Cato クラウド向け月次レポートサービスの紹介と技術的な仕組みの解説

はじめに

当社では Cato クラウドの導入から運用まで一貫した技術サポートやサービスを提供しております。

今回はサービスメニューの1つである月次レポートサービスのご紹介と、その裏側の技術的な仕組みについて解説いたします。

月次レポートサービスの紹介

月次レポートサービスの概要

月次レポートサービスは、お客様が Cato クラウドを利用する中で、ネットワーク回線やトラフィックに問題が発生していないかどうかといった観点や、セキュリティ上の問題や懸念が起きていないかどうかといった観点などで分析したレポートを毎月ご提供するサービスです。また、Cato クラウドの新機能のご紹介や当社のサポートサービスのご利用状況の実績報告なども月次レポートの中で行っております。

レポートの中身についてもう少し詳しく紹介すると、例えば次のような分析を行っています。

  • 各サイト(拠点)のトラフィック分析
    • スループット、パケットロス・破棄率、ラストマイルなどグラフ化・傾向分析
  • イベント分析
    • Socket の接続履歴やアップグレード履歴の確認
    • セキュリティ機能(各 Firewall 機能、Suspicious Activity、DNS Protection など)の集計・分析
  • ユーザ分析
    • 長期未ログインな SDP ユーザの抽出

ご提供する月次レポートには、データの集計・分析やグラフ化をプログラムで行って自動生成した別紙と、その内容をもとに当社エンジニアが最終的な考察やその他情報を記載した本紙があります。別紙のサンプルは [こちら] からご確認いただけます。

こういったデータは Cato の管理画面 (CMA) 上で参照できますので、定期的に確認して運用に活用しているお客様もいらっしゃるかと思います。ただ、サイト数が多くなってくるとトラフィックのグラフを確認するだけで手間がかかりますし、個々のイベントログを確認できても集計することはできませんし、データは一定期間(3か月 or 6か月 or 12か月) までしか遡って確認できないといった課題もあります。そういった課題は月次レポートサービスで解消いたします。

月次レポートサービスの目的

月次レポートサービスの本質的な目的は、お客様に Cato クラウドを快適・安全にご利用いただくために、お客様の運用作業を支援することにあります。例えば次のような運用作業が必要になってくるかと思います。

  • 帯域が不足しつつあるサイトがあれば、帯域を増速する
  • インターネット回線の不調があれば、回線事業者・ISPへの調査依頼を行う
  • 不審な通信が行われていれば、調査や通信の遮断を行う
  • 退職した社員のアカウントの棚卸を行う

提供する月次レポートを運用作業のインプット情報としてて役立てていただければと考えています。

自動生成の仕組み

[こちら] の別紙のサンプルを自動生成する仕組みについても仕組みについても少し解説いたします。具体的には次のようなことをプログラムで行っています。

  1. Cato の API から必要なデータを取得する
  2. 取得したデータを集計・分析する
  3. トラフィックに関するデータから時系列グラフを作成する
  4. 集計・分析結果やグラフから1つのPDFファイルを作成する

Cato API からデータ取得

月次レポートを生成するにあたり、Cato API の次の API を利用してデータを取得しています。

  • entityLookup : サイトやユーザの一覧
  • accountSnapshot : サイトの詳細情報
  • accountMetrics : トラフィックの時系列データ
  • events : イベントの集計結果

Cato API の利用方法については別記事で紹介しておりますので、そちらを参照ください。

データの集計・分析とグラフ作成

API から取得したデータの集計・分析には pandas を利用し、グラフ作成には Matplotlib を利用しています。どちらも Python のライブラリで、データ分析の際に広く利用されるものです。

PDFファイルの作成

PDFファイルの作成には、Asciidoctor という文書化ツールを利用しています。AsciiDoc というマークアップ言語で文書を用意すれば、電子書籍のような綺麗なフォーマットのファイルに変換できるという優れものです。日本語フォントも用意すれば、サンプルのような PDF も作成できます。

AsciiDoc で書かれた文書の作成には Jinja というテンプレートエンジンを利用し、あらかじめ用意しておいたテンプレートにデータの集計・分析結果などを埋め込んで自動生成しています。

仕組みのまとめ

自動生成の仕組みをまとめると、次のようなフローで月次レポートを自動生成しています。

API でデータを取得できれば後はプログラムで大抵のことは実現できますし、将来 Cato API で取得できるデータが増えてくれば月次レポートも充実させていく考えでおります。当社にて開発しているプログラムをご提供することはできませんが、お客様自身で Cato API を利用して運用作業に役立てることもできるかと思います。

まとめ

Cato クラウドのお客様向けの月次レポートサービスを紹介し、その裏側の技術的な仕組みについても簡単に説明しました。

Cato クラウドの利用時における運用作業として実施すべきことを整理した情報やノウハウ(≒運用に関する非機能要件や設計書のサンプル)はご提供できておりませんが、一般的に実施が必要であろうと考える運用作業に役立つデータは月次レポートサービスとして提供しておりますので、ご興味があればぜひ当社にご相談ください。お試しとして月次レポートのサンプルの提供もいたします。

また、月次レポートサービスという形でなくとも、お客様固有の運用要件を Cato API を利用して実現する仕組みの開発支援も行えますので、気軽にご相談ください。

著者について
山下雅喜

システムのインフラ・運用領域のソフトウェアエンジニアです。
通信周りがメインです。

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