こんにちは。SCSKの上田です。
昨年、Zabbix Cloudというサービスがリリースされました。監視ソリューションとして実績のあるZabbixがSaaS型になり、インフラの準備無しで監視を開始できるという点が注目を集めています。
本記事では、Zabbix Cloudを実際にセットアップし、その特徴や可能性を探っていきます。
はじめに
そもそもZabbixとは?
Zabbixは、エンタープライズ対応のオープンソース統合監視ツールです。
サービスやそれを支える ITシステム(サーバ、ネットワーク機器等)の状態を把握し、障害の予兆やサービスへ影響を及ぼす事象が発生した際に、システム管理者やオペレータに通知を行うオープンソースの統合監視ソリューションです。
数万デバイス規模のエンタープライズ環境でも多数の稼動実績を誇っています。
Zabbixの詳細情報については、以下リンクよりご確認ください。

Zabbix Cloudとは?
Zabbix Cloudは、この実績あるZabbixをSaaSとして提供するサービスです。インフラのセットアップやメンテナンスを気にすることなく、Zabbixの監視機能を利用できます。
Zabbix Cloudの詳細情報については、以下リンクよりご確認ください。(まだ日本語のページがないため、英語版になります)

セットアップしてみた
それでは、実際にセットアップする手順をご紹介します。
アカウントの作成
まず、先ほどのサイトから、【Try Zabbix Cloud】をクリックします。
すると、ログイン画面が表示されます。
まだアカウント未作成でしたら、【Sign up】をクリックし、アカウントを新規作成します。
アカウントを作成したら、登録したメールアドレスとパスワードでログインしましょう。メールアドレス宛にワンタイムパスワードが届きますので、そちらを入力することでログイン可能です。
ログインすると、以下のような画面が出てくると思います。
こちらがZabbix Cloudの管理コンソール画面となります。ここからノードの作成・管理したり、支払い情報を入力することができます。
Zabbix Cloudは無料で5日間のトライアルが可能なので、今回は無料で使える範囲でノードを作成してみます。
ノードの作成
必要事項を記入して、ノードを作成します。
①Name
Zabbixサーバーのホスト名です。DNSにも自動で登録されるため、このFQDNでWEB管理コンソールにアクセスすることなります。自動で割り当てられますが、自分好みに変えることも可能です。
今回は自動で割り当てられた使います。(イイ感じの名前が出るまでF5しました)
②Region
現時点では以下の5つから選べます。
分類 | リージョン |
USA | N.Virginia |
EU | Frankfurt |
Ireland | |
Asia Pacific | Singapore |
South America | São Paulo |
残念ながらまだ日本リージョンは無いので、同じアジアのシンガポールを選択します。
③Compute
NVPS (New Values Per Second:1秒当たりの監視数)に応じて選択できます。
無料トライアルはNano限定なので、今回はNanoを選択します。
④Disk size
監視データを保管するディスクサイズを選択できます。10GB~16TBまでの間で選択できます。
無料トライアルは10GB限定なので、今回は最小の10GBを選択します。
Zabbix Cloudの料金は、③と④のスペックによって決まってきます。自身の監視要件に見合うスペックは、公式のツールを使って算定することができます。

監視対象ホスト数、アイテム数、監視間隔によって自動で最適なマシンスペックを算出してくれます。
ちなみに、最大のスペックである2xLargeが10,000NVPS対応なので、それを超えるメチャクチャなスペックを入力すると怒られます。
これらの入力が終わったら、「Create new node」をクリックし、ノードを作成しましょう。
すると、ノードの作成が始まります。5分程度待って、Initializingが100%になると、ノードが完成します。
ステータスがRunningになれば作成完了です。
Zabbixの設定
それでは、Zabbixにログインしてみましょう。ホスト名のリンクをクリックすると、見慣れたログイン画面が表示されます。
(DNSの反映に若干時間がかかる場合があるようです。アクセスできない場合は気長に待ちましょう。)
いつも通り、Admin / zabbixでログインしたいところですが、、初期パスワードは別で設定されています。
ノードの右上の歯車マークをクリックし、ノードの設定画面に行きましょう。
ここで、初期パスワードのコピーや設定ができます。
この認証情報をもとに、Zabbixにログインしてみましょう。
見慣れたZabbixの画面が出てきました!
初期設定は英語のUIなので、【Administrator > General > GUI】で設定を開き、【Default Language】を【Japanese】に、【Default time zone】を【(UTC+09:00)Asia/Tokyo】に変更しましょう。
これでいつものZabbixのように、監視ホストの登録やアイテム・トリガーの設定ができます。
Zabbix Cloudでできること、できないこと
ここまでZabbix Cloudのセットアップ方法を紹介してきました。そんなZabbix Cloudの強みと、できないこと(これからに期待すること)を書いていきます。
Zabbix Cloudの強み
セットアップが簡単
今までOSを用意するところから始めていたZabbixのセットアップが、SaaSになったことにより数クリックでZabbixサーバーを構築できるようになりました。OSの管理からも解放されます。
拡張が簡単
これもSaaSの特徴ですが、監視対象の増加に伴い、スペックを簡単に拡張することが可能です。そのため、初期のサイジング設計が最小限で良くなります。
バージョンアップが不要
自動でZabbixのバージョンアップが行われるため、自分でバージョンの管理をする必要がなくなりました。
Zabbix Cloudの弱点、まだできないこと
いくつかの機能が使用不可
OSレイヤが触れない関係上、監視スクリプトなどオンプレ版では使用できたいくつかの機能が使用できません。
週一回のメンテナンスでダウンタイム発生
週一回、1時間のメンテナンス時間があります。この時間帯は監視の停止が発生してしまいます。
日本語サポートしていない
ドキュメントやサポートがまだ日本語対応しておらず、英語しかありません。オンプレ版ではEnterpriseサポートとして日本語でのサポートに対応していますが、Zabbix Cloudは英語でしか問合せができないようです。
またリージョンが日本にないため、レスポンスの遅延があったり、国外サーバー利用の制約もユーザーによってはあるかと思います。
まとめ
まだリリースしたてのため、できないこともありますが、監視ツールとして実績のあるZabbixのSaaS化は注目すべき動向です。
今時点ですぐにZabbixの利用を始めたいという方には、オンプレ版をお勧めします。弊社ではZabbixの設計構築、サポート、アプライアンス機器の販売を行っています。Zabbixの導入や運用でお困りの方は、是非弊社にお声がけください!
SCSKでは、今後もZabbix Cloudの検証を進め、機能アップデートの紹介や、オンプレ版Zabbixとの比較、他SaaS監視サービスとの比較などの記事を作成していく予定です。
ところで、SCSKは今年もInterop Tokyo 2024のZabbixブースに出展します。今年はZabbix Cloudに関するショートセミナーを開催する予定ですので、もしInteropにいらっしゃる方がいましたら、是非Zabbixブースにお越しください!

今後のZabbix Cloudの動きに注目しましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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