ServiceNowの生成AI機能であるNow Assist for IT Service Management(ITSM)を調べたので、学んだ内容を記事にします。
はじめに
Now Assistは2023年に登場して以降、ITSMやCSM、FSM、HRSDなどなど、その対応領域はどんどん拡大されています。
今回はその中でも、ITSMの領域におけるNow Assistの機能について調べました。
仮想エージェント/ライブエージェントのチャットにおけるNow Assistの利用
- 仮想エージェント(Virtual Agent)
ユーザーの質問や課題、要求に自動で応答し、24時間利用可能なセルフサービスを提供するチャットボット機能です。 - ライブエージェント(Live Agent)
ユーザーの課題が複雑で仮想エージェントによる解決ができなかった場合、ライブエージェントに接続することでオペレーター(エージェント)とチャット上で直接会話することができます。
チャット要約(Chat summarization)
ユーザーが仮想エージェント、またはライブエージェントとチャット上で会話していた内容を要約する機能です。
ライブエージェントとしてユーザーからの問い合わせ対応をするオペレーターには以下のメリットがあると感じました。
- ユーザーと仮想エージェント間のチャット要約を確認することで、ユーザーの問い合わせ内容・要件を素早く把握することができる
- ライブエージェントが異なるオペレーターにエスカレーションされた際、ユーザーと前担当者間でのやり取りを素早く把握し、スムーズに引継ぎを行うことができる
結果、ユーザーにとっても問合せの解決までにかかる時間の短縮が期待できます。
チャット返信内容のレコメンド(Chat reply recommendation)
ライブエージェントとしてチャット上でユーザーと会話する際、返信内容を自動生成してレコメンドしてくれる機能です。
動作検証
まずは、エンドユーザーとして「ネットワークの調子が悪い」「ルーターが赤く点滅している」「ルーターを交換したい」など自身の抱えている課題を仮想エージェントに問い合わせます。
その後、仮想エージェントによる解決はできなかったという想定で、ライブエージェントへと接続します。
以降は、Service Operations Workspaceにおけるオペレータの操作画面となります。
エンドユーザーからのライブエージェント接続依頼がオペレーターに届いたので「オープン」をクリックしチャットを開始します。
チャットが開始されると、Now Assistによりそれまでにエンドユーザーと仮想エージェントの会話内容が要約されて表示されます。(赤枠)
これによりオペレーターは、チャットを遡ることなしに、ユーザーの問い合わせ内容を素早くキャッチアップできます。
以下画像の赤枠部分は、Now Assistによるチャット返信のレコメンドになります。
エンドユーザーが入力したコメントを踏まえて、返信内容を自動生成しレコメンドしてくれます。
オペレーターは必要に応じて、文章を修正してエンドユーザーに返信することが可能です。
問合せ内容が自分自身の担当領域外で解決方法が分からない為、他のオペレーターへとエスカレーションすることにします。
/taというショートカットを使うことで、他のオペレーターへとチャットをエスカレーションできます。
別のオペレーターにエスカレーションの通知が届いたので、「承認」をクリックしてエンドユーザーとのチャットを開始します。
チャットが開始されると、エンドユーザーと仮想エージェント、及び、前担当者とのやり取り内容がNow Assistにより要約されて表示されます。(赤枠)
エスカレーション先のオペレーターは、ユーザーの抱える課題、状況を素早くキャッチアップできます。
最終的に解決方法を提示して、チャットを終了します。
おわりに
本記事では、仮想エージェント、ライブエージェントにおけるNow Assistの機能を記載しました。
要約によりオペレーターの状況把握にかかる時間が短縮され、結果エンドユーザーの課題解決までの時間も短縮が期待できる機能だと思いました。
次回は、インシデント対応におけるNow Assistの機能をまとめていきたいと思います。