うデータ量によって最適な構成の見極めが必要です。

ダウンロード課金がかからないサービス

 

まとめ

ダウンロード課金による予想外のコスト増加を避けるためには、データの取り扱い方をあらかじめ計画し、最適な配置を行うことが重要です。
1つのクラウドですべてが完結する場合は問題ありませんが、複数のクラウドを利用する場合は特に注意が必要です。

オンプレ回帰は最適解か?

最近「オンプレ回帰」というワードを良く耳にします。クラウド利用したは良いけど、様々な理由で効果が出ずクラウドの利用をやめてオンプレミスのシステムに戻るという動きです。オンプレ回帰の理由の1つにコストの最適化があげられます。課金の仕組みをただしく理解して最適なデータ配置をすれば、コスト上昇を抑えてパブリッククラウドを利用し続ける事も可能と考えます。先進的なサービスが次々と実装されるパブリッククラウドの利用をあきらめるのはDXを推し進める上でもデメリットと考えています。今回の記事が読者の皆様のDX推進の一助になればうれしいです。

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SCSKではUSiZE(ユーサイズ)というプライベートクラウドを提供中です。
USiZEには今回の記事でテーマにしたダウンロード課金はありません。
またSCNXというパブリッククラウドとの優れた接続性を有するサービスとも直結しており、
これによりパブリッククラウドとの連携も低コスト、低遅延で行うことができます。
直近でデータの蓄積場所として活用いただけるクラウドストレージというサービスもリリースをしております。
今回の記事に該当するようなお悩みをもっている方は、是非選択肢の一つとして「USiZE」をご検討頂ければと思います。

 

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