Microsoft AI Tour Osaka 2025 参加レポート

こんにちは。SCSKの清水です。

2025/9/10(水)に開催された「Microsoft AI Tour Osaka」に参加しましたので、その参加レポートを投稿します。本記事では、基調講演の内容を中心に、イベントの雰囲気や得られた気づきをレポートしていきます。

はじめに

イベント概要

Microsoft AI Tourは、世界各地で開催されているMicrosoft主催のAIイベントシリーズで、最新のAI技術や活用事例を紹介する場として注目を集めています。今回の大阪開催は、日本国内では東京に続く2回目の開催となり、関西圏の技術者・ビジネス関係者に向けて、AIによる業務変革や組織づくりに関する知見が共有されました。

イベントでは、Microsoftの最新AIソリューションに関する講演やデモが行われ、基調講演から技術セッション、展示ブースまで幅広いコンテンツが展開されました。

Microsoft AI Tour Osaka
「Microsoft AI Tour Osaka」は、AI の最新イノベーションを体験し、業界のソートリーダーや専門家とつながることができる、ビジネスリーダーと開発者のためのイベントです。キーノート、ブレイクアウトセッション、ハンズオン ワ...

参加目的

私はPowerPlatform関連、特にCopilot Studio目当てで参加しました。

Microsoft Build 2025でも多くのアップデートが発表されて、それらの機能がパブリックされていっています。機能としては理解しているものの、どのように活用するかのアイデアを収集したいと考え、参加を決めました。

基調講演

基調講演のタイトルは「Becoming Frontier: AI で実現するフロンティア組織への進化とビジネス変革」です。基調講演では、日本マイクロソフトの代表取締役社長である津坂 美樹氏が登壇されました。ここでは、基調講演の内容を少し紹介します。(内容の解釈に一部誤りがあるかもしれません。ご参考までに。)

基調講演は2025/9/21現在、Youtubeにてアーカイブ配信されています。ぜひ実際の講演内容をご覧ください。

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なお、基調講演とは「イベントの冒頭に行われる中心的な講演で、テーマや方向性を示す講演」のことです。

フロンティア組織への進化

フロンティア組織とは「AIを活用して様々な課題を解決するためにAIトランスフォーメーションを推進している企業」と定義されました。フロンティア組織になるために、Microsoftがどのように支援ができるか、というのが基調講演のメイントピックです。

基調講演では、フロンティア組織になるための成功の枠組みとして、以下の4点が挙げられていました。この4点の枠組みに対して、CopilotなどのAIソリューションを用いてアプローチすることでフロンティア組織への進化に至るということでした。

  1. 従業員エクスペリエンスの強化
  2. 顧客エンゲージメントの強化
  3. ビジネスプロセスの再構築
  4. イノベーションの加速

以降ではフロンティア組織の具体例として、Zavaという架空の企業を題材に、MicrosoftのAIソリューションのデモを交えながら、戦略立案~開発までのシナリオが説明されました。

最近のAIイベントでは、技術の仕組みや機能紹介よりも、「業務にどう活かすか」「どのような成果が出ているか」といった活用事例の紹介が中心になってきている印象を受けます。

Copilotを代表としたAIが“使えるサービス”として展開されている今、企業や組織が次に向き合うべきは“どう使うか”という問いなのだと改めて感じます。

それでは、4点の成功の枠組みに対してもう少し詳しく話していきます。

①従業員エクスペリエンスの強化

AIを活用して社員の業務効率や創造性を高め、働き方そのものを進化させることです。
AIが単なるツールではなく、社員の判断力や創造性を引き出す存在として機能します。

ここで登場したのがM365 Copilotです。M365 Copilotが情報収集だけでなく分析といった複雑な思考を担ってくれます。M365 Copilotのリサーチャーエージェントやアナリストエージェントは2025/6に公開された機能のため、まだ業務に活用していない人も多いのではないでしょうか。
また、Copilot Studioではより社内の規定といった特定の社内情報のみを参照するカスタムエージェントを作成できます。M365 Copilotのみでは手の届かない領域もCopilot Studioを使用することで幅広い領域をCopilotに任せることができます。

活用されたソリューション Zavaでの活用シーン
M365 Copilot リサーチャーエージェントによってZavaの脅威となる競合他社の情報を収集。
アナリストエージェントによってローンチ戦略を分析。
Copilot Studio 社内の様々な規定情報を参照したカスタムエージェントを作成。
Zavaの情報を参照してローンチ計画を策定。

②顧客エンゲージメントの強化

人間が従来行っていた作業をAIが代理で担うことで、これまでにない顧客体験を創造することです。
例えば、コールセンター業務などはこれまで人間が担っていたことで、応対時間や応対数に制限がありました。これをAIに置き換えることにより24時間365日で即時対応可能なサービスを提供することができます。

また、AIを活用することで顧客のニーズを製品開発やマーケティングに迅速に反映させることができます。GitHub Copilotでは自然言語によるプロトタイプ開発から本番リリースまでのプロセスを短縮します。今回は特にVibe Codingの代表的な機能であるGitHub Sparkが紹介されていました。
さらには、AIを製品に組み込むためにAzure AI Foundryを使用します。1000を超えるモデルを選択可能で、独自のAIを柔軟にカスタマイズしてアプリケーションに配置することができます。

活用されたソリューション Zavaでの活用シーン
GitHub Copilot 開発チームがマーケティング部門によるテストを想定した新アプリを迅速に発案及び試作
Azure AI Foundry 開発チームがアプリを改良し、大規模展開に向けて強化

③ビジネスプロセスの再構築

エージェントを活用することを前提として、既存のビジネスプロセスを再構築することです。

ここではM365 Copilot+Excelでの財務調整エージェントが登場し、このトピックの主役でした。この機能は2025年リリース サイクル2でリリース予定の機能になっており、イベント開催時点ではリリース前の機能です。
(具体的な機能性については私の理解が及んでいない点がありますが)Excel上にエージェントが搭載され、データ分析やレポート作成の負荷が大幅に軽減されます。

活用されたソリューション Zavaでの活用シーン
M365 Copilot+Excel 財務調整エージェントを自律的に動作するように訓練
Dynamics 365 財務部門がエージェントを活用し、期末締め処理を自動化
Microsoft 365 2025 年リリース サイクル 2 の財務エージェントの概要
Microsoft 365 2025 年リリース サイクル 2 の財務エージェントの概要

④イノベーションの加速

ここでは特に、蓄積された膨大なデータを活用して新たなプロダクトを創造すること(を継続していくこと)、とされています。
当然ですが開発された製品・サービスはリリースされたのちに改善活動を繰り返していきます。このとき、ユーザーから収集したデータをどのように活用できるかが継続的なイノベーションに欠かせません。

ここでMicrosoft Fabricが登場します。Microsoft Fabricはデータ統合プラットフォームとして多様な機能を有しています。
今回は特にデータの可視化としてデジタルツインの機能が目玉だったかと思います。Microsoft Fabricで様々なチャネルから蓄積されたデータをもとにデジタルツインを構築します。デジタルツインを活用することで対話型に、よりユーザーが親しみやすい形でデータを活用することができます。

活用されたソリューション Zavaでの活用シーン
Microsoft Fabric 研究開発部門がFabricのデジタルツインを活用し、反復的改善、イノベーション、パフォーマンスの監視を実施
Microsoft Azure 研究開発部門がAzureを活用し、データの可視化とエージェントによるデータ活用を実施

基調講演の感想

特に印象的だったのは、事例を用いるのではなく、MicrosoftがZavaという架空の企業を用いて、AIソリューションによる業務変革の流れを具体的に描いていた点です。マーケティング、開発、財務といった部門ごとにCopilotやFabricなどのツールがどのように活用され、組織全体が“フロンティア化”していく様子が示されていました。単なる機能の紹介ではなく、AIによる組織進化の“解像度”が高まったと感じました。

以上、簡単に基調講演のまとめになります。
この他に大阪府の吉村知事などフロンティア組織のリーダーが各組織での取り組みを紹介する内容もありますので、ぜひYoutubeのアーカイブ配信をご覧ください。

さいごに

全体の感想

今回のMicrosoft AI Tour Osakaは、技術者としての視点からも、実務に携わる立場からも、非常に充実した体験となりました。
イベント全体を通して、MicrosoftがもたらすAIの可能性を肌で感じることができ、何より純粋に楽しく、刺激的な時間でした。

特に楽しめた要因は、紹介された内容が自分のスキル領域と高い親和性を持っていたこと。PowerPlatformやCopilot Studio、Azure AI Foundryなど、日々関わっている技術がどのようにフロンティア組織の構築に活かされているかを明確にイメージできました。

また、Microsoftの吉田大貴さん、ギークフジワラさん、増田雄一さんといった著名な技術者・エバンジェリストの方々の話を直接聞けたことも大きな収穫です。彼らの語るビジョンや現場感は、資料や動画だけでは感じられない熱量を伴っていて、ただ話を聞くだけでなく実感としての理解が得られたように思います。

このイベントを通じて得た知見や気づきを、今後の業務や社内発信にどう活かしていくかが次のチャレンジです。

Microsoft AI Tour 2026に参加するには

東京開催の日付が公開されており、2026/3/24のようです。最新の情報は以下のサイトからご確認ください。

Microsoft AI Tour Osaka 2025では事前登録が必要でした。1か月ほど前から満席になり、キャンセル待ちになっていましたので、お申し込みはお早めに!

Microsoft AI Tour
Take the inside track to the AI frontier at the Microsoft AI Tour. Learn from experts, explore real-world strategies, an...
著者について

Microsoftサービスを使用したアプリケーション開発を主に担当。
PowerPlatformの進化に置いて行かれないように日々勉強中。
最近はMicrosoft MVPの方々のX(旧Twitter)を見るのが日課。

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