AWS re:Invent 2022レポート ~概要編~

こんにちは、SCSKの木澤です。

去る2022/11/28~12/2に 米国ラスベガスで開催されたAWS最大のカンファレンス、re:Invent 2022に参加してきました。他社様のレポートから遅れてしまっておりますが、レポートとしてまとめたいと思います。

今回はまずは概要編として、私から全体感を簡単に報告したいと思います。

イベント概要

re:InventはAWSによるクラウドコンピューティングに関する世界規模の「学習型」カンファレンスであり、以下のような多数の企画が開催されるイベントです。

  • 5つの基調講演(KeyNote)
  • 多数のブレイクアウトセッション
  • 展示会(EXPO)
  • ハンズオン
  • ナイトイベント(re:Play)

今年は2022/11/28~12/2の5日間に開催され、全世界から現地参加で50,000人、日本からも約1,000人と多数の参加がありました。

なお会場はVenetianホテルをメイン会場に、ラスベガスにある6つの会場に分散して開催されました。
なお、下記のマップには縮尺がないためイメージしにくいのですが、最北のEncore会場から最南のMandalay Bay会場まで距離は約6.2km。これは東京駅から高輪ゲートウェイ駅辺りまでの距離に相当します

会場間は連絡バスが常時運航されており移動は容易でしたが、バスが円滑に運航できるようラスベガス警察による誘導もあり、街ぐるみでイベントを成功させようという支援体制が印象的でした

メイン会場のVenetian。
1つ1つの会場が巨大なので、日本人からするとスケール感覚が狂いますね。

事前準備

ツアーの申し込み

私は実はre:Invent初参加となります。(※ 別のイベントでラスベガスへの訪問実績はあります)
SCSKからは私を含めて7名での参加となりましたが、うち6人はre:Invent初参加。勝手がわからないということもあり、今回はツアーを利用することとしました。

https://reinvent2022tour.com/

発表された旅程表を見ると3パターンに分かれており

  • 羽田 → ロサンゼルス(LAX) → ラスベガス(LAS)   1名(私)
  • 成田 → ロサンゼルス(LAX) → ラスベガス(LAS)   4名
  • 成田 → サンフランシスコ(SFO) → ラスベガス(LAS) 2名

とバラバラとなっており、ラスベガス到着予定の時間帯もバラバラ。
結局全員で顔合わせできたのはre:Playのみとなりました。

行動予定の計画

さて、イベントにRegistしても当日どのように行動したらよいかわからないということで、ありがたく開催された事前勉強会に参加しました。私から誘ってはいないのですが、自主的に当社の若手メンバーも参加していて嬉しかったですね。

re:Invent 2022 Standby 事前勉強会 (2022/11/02 18:30〜)
## re:Invent2022 Standby 事前勉強会 イベント紹介 AWS re:Invent 2022 に参加予定の方、行けないけど興味ある方が集まって re:Invent に向けたLTでの情報シェアと、懇親会での情報交換を目的と...

またツアー参加者向けにはツアー会社より事前説明会があり、AWS亀田さんなどからイベントの解説をいただいて良かったです。このようにして徐々にイメージを膨らませていったのでした。

なお行動予定はre:Inventのマイページで立てられます。気になったものを軒並み登録もしくはお気に入りに登録すればOK。

https://portal.awsevents.com/events/reinvent2022/dashboard

そうして立てた私の予定がこんな感じでして。
朝から晩までほぼ埋まっている状態になったのでした・・・

参加体験

さて、ここからは私(木澤)が体験したことをかいつまんでレポートします。

基調講演(KeyNote)

楽しみにしていたKeyNote。
体調の関係で11/30のSwamiのKeynoteはオンライン視聴としましたが、残りはすべて現地で参加しました。

個々のアップデートについては後述します。

11/28 Monday Night Live

主にインフラ系のアップデートとして、新しいプロセッサーとEC2の新しいインスタンスファミリー、SRDプロトコルによるネットワークやEBS帯域の拡張などについて発表がありました。

11/29 Adam Selipsky KeyNote

メインの基調講演ですね。

データ利活用の重要性の高まりに合わせたAmazo DataZoneやセキュリティ強化としてのAmazon SecurityLake、AWS Clean Rooms、また HPCコンピューティング向けの各種インスタンスや空間シミュレーションをサポートするAWS SimSpace Weaverなどが発表されました。

12/1 Dr.Werner Vogels KeyNote

主にディベロッパー向けの新機能が発表されました。
世界は非同期処理で成り立っている。今後もAWSは非同期処理ができるサーバレスアーキテクチャに注力するというプレゼンは引き込まれましたね。

新発表としては サーバレス開発をより容易に行えるようにするAWS Application ComposerやAmazon EventBridge Pipesなどが発表されました。

基調講演の感想

インフラ出身・サーバレスも少々行うという私としては、Monday Night LiveとDr.Werner Vogelsのセッションが強く印象に残った感じですね。クラウドの基盤インフラは成熟してアップデートは最近少なめと思いましたが、まだまだ今後も発表に期待できるなと思いました。

なお、AWS Ambassadorには優先席の割り当てがあり、前の方で聴講できます。(ありがたい)

Japan Ambassadorsのメンバーと、新発表について「凄い!」などと発表内容に共感しながら基調講演を聞けたのは良い経験でした。


ブレイクアウトセッション

新発表のサービスの解説を中心に、10のブレイクアウトセッションに参加しました。

参加した感想としては、事例セッションが特に印象に残りましたね。海外には日本よりも進んだ先進事例が多数あるということなのでしょう。特に興味を引いたセッションについては追って別記事でレポートできればと思います。

展示会(EXPO)

展示会ブースも想像より大きかったですね。
空き時間にSWAG集めに奔走しておりました。

またサッカーワールドカップの期間中ということもあり、展示会会場隣の受付ブースでは試合時間帯に生中継を行っておりました。日本-スペイン戦も当日(現地時刻12/1 11:00~)生中継されておりまして、社内や日本からの参加者と一緒に大盛り上がり。

私はこの日に限り日の丸入りのツアージャケットを着用しておりましたので、日本の勝利の瞬間に周囲の外国人の方からハイタッチで祝福いただきました。このような経験は人生で二度とないでしょうね。

re:Play

公式のナイトイベント re:Play。ライブやゲームコーナーもあり、お酒を飲みながら楽しむことができます。
会場は少し外れた場所になりますが、各ホテルからの送迎バスもあり安心です。
海外のエンジニアは「オフは徹底的に遊ぶ!」ということが実感できましたね。

冒頭に述べた通り、ここで初めて自社のメンバー全員と合流することができ、全員でゲームコーナー(Button Mash 4.0)にチャレンジ。背筋が釣りそうになりました・・・(寄る年波には勝てないのかな・・・)

ネットワーキング

正直、re:Inventの参加体験の半分はネットワーキングだろうと思っており参加してきました。

現地ではAWS Ambassadorsのイベントに参加したり、私が参加しているIoTコミュニティの交流会などを開催しました。
特にAWS Ambassadorsとの皆さんとは、9月のシアトルに続けて今回も多くの方と交流することができ、今後のキャリアにおいてかけがえのない財産となったと思っています。皆様ありがとうございました。

(※下にしゃがんでいるのが私)

なお、話題のNoodle Asiaにも行きました!(1回だけでしたが)
体力が許せばもっと各社のエンジニアの皆さんと交流してきたかったんですが、来年以降にお預けです!

注目のアップデート

さて、今回のre:Inventで発表された各種サービスの振り返りをしたいと思います。
発表内容は、AWS Blackbelt Onlineセミナーで早速まとめていただいていますので、こちらをご覧になるとよいかと思います。

[AWS Black Belt Online Seminar] AWS re:Invent 2022速報 資料及び動画公開のご案内 | Amazon Web Services
みなさま、AWS re:Invent 2022はお楽しみいただけましたでしょうか。 2022年12月2日に実施

ここからは私(木澤)にて注目しているアップデートを紹介します。
できれば触ってみたいものばかりです。

ネットワーク/コンピューティング

AWS Application Composer(プレビュー)

従来、サーバレスのアプリケーションの開発にはAWS Lambdaのコード記述、もしくはAWS StepFunctionでのロジックの組み立てが必要でしたが、本サービスを用いるとブラウザベースでのGUIにてサーバレスのアプリケーションを開発することが可能になります。

IaCのコードが出力されるため、サーバレスアプリケーション開発に不慣れな方でも開発できるようになります。

ENA Express [SRDプロトコル]

AWSの基盤ネットワークは、多数のユーザーが利用しても性能劣化が発生しないよう、網の目のような構成となっていますが、従来のTCP/IPプロトコルでは性能に限界がありました。

そこでAWSではAWSインフラ内で利用することを前提とした独自のプロトコルであるSRDを開発し、容易に複数経路を束ねて性能を拡張できるようにしました。EC2インスタンスにENA Expressを付加することで、最大5~25Gbpsのネットワーク性能を持つことが可能になります。

対応しているEC2インスタンスは限られており、現時点ではC6gn.16xlインスタンスのみです。
順次追加予定。
EC2 : Office入りAMIが利用可能に(プレビュー)

Microsoft Office Professional Plus 2021がインストールされたAMIが提供され、Officeのライセンスが従量課金で利用できるようになります。
AWS License Managerを持いてOfficeの利用有無を制御が可能です。

データベース / データウェアハウス

Amazon Aurora Zero-ETL integration to Redshift(プレビュー)

データベース(Aurora)のデータをRedShiftで分析する場合、従来はAWS Glue等のETLツールを用いてデータパイプラインを構築する必要がありましたが、本機能を用いることによって連携することが可能になりました。
Auroraに格納されたデータを移動することなくRedShiftで分析可能になります。

Amazon RDS Blue/Green Deployment

RDSのメンテナンスやパッチ適用の検証を行う場合、2環境用意して稼働系を順次切り替える、いわゆるBlue/Green構成を採用することがありますが、従来は手動で両環境の構成を管理して切り替える必要がありました。

本機能を用いることでマネージドでBlue/Green構成を運用することが可能になります。

運用管理

Amazon CloudWatch Internet Monitor(プレビュー)

AWS上で稼働するシステムに対して、インターネット側からアクセスした際の接続状況やパフォーマンスを可視化できます。これによって、特定の地域からの接続性が悪化している状況を確認でき、改善アクションを起こしやすくなります。

Amazon CloudWatchでアカウント横断の監視が可能に

従来はCloudWatchのメトリクスは各アカウント内で閉じており、統合監視する場合は別途監視ツール等での作り込みが必要でしたが、今後はCloudWatchにて複数のアカウントのメトリクスを横断的にモニタリング可能になります。

セキュリティ

Amazon Security Lake(プレビュー)

セキュリティに関する情報(ログ)は、AWS基盤から出力されるもの(Cloudtrail)や、各種セキュリティ製品のログなど多数のものがありますが、従来は統合管理が難しいものでした。

AWSと各種セキュリティベンダーが協調し、共同のフォーマット(Open Cybersecurity Schema Framework – OCSF)を策定しました。Amazon SecurityLakeを用いることでCloudtrailや各種セキュリティ製品のログを一元管理し、使い慣れた各種サードパーティの管理ツールで可視化することが可能になります。

Amazon Macieにてセンシティブデータの自動検知に対応

Amazon Macieはデータに含まれる機密情報を検出するサービスですが、今回のアップデートによって、手動でのルール定義なしにS3バケット内をクロールして自動検出することができるようになりました。

Amazon Inspectorが Lambda 関数の診断をサポート

Amazon Inspectorはソフトウェアの脆弱性を検出するサービスですが、従来はEC2インスタンスが対象でした。
今回のアップデートにより、AWS Lambda関数に含まれるライブラリ等の脆弱性を検出することが可能になりました。

Amazon GuardDuty RDS Protection

脅威検出を行うAmazon GuardDutyですが、今回のアップデートにてRDSへの不正アクセスも検出することが可能になりました。機械学習モデルによりRDSへのアクセスを監視し、疑わしいログインを検出し、EventBridge等を経由して通知を行うことが可能になります。

全体の感想

初めてのre:Invent、正直圧倒されました。初めての参加では攻略は難しいと事前に聞いておりましたが、なるほどその通りでした。

実は航空便のトラブルがあり、ロサンゼルス→ラスベガス便がその日中に飛ばず、翌朝までロサンゼルスで足止めを食らうといった事態がありました。

その関係で、2日連続で仮眠程度しか寝れない状態で現地入りしたため、前半は体力的にしんどかったですね。
また遅延の影響で11/28を棒に振ってしまった感じになったので、当初の計画が崩れ、後手に回ってしましました。
本来であれば現地からブログも投稿したかったのですが、体力的に無理でした(言い訳) またの機会があるようであれば、もう少し余裕を持ったスケジュールで現地入りして、計画的に行動したいなと思いました。

なお私はFitbitを普段装着しておりますが、歩数はこの期間中凄いことになっておりました。
遠方の会場への移動はバスが利用できますが、近隣会場への移動は徒歩移動が必要ですし、広い会場内を歩き回ることも多いので増えたものと思います。

概ね聴講したいと思っていたKeyNoteやブレイクアウトセッションについては参加できましたが、折角現地で参加しているので、もっとハンズオンやHaveFunイベントへの参加、ネットワーキングに振ってしまっても良かったのかなとも思わないでもないです。

海外出張を成功させるには体力が大事!と身に染みて感じた一週間でした。
来年以降も参加する機会があるのであれば、5Kランに参加することを目標に頑張りたいと思いますw

おまけ

殆ど観光する時間は無かったものの、僅かな時間で行ってきたスナップを少々。

お馴染みBellagioホテルの噴水ショー。23:55のアメリカ国歌を堪能。

ダウンタウンのフレモント通りを訪問。お土産のショッピングと同時にアーケードの映像に圧倒されました。
皆さんライブ演奏を楽しみながら立ち飲みしており、楽しい雰囲気でしたね。

以上、re:Inventの訪問記(概要)でした。
特に興味を引いたセッションについては追って別記事でレポートできればと思います。

著者について
木澤 朋隆

SCSKにてクラウドのアーキテクトやマーケティング/プロモーション、社内の開発者支援等を担当しています。

資格
 AWS認定14冠
 情報処理安全確保支援士・テクニカルスペシャリスト(NW)等
表彰
 AWS Ambassador (2021~)
 Japan AWS Top Engineer (2022~)
 Japan AWS All Certifications Engineer (2022~)
 AWS Community Builder (2023~)

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