今回は、Prisma Cloud環境のセキュリティログをどのように管理し、監査に備えることができるかについてお話ししていきます。
Prisma Cloud の 監査ログ
監査ログ機能
企業にとって、セキュリティは常に最重要課題です。Prisma Cloudによってマルチクラウド環境を統合的に管理・監視することでセキュリティ対策を講じることが可能ですが、Prisma Cloud環境自体のセキュリティについてもきちんと対策しておく必要があります。
Prisma Cloudの監査ログ機能を使えば、セキュリティに関する行動を実行・確認し、問題が発生した際の迅速な対応が可能となります。
監査ログは、Prisma Cloud管理者によって行われた全アクションを時系列で記録し、誰がいつ何をしたのかを簡単に把握できるようにしています。これにより、組織としてコンプライアンスを保つことができます。
監査ログの保存とアクセス
Prisma Cloudでは、監査ログを最大120日間保管します。具体的なアクティビティを確認するためには、Prisma Cloudコンソールの[設定]から[監査ログ]を選び、時間範囲を選択することで詳細を確認できます。また、アクションタイプやユーザー、リソース名などでフィルタを使い、効率的に必要なデータを抽出することが可能です。
CSV出力
Prisma Cloudのコンソール上で、監査ログをCSV形式でダウンロードすることも可能です。「Load More」ボタンを使うことで、より多くの監査ログレコードを簡単に取得することができ、最大500件のレコードをリクエストできます。これにより必要な情報に迅速にアクセスでき、管理業務を円滑に進めることができます。
監査ログ転送の設定
Prisma Cloudコンソール上では、最大120日間しか監査ログを保管できません。セキュリティ監査の準備等、120日間以上ログを保管しておきたい場合は、Prisma Cloudで生成された監査ログをAmazon SQSやWebhooksといった外部システムへ転送することができます。
設定方法はとてもシンプルで、エンタープライズ設定から監査ログ送信機能を有効化し、通知先を選ぶだけです。設定後に出力された新しい監査ログが、選択した通知先チャネルへ送信されます。
監査ログをAWS環境に転送してみる
実際にPrisma Cloud監査ログの転送設定をしてみます。
今回やりたいことは、「Prisma Cloudの監査ログをAWS上のS3バケットに保管する」です。
AWS環境側の設定
まずは、監査ログの保管先となるAWS環境側の準備をしていきます。
Prisma Cloudの監査ログを外部へ送信する際の通知先として指定できるサービスは限られており、Amazon SQSまたはWebhooks通知チャネルしか通知先と指定できません。そのため、監査ログをSQSに送信⇒何らかの方法でSQSへ送信された監査ログをS3に保管、という構成にする必要があります。
今回はSQSへ送信された監査ログをS3に保管する処理をLambdaで行うため、以下のリソースを準備しました。
・S3バケット
・SQS
・Lambda
・IAM(Lambdaに設定するIAMロール・IAMポリシー)
今回はLambdaのトリガーにSQSを設定することで、SQSに監査ログが送られてきたタイミングで自動的にLambdaが起動し、SQSに送られてきた監査ログをS3に保管する処理が行われる構成としました。S3バケット、Lambdaに関する設定や処理の起動タイミング等は、各環境の要件にあったものを選択してもらえれば問題ありませんのでここでは割愛します。
SQSはログの順序性を守りたいため「FIFO」タイプを選択しました。SQS名以外のその他の設定は今回はデフォルトのままで作成しています。
Prisma Cloudの外部統合の作成
AWS環境側の準備ができたら、Prisma Cloud監査ログの送信先となる外部統合を作成します。
Prisma Cloudコンソール > [設定] > [統合と通知] > [統合の追加] で、「Amazon SQS」を選択します。
以下の設定項目を入力して、[次へ] で進み、[統合のテスト] をクリックします。
テストが成功したら保存します。
設定項目 | 設定値 |
統合名 | 任意の名前 |
キューURL | AWS環境側で準備したSQSのURL |
※ 指定されたSQSへのアクセスに仕様するIAMロールを指定したい場合は、その他のオプションを有効にして値を入力してください。
デフォルトではSQSがあるクラウドアカウントの接続に利用しているIAM情報が利用されます。
Prisma Cloudのエンタープライズ設定で転送設定
監査ログの転送設定を実施します。
Prisma Cloudコンソール > [設定] > [エンタープライズ設定] > [監査ログを統合に送信] を有効化します。
有効化したら、[統合の選択] で先程作成した外部統合を選択します。
外部統合を選択したら、画面右上に表示されている「設定を保存」を忘れずにクリックしましょう。
これでPrisma Cloud監査ログの転送設定はすべて完了です。
まとめ
今回はPrisma Cloudの監査ログについて転送設定含めてまとめてみました。
Prisma Cloudの機能をフルに活用して、セキュリティの強化と効率的な監査体制の構築を目指しましょう。
今後も、Prisma Cloud の活用方法について実用的な情報をお届けできればと思います。
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