こんにちは。SCSKの山口翔平です。
最近、大谷翔平選手の活躍が凄まじいので便乗してフルネームで名乗ってみました。
2024年9月20日。大谷翔平選手が前人未到の【50-50】を達成した裏で、私、山口翔平がひっそりGCP認定資格【11冠】を達成しました。
2022年9月にGoogle Cloud の部署に新人として配属され、ちょうど二年後の2024年9月に認定資格11冠(全冠)を達成しました。せっかくなので全冠までの2年間の軌跡をブログに残そうと思います。
試験の概要は公式ドキュメントやSCSKの別社員の全冠ブログに分かりやすく記載されており、これ以上のことは書けないので丸投げするとして、本ブログでは、
・オススメの取得順序(これまた筆者の主観で)
では、山口翔平の記念すべき【20本目】のブログスタートです。
取得年表
フルネーム呼びがそろそろしんどくなってきたので早速内容に入ります。
説明に入る前に、長い資格名の略称を整理しておきます。
サイトごとに略称が異なりますが、当ブログでは以降下記略称を使います。
正式名称 | 略称(※大文字部分をとってます) |
---|---|
Cloud Digital Leader | CDL |
Associate Cloud Engineer | ACE |
Professional Cloud Architect | PCA |
Professional Cloud Developer | PCD |
Professional Cloud DevOps Engineer | PCDOE |
Professional Data Engineer | PDE |
Professional Cloud Database Engineer | PCDE |
Professional Cloud Security Engineer | PCSE |
Professional Cloud Network Engineer | PCNE |
Professional Google Workspace Administrator | PGWA |
Professional Machine Learning Engineer | PMLE |
年表は下記のとおりです。
あらためて年表を見返してみて、一番の反省点はACE→PCAの空白の4か月です。
後ほど詳しく書きますが、ACEとPCAは問題の類似度が非常に高いため比較的学習がしやすくスムーズに取得を目指せるほか、PCAまで取ってしまうと他のProfessional資格へのアクセルが踏みやすいです。
私はここで4か月の隙間が空いてしまったため、PCA受験前にACEと重複する部分も学習しなおす手間と時間がかかってしまいました。
ここからは、各資格試験の印象、オススメの取得順序について深掘りしていきます。
各試験の印象
各資格取得時の筆者の状況と、試験の印象を書きます。
(注)筆者が受験した当時の情報です。最新情報はドキュメントをご参照ください。
資格名 | Google Cloud歴
(※m:months) |
実業務で触っていたサービス等 | 所感 |
---|---|---|---|
CDL | 3 m | VPC、GCE | 配属から3か月が経ち、右も左もわからない状況から、なんとなくクラウド(Google Cloud)がどういいうものか掴み始めたタイミングで受験+合格。
最近受検した人に聞くとAIに関することも聞かれたらしい。当時はそんなことなかった。 |
ACE | 5 m | VPC、GCE、Cloud Router、Cloud DNS、Cloud Interconnect | 2つ目の受験にして早速躓いた。公式ドキュメントを見てかなり幅広いサービスに関する知識が必要であることを知り、2か月間みっちり対策しなんとか合格。 |
PCA | 9 m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions | ACEの知識を取り戻すのに時間を要したが、学習にはそこまで苦労しなかった。あくまでACEの延長線上の印象。ACEの苦労の影響でかなりじっくり対策して臨んだ。
インフラ領域のサービスに加え、BigQueryを扱いだした経験が生きた。 「おめでとう」を言ってくれる人がCDL,ACEより格段に増えた。割と影響力のある資格なんだと感じたと同時にすこし一人前になれた気がした。 |
PDE | 11 m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions | Google Cloud歴も1年近くになり、扱うサービスも増えてきた段階で受験、カリキュラムの過渡期だったのか、AI/ML関連の知識も多く問われた印象。
筆者のメイン担当領域がDWH・ETLだったこともあり、勉強はサクサク進んだ。メイン領域が違う他の人は割と苦労しているようだった。 |
PCD | 1y1m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions | アプリケーション設計、CI/CDの領域に親しみがなく苦労した。GKEやCloud Buildの問題が頻出+さわったことない状況だったのでSkills Boostで実際にサービスに触れて理解を深めた。
実際にサービスを触ると理解が加速することを改めて実感した。 |
PCDOE | 1y5m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions | PCDの出題内容とかなり似通っている印象。ここも4か月開けたことを後悔した。
PCDのおかげでスムーズに学習が進んだ。 |
PCNE | 1y6m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions | インフラ領域のサービスに関してはそこそこ触っている自負があったが、NWの専門的な知識が必要でかなり苦労した。
案件業務でCloud DNS、Cloud Interconnect(検証環境で触れづらい)に触れていた経験にかなり救われた。 |
PCSE | 1y7m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions | 内容はPCNEと共通する部分が多い印象。先にPCNEを取得済みだったので少し追加の学習をするだけで取得できた。
個人的にはPCSE→PCNEの順序もオススメ。 |
PGWA | 1y8m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions、Cloud Pub/Sub、VertexAI | Google Wrokspaceの管理コンソールを触った経験がなかったためかなり苦労した。公式ドキュメントに割と詳細な内容が書いてあったため、まずはここを読み込んで理解を深めた。 |
PCDE (英語) |
1y9m | BigQuery、Data Fusion、Cloud Functions、Cloud Pub/Sub、VertexAI | PDE、PCNEの知識があれば比較的楽に突破できる印象。初の英語試験だったが、問題文が理解できれば問題なく解けた。(筆者のTOEICスコアは630。) |
PMLE(英語) | 2y | BigQuery、VertexAI | 所属部署がAI/ML関連部署になり、その3か月後に初受検。筆者にAI/MLの知識がほぼなかったこともあり一度目は撃沈。
その後、AI/MLに関する基礎知識と頻出だったBigQuey MLやパイプラインの選定基準(VertexAI Pipeline、Kubeflow Pipeline TFXなど)について二か月間徹底的に調査・学習。その結果なんとか合格。 (AI/MLの知見がある先輩の力を借りて理解を深めた。) |
個人的に躓いた資格を三つピックアップし簡単にコメントします。
Associate Cloud Engineer
意外に思われるかもしれませんが、一つ目はAssociateレベルの「ACE」です。
他のブログを見ると、あくまで中級の資格として紹介されていますが、出題されるサービスも多く、かなり広範囲の知識必要になる印象です。
Google Cloudの認定資格にはAssociateレベルの資格がこの一つしかないこともあり、カバー範囲が広くなっているのかもしれません。
一か月間勉強したら大丈夫だろうくらいで構えていましたが、時間が足りず一か月先延ばしして、二か月間の学習で合格できました。
ただ、この資格を突破すると、PCAを突破するための知識がほとんど身についている状態だと思います。
ACE→PCAは時間をあけず取得することを強くオススメします。
Professional Cloud Network Engineer
二つ目が「PCNE」です。
私の周りもここで躓いた人が多かった印象です。
ネットワークに関する専門知識が必要になることはもちろんですが、検証環境で実際に触ってみることが難しいCloud Interconnect に関する具体的な手順等の知識なども求められます。
筆者は運よく案件業務でCloud Interconnect の実装に携わった経験があったためそれに救われましたが、経験がない方は公式ドキュメントを読み込んでおくことをオススメします。
加えて、下記に関する出題が多かったです。
- ハブアンドスポークトポロジでのオンプレミス環境との接続
- VPC Service Controlsと限定公開のGoogleアクセスによるアクセス制御
- 共有VPC
- Cloud Loadbalancing
上記に関する知識は持ったうえで受験することをオススメします。
限定公開のGoogleアクセスに関しては過去にブログにまとめているのでぜひご覧ください。
Professional Machine Learning Engineer
三つめは「PCMLE」です。
AI/MLの知識がほとんどなかった筆者にとっては一番難しかったです。
Google Cloud上で機械学習モデルを構築、トレーニング、デプロイ、管理する手順と、使用するサービス選定に関する知識が多く問われます。
ただ、それだけでなくAI/MLに関する一般的な知識も多く問われます。
ユースケースに沿ったサービス選定をする問題が多く出題され、その中でAI/MLの「一般的な知識」と「Google Cloudサービスに関する知識」の両者が求められるイメージです。
各サービスでできる事、できない事、不向きな事を一度頭の中で整理しておくことをオススメします。
オススメの取得順序
以上の内容をふまえた上で、オススメの取得順序をご紹介します。
筆者の主観が強く反映されているので、あくまで参考程度にご覧ください。
順序を整理するにあたって、各資格を筆者の独断と偏見でグルーピングします。
各グループ内の順序は前後して問題ないですが、同グループの資格は連続して(できれば短い期間で一気に)取得することを強くオススメします。
上記グループをふまえて、筆者おすすめの順序は下記です。
「オススメの順序」とは言いましたが、データ系、運用系、NW(ネットワーク)系の三つはどれから攻めても問題ないと思います。
これら三つは全てPCAまでの内容を基礎として、それぞれの領域に発展した内容が多いです。各グループ内の資格は連続してとる前提で、どの系統から順に攻めても問題ない。というのが私の考えです。
順序を考えるうえで一番悩んだのがPGWAとPMLEです。この二つは領域が異色なので、どこに挟むか悩みましたが、Google Cloud全般の知識をつけた上で臨むのに越したことはないと思い、最後の方にプロットしました。
しいて言うなら、私が受験した時のPDEがAI/MLの内容が多かったので、データ系→PMLEの順序もオススメです。
二年前に戻り、私が再度全冠を目指すのであれば、
の順序で受けると思います。
まとめ
私が二年間かけてGoogle Cloud認定資格を全冠した軌跡と所感について書きました。
各試験の内容はかなり流動的なので、各資格の詳細というよりは全般的な内容にフォーカスして書きました。具体的な勉強法は他社員のブログで紹介されているのでぜひご覧ください。
全試験通じていえることですが、やはり「実際にサービスを触ってみる」ことが一番の近道です。
- 公式ドキュメントで出題サービスを確認する
- 各サービスに対する学習の中で、ピンと来ないところはSkills Boostで実際に触ってみる
という流れを踏むことが効果的だと思います。
また、GoogleがAI/ML関連のビジネスに注力していることもあり、いろんな資格にAI/MLの問題が出題され始めているように感じます。CDLにAI/MLの問題が出され始めたのが良い例ですね。
Google Cloudの認定資格を全冠するうえで、AI/MLの知識はより強く求められるものになっていきそうです。
私自身、今年度からAI/MLを専門とする部署に異動になったので、これからより一層AI/MLの知識をつけていこうと思っているのですが、その足掛かりとしてPMLEにも挑戦しました。
経験や知識をアウトプットする場として資格試験を活用することはもちろんですが、新しい領域にチャレンジする足掛かりとして資格試験を活用することもアリだと個人的には思います。
また、本ブログでも何度か引用していますが、同部署の一年後輩にあたる社員がすごいスピードで資格を取得していた(筆者の一年分を3か月で抜かれた)ので、密かにいい刺激をもらい、負けじと勉強頑張りました。誰かと競いあって全冠を目指すのもアリです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
これからも役立つ情報を(大谷選手の本数に負けないよう)どんどん発信していきますのでご期待ください。