AWS Certified: SAP on AWS – Specialty のサンプル問題を解いてみた(4/4)

こんにちは、SCSK大口です。

前回の記事では、AWS Certified: SAP on AWS – Specialty の Question 5 から 8 までを取り上げました。その続きを書きます。

本解説の内容については精査をしておりますが、非公式のものとなります。
各自ご確認お願い致します。

Question 9

問題

アップグレード前のチェックの一環として、SAPソリューションアーキテクトはAWSで実行されている本番SAPインスタンスに関する情報を収集しています。 SAPトランザクションST06では、SAPシステムのAWSインフラストラクチャのみに関連するモニタリング情報は利用できません。 ただし、他のSAPアプリケーションレベルの情報は存在します。
この問題の原因は何でしょうか?

A)AWS Data Provider for SAP Agent がインストールされていないか、エラーが発生しています。

B)Amazon CloudWatch Agent がインストールされていないか、エラーが発生しています。

C)SAP HANA monitoring agent がインストールされていないか、エラーが発生しています。

D)AWS DataSync Agent がインストールされていないか、エラーが発生しています。

解説

「SAPトランザクションST06」とありますが、SAPの利用においては、SAP-GUI と呼ばれる専用のGUIを使った際に機能の呼び出しにあたりアルファベットや数字で定義されるトランザクションコードと呼ばれるもので画面を呼び出して機能を利用します。
トランザクションコードは、システムで定義されているものもたくさんありますが、自ら定義することもできます。

ここで「SAPトランザクションST06」と言われている画面は、予め定義されたOSのパフォーマンスが確認できる画面を呼び出すトランザクションコードです。

この画面にAWSのパフォーマンスの情報を表示したい場合には、AWS Data Provider for SAP を導入すると表示されるようになります。

AWS Data Provider for SAP

AWS Data Provider for SAP - General SAP Guides
Provides additional information about implementing and configuring SAP solutions on the AWS Cloud.

よって解答は、Aとなります。

Question 10

問題

ある会社が、SAP HANA on AWS のデータ保護に backint を使用するサードパーティのバックアップツールを使用しています。
専用のバックアップサーバーを維持するために必要なコストと労力から、同社は、SAP HANA用の AWS Backint Agentの使用を検討しています。
SAP HANAシステムは、SAP HANAデータボリュームとログボリュームに Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)ボリューム の General Purpose SSD (gp2) を使用します。バックアップファイルはAmazonS3バケットに保存されます。 SAPソリューションアーキテクトは、この新しい環境の概念実証展開をセットアップしており、データベースのバックアップおよび復元手順の速度を向上させる必要があります。
これらの要件を満たすソリューションはどれですか?(2つ選択してください)

A)S3バケットサイズを増やします。 S3バケットへのアクセスが同じ AWS リージョンのAmazon EC2 インスタンスからのものであることを確認してください。

B)SAP HANAパラメーター parallel_data_backup_backint_channels の値を増やして、並列バックアップチャネルの数を調整します。

C)S3 Transfer Accelerationを使用して、バックアップファイルの転送を設定します。

D)SAP HANA EBSデータボリューム (/hana/data) で利用可能なストレージスループットを確認します。 SAP HANA EBSデータボリュームをProvisioned IOPS SSDボリュームタイプに変更し、バックアップを再試行します。

E)バックアップファイルの重複排除を有効にします。

解説

解答には「SAP HANAデータベースのバックアップ速度は、/hana/data ボリュームとの間で利用可能なスループットの影響を受けます。 バックアップのパフォーマンスを向上させる2つの方法は、基盤となる Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)ボリュームから利用できるIOPSを増やすことと、並列バックアップチャネルの数を増やすことです。 他のオプションは、パフォーマンスに大きな影響を与えません。 Amazon S3バケットサイズは利用可能なスループットに影響を与えません。S3TransferAcceleration は、SAPバックアップの単一のケースではなく、グローバルユーザーのパフォーマンスをサポートします。」とあります。

AWSの以下のドキュメントに、” Problem: My backup is running too slowly and is taking a longer time to complete “ (バックアップの実行が遅すぎて、完了するまでに時間がかかります)の項目があります。

Troubleshoot AWS Backint Agent for SAP HANA - SAP HANA on AWS
The following documentation can help you troubleshoot problems that you might have with your AWS Backint Agent for SAP H...

ここに今回の設問のケースの記載があり、/hana/data のディスクスループットの向上と、parallel_data_backup_backint_channels のパラメータを増やすことが推奨されています。

Backint と SAP HANA の構成が理解できると、理解しやすいかと思うので参考リンクを以下に記載します。

AWS では、AWS Backint Agent が提供されていて、このツールを利用すると、S3 にバックアップが取得できます。詳細は、以下を確認してください。

AWS Backint Agent - Backup & Restore Solution for SAP HANA Workloads - Amazon Web Services
AWS Backint Agent for SAP HANA is an SAP-certified backup and restore solution for SAP HANA workloads running on Amazon ...
AWS Backint Agent for SAP HANA - SAP HANA on AWS
Describes how to get started with AWS Backint Agent for SAP HANA. This documentation includes prerequisites, installatio...

また、AWS Backint Agent の導入時の設定として何が必要か以下に記載があります。

SAP HANA on AWS

SAP HANA の構成については以下のガイドを確認してください。

SAP HANA Environment Setup on AWS - SAP HANA on AWS
Prerequisites and procedures for setting up the environment for installing SAP HANA on AWS.
SAP HANA on AWS Operations Guide - SAP HANA on AWS
Provides best practices for deployment, operations, and management of SAP HANA systems on AWS, for system administrators...

まとめ

AWS Certified: SAP on AWS – Specialty の概要とサンプル問題を解説しました。非常に興味深い試験なので受けられるようになって費用負担の問題が解決できれば、受験してみようかと思いました。
普段、所属部門で、AWSアカウント上で検証環境を運用していますので知っていることは多かったです。

それから、SAP には、SAP Note という技術文書があります。この解説の中では、AWS や SAP のサイトで公開されている情報を中心に解説しましたが、SAP Note には、もっと細かい記載があります。その情報を見るためには、Sユーザと呼ばれるユーザーが必要です。

所属会社で、SAPを使われていたりデモライセンスを持っているなどがあれば、ライセンスを管理している部門にご相談いただき取得をお勧めします。

長い記事をここまで読んでいただき、ありがとうございました。
質問などあれば、ぜひお寄せください。

著者について
大口聡

SCSKにて、SAP BASIS のエンジニアとして活動。
2022 APN AWS Top Engineer、2022 APN ALL AWS Certifications Engineer、2022年からAWS Community Builder の一員としても活動。
SAPテクニカルコンサルタント認定(NW7.5)、AWS認定12冠、情報処理安全確保支援士(SC)、情報処理技術者資格(ST/SA/PM/NW/DB/SM/AU/SU/SG/AP/FE/IP)を保有。

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