AWS12冠をノーミスでクリアできた学習法と感想

こんにちは。SCSK石原です。

2023年1月にAWS PASに合格してAWS12冠となりました。全ての試験に一発合格できましたので、学習法と感想を記事にします。

これからAWS認定試験を受験される方、今年度に追い込みをかける方、来年度に全冠を目指す方の参考になれば幸いです。

学習スタイル

全試験共通で基本的には下記の学習手順を実施していました。

  1. 試験ガイドを斜め読み
  2. サンプル問題(10問)を解く。この時点で下記の基準で試験をスケジュールする。※
    1. 7問以上正答 → 2週間後に試験をスケジュール
    2. 4-6問正答  → 1か月後に試験をスケジュール
    3. 正答3問以下 → 1か月半後に試験をスケジュール
  3. 書籍が発売されているものは1冊手に取って、ざっと目を通す。
  4. 試験ガイドに記載のある「試験の対象となる主要なツール、テクノロジー、概念」を確認し、わからないものについてはBlackbeltの資料を読み漁る
  5. AWS Well-Architectedまたは、AWS Well-Architectedレンズを確認しておく(英語ドキュメント→翻訳を推奨)
  6. ハンズオン(または、AWSコンソールで設定画面くらいは見ておく)
  7. 問題集を解く(公式問題集など)
試験日程が決まることで、無理やりモチベーションを高めることができます。

おすすめ受験順序

各試験を受験してきた感想として、下記の受験順序をおすすめします。ポイントは下記のとおりです。

  • SAPはアソシエイト試験を全て取得してから受験する
  • SCS→ANSはNW周りについて試験範囲が重複するので、近い日程で受験する
  • DBS→DAS→MLSはデータを扱うという点で試験範囲が重複するので、近い日程で受験する
  • PASはAWSというよりかはSAP(ERP)の色が強いので、一番最後に受験する

※2023/03/19 DOPの記載が漏れていたので追記しました

 

AWS12冠までの道

受験日と各試験のスコアは下記の通りです。会社にて受験料を負担していただける時期に受験をしていたため、DAS受験からDOP受験まで半年ほど期間が空きました。

個人的な難易度の列については、完全な主観になります。

試験コード 試験名 スコア 受験日 個人的な難易度(5段階評価)
SAA-C02 AWS Certified Solutions Architect – Associate 838 2020-10-29 ★★
SAP-C01 AWS Certified Solutions Architect – Professional  916 2021-07-31 ★★★★★
SOA-C02 AWS Certified SysOps Administrator – Associate 754 2021-12-10 ★★★
DVA-C01 AWS Certified Developer – Associate 809 2022-01-28 ★★
DAS-C01 AWS Certified Data Analytics – Specialty 819 2022-02-25 ★★★
DOP-C01 AWS Certified DevOps Engineer – Professional 868 2022-08-22 ★★★★
SCS-C01 AWS Certified Security – Specialty 839 2022-09-02 ★★★
ANS-C01 AWS Certified Advanced Networking – Specialty 755 2022-09-21 ★★★★★
MLS-C01 AWS Certified Machine Learning – Specialty 828 2022-11-07 ★★★★
DBS-C01 AWS Certified Database – Specialty 824 2022-12-02 ★★★
CLF-C01 AWS Certified Cloud Practitioner 891 2022-12-23
PAS-C01 AWS Certified: SAP on AWS – Specialty 822 2023-01-23 ★★★★

 

AWS Certified Solutions Architect – Associate

学習時間:60時間

初めて触れるAWS、初めてのAWS認定試験ということもあり、一番学習時間を要しました。試験ガイドやサンプル問題を見ても全く分からなかったため、1か月半後にとりあえず試験をスケジュールしました。その後は下記の順番で学習を実施しました。この時点ではAWS Well-Architectedを読めるほど体系的な知識がなく、Web上の記事を見ても迷子になるため整理された教材をメインに利用しました。

  1. 書籍:「この1冊で合格! AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト テキスト&問題集」
  2. Blackbelt:VPC、EC2、RDSなど
  3. Udemy(講義+ハンズオン):「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」
  4. 問題集

初めての受験なので、テストセンターで受験するために必要な手続きや身分証明書などの確認も必要でした。

AWS Certified Solutions Architect – Professional 

学習時間:50時間

AWSの基盤構築案件に関われそうということが見えてきて、なら「AWS SAP」くらいとっておいたほうがいいかなというモチベーションで受験しました。この頃は12冠目指すなんてことは一つも考えてなかったです。サンプル問題を解いた際に、問題文の長さに驚きました。問題文から頭の中でアーキテクチャ図がイメージできるようになるまでは、フリーハンドでアーキテクチャ図を描く練習をしていました。

  1. 書籍:「AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説」
  2. Blackbelt:試験範囲が広すぎるので適宜確認した
  3. AWS Well-Architected:全ての柱について斜めに読む
  4. ハンズオン:サンプル問題や問題集で出てきた構成を数個試してみることをしました
  5. 問題集

なお、この試験に合格することでAWSについて体系的に学ぶことができ自信がつきました。

現在の試験は「SAP-C02」に移行されています。対象となるサービスが大幅に増えていることから、試験難易度が上がっていることが想定されます。最短で12冠を目指すのであれば、Associate・Specialtyの試験から受験するのも一つの手かと思います。

AWS Certified SysOps Administrator – Associate

学習時間:5時間

業務でAWSを利用した基盤構築をしていたことから、問題集などは利用しませんでした。スコアを見ていただけるとわかるかもしれませんが、合格ラインぎりぎりの試験となりました。問題集を解くことを推奨します。

  1. Blackbelt:EventBridge、CloudWatch、SNS、セキュリティ関連(マネージドサービス)など
  2. AWS Well-Architected:運用上の優秀性、セキュリティの柱
この試験では実技試験があります。「試験ラボ」と呼ばれており、AWSコンソールまたはAWS CLIの操作が必要です。普段運用をされていない方の場合は、座学だけではなくAWSコンソールで運用系のサービスに触れておくことを推奨します。
前日に実技試験があることに気づいたことは内緒です、、、

AWS Certified Developer – Associate

学習時間:10時間

こちらも業務でCI/CDパイプラインを設計していたこともあり、Codeシリーズは一通り触っていました。普段開発をする人ではないのですが、インフラ視点で「このような開発環境があったらよさそうだな」と考えながら受験しました。基本的にはマネージドサービスを利用したほうがよいという考え方なので、AWSへの愛が問われるかと思います。

  1. Blackbelt:Elastic Beanstalk、API Gateway 、Lambda、Codeシリーズなど
  2. AWS Well-Architected:セキュリティの柱
  3. 問題集
SAPを受験する前であれば、書籍を購入して体系的な学習をすることをお勧めします。

AWS Certified Data Analytics – Specialty

学習時間:30時間

AWSのサービスを利用して、要件に応じたデータ分析基盤を構成できるかというところを問われています。この試験に関しては、AWS Well-Architectedレンズの「分析レンズ」を読み込んでおくとよいと思います。Scenarios>[用途]>Reference architectureのページを確認して、アーキテクチャ図がイメージできたうえで各サービスの特徴を押さえておけば大丈夫だと思います。

  1. Blackbelt:Glue、RedShift、Quicksight、S3、LakeFormation、Kinesisなど
  2. AWS Well-Architected分析レンズ
  3. ハンズオン:amazon-s3-datalake-handson
  4. 問題集
余談ですが、現時点ではデータカタログ・探索やデータ品質担保がAWSマネージドサービスだけでは難しいと感じていました。AWS re:Invent 2022で発表された、「AWS Glue Data Quality」について触ってみたいなと思っています。Glueほげほげのようなサービスが多く、機能も全然違うので覚えるのが大変です。

AWS Certified DevOps Engineer – Professional

学習時間:20時間

この試験では、AWSにおけるシステムのライフサイクルに対してどう対処するかということが問われていると感じました。効率よく開発できること。効率よく運用できること。これらをAWSマネージドサービスを組み合わせて実現します。SAPと同じく問題文が長いため、長丁場の試験となります。受験前には長文の問題に慣れておくことをお勧めします。

なお、この時の学習ではSOAで学習しておけばよかったと思う箇所を実施していました。

  1. Blackbelt:EventBridge、CloudWatch、SNS、セキュリティ関連(マネージドサービス)など
  2. AWS Well-Architected:運用上の優秀性、セキュリティの柱
  3. その他:セキュリティハブの通知設定など運用やセキュリティ関連について試験以外でも触っていました
  4. 問題集

SAPとDOPはAWS認定試験の中でも大きな山場かと思います。

AWS Certified Security – Specialty

学習時間:10時間

ここまでの試験で、AWS Well-Architectedのセキュリティの柱を何度も読んでいます。また、IPAのセキュリティ試験も以前受けていたこと、NW周りの設計構築をしたことがあるといった経験がありましたので、比較的短時間の学習で合格することができました。インフラ系ではない方にとっては少し難易度が高い試験かもしれません。

  1. 書籍:「要点整理から攻略する『AWS認定 セキュリティ-専門知識』」
  2. Blackbelt:セキュリティ関連のマネージドサービス
  3. AWS Well-Architected:セキュリティの柱
  4. 問題集
SCSとANS・DBSにおいて、NRIネットコム株式会社様から出版されている書籍には大変お世話になりました。この場をお借りして感謝の言葉を申し上げます。

AWS Certified Advanced Networking – Specialty

学習時間:30時間

個人的にSAPの次に難しかった試験です。

ANS-C01に試験がアップデートされ、以前良しとされていたアーキテクチャが過去のものとなっているような印象を受けました。例えば、TransitVPCを作成してハブ&スポーク型のNWを構成している企業様は今でも多いと思いますが、現在ではTransitGatewayを利用してハブ&スポーク型のNWを構成することが推奨されています。また、ELBにGateway Load Balancerが追加されており、セキュリティアプライアンスをどこに配置するのが良いかという考え方も変わっております。

学習で利用させていただいた書籍「要点整理から攻略する『AWS認定 高度なネットワーキング-専門知識』」がかなり良書かと思いますので、受験する際はご一読することをお勧めします。

  1. 書籍:「要点整理から攻略する『AWS認定 高度なネットワーキング-専門知識』」 ・・・超絶おススメ
  2. Blackbelt:NW関連サービス全般
  3. AWS Well-Architected:セキュリティの柱
  4. 問題集

点数的にもギリギリ合格でした。今後AWSでの大規模NWの設計や運用にかかわることがあれば、知識をブラッシュアップして業務を遂行できればと思います。

AWS Certified Machine Learning – Specialty

学習時間:30時間

こちらの試験は「機械学習」の色が強い試験でした。体感ではAWSの知識が半分、機械学習の知識が半分くらいのイメージです。例えばサンプル問題の2問目では

次の 2 つの文から成るテキストコーパスから、ユニグラムとバイグラムの両方を使用する Term Frequency –
Inverse Document Frequency (TF-IDF、単語出現頻度-逆文書頻度) マトリックスを作成しました。
1. Please call the number below.
2. Please do not call us.
TF-IDF マトリックスの次元はどれですか。

https://d1.awsstatic.com/ja_JP/training-and-certification/docs-ml/AWS-Certified-Machine-Learning-Specialty_Sample-Questions.pdf

という問題が出題されていました。もはやAWSのかけらも出てこない問題ですね・・・ 機械学習について何も知らなかったため、問題文すら読めずorz…

ということもあり、ざっくり機械学習の概要くらいは知っておかないといけない試験かなと思います。MLはデータが肝なので、どうやって集めて加工するかという箇所も試験範囲ですが、DASと被っている箇所なので機械学習に注力して問題ないかと思います。

  1. 書籍:「図解即戦力 機械学習&ディープラーニングのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書」
  2. Blackbelt:SageMaker、マネージドAIサービス系
  3. BlackbeltML-Light-01 ~ ML-Light-06 ・・・おススメ
  4. 問題集

AWS Certified Database – Specialty

学習時間:15時間

この試験はDASと少し試験範囲がかぶっています。主にDWH(Redshift)のあたりです。ですので、RDS(Auroraを含む)とDynamoDBを中心に学習すれば問題ないかと思います。DB系の検証はデータを用意するのが面倒だったり、そもそも個人のAWSアカウントで試すにはお金がかかりすぎたりするので困りますね・・・・

  1. 書籍:「要点整理から攻略する『AWS認定 データベース-専門知識』」
  2. Blackbelt:DB系サービス全般
  3. AWS Well-Architected:コスト最適化の柱、パフォーマンス効率の柱
  4. 問題集

 AWS Certified Cloud Practitioner

学習時間:1時間

満点をめざしていたのですが、、、、届きませんでした・・・

一番初めに受験する際は、書籍を1冊手に取ってじっくり読み込むことをお勧めします。

AWS Certified: SAP on AWS – Specialty

学習時間:25時間

SAP(ERP)の色が強い試験です。移行も試験範囲なので、SAPのツールや各種DBの機能、3rdParty製品など、AWSが出てこない領域もある程度学習する必要があると感じました。

が、、、SAPは高すぎて個人では検証できません。SAP CALを利用すればインスタンスを立てることは可能かもしれませんが、メモリが250GB(ディスクじゃないですよ)くらいのインスタンスが作成されます。r5.8xlargeでも1か月25万くらいですね、、、生活が破綻してしまします。今回の受験は座学に徹しました。

  1. ブログ:「AWS SAP on AWS Speciality 受験対策その1「学習リソース」」 ・・・その8 まであります
  2. Blackbelt:VPC、ELB、EC2
  3. AWS Well-ArchitectedSAPレンズ
  4. キーワード確認:Twitter(ヤマゾー@AIエンジニア様)
  5. 問題集
大口さんが残してくれたブログのおかげで試験全体像を掴むことができました!!

終わりに

12個も試験があるので、モチベーションの維持が難しかったですが何とか完走することができました。

有益な情報、記事、書籍を作成いただいている先人の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

12冠して感じたことは、AWSのことだけではなくMLOps、SAP on AWSのことなど普段業務で関わっていないものについて学ぶことができたのはいい機会であり、エンジニアとしての幅が広がったかなと思います。

今年はぜひともリアルのAWSイベントに参加してみたいなと思う今日この頃でした。

著者について
石原雄太

クラウドを中心にデータ活用を支援しています。
■認定資格
AWS:12冠(2023 Japan AWS All Certifications Engineers)
GCP:CDL/ACE/PCA/PDE/PCSE/PCD
IPA:FE/AP/SC

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