第7回 たった1台で可用性を高められる!? ~ Single Server Protection ~

新年明けましておめでとうございます。SCSKの池田です。

新年早々、能登での大地震があり、今この時点においても余震が続いております。
亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 

さて前回は、スプリットブレインを防ぐために「Quorum/Witness」機能が有効であることをお伝えしました。2台のサーバで構成するが故に、どちらのサーバがActiveであるかを判断する機能が必要だったというお話しでした。

7回目の今回は、なんと たった1台で可用性を向上 させることができるLifeKeeperの姉妹製品 Single Server Protection をご紹介します。

Single Server Protectionとは

Single Server Protection(略してSSPとも呼びます)とは、(くどいようですが)1台のサーバで可用性を高めることができる製品なのですが、どのようにして実現しているのでしょうか。

構成と動作の流れはこんな感じです。

前提:1台のサーバにSSPと冗長化したいミドルウェアを実装しておく
(1)SSPが冗長化対象のミドルウェアの状態を定期的に監視
(2)ミドルウェアの異常を検知すると、ミドルウェアを再起動し、正常状態に戻るかを確認
(3)正常状態に戻った場合は、処理はここで終了。まだ異常事態が続いている場合はOSを再起動
(4)OS再起動後はSSPの機能により、対象のミドルウェアなど、自動起動し、正常状態に戻ったことを確認  

動きとしては、とてもシンプルですね。

以前「なぜAWS(パブリッククラウド)でLifeKeeperが有効なのか!」の回でもお伝えしましたが、AWSですと「責任共有モデル」の考え方により、ミドルウェアレイヤーはユーザー側の責任範囲となります。SSPはLifeKeeper同様に、見落としがちなミドルウェアの可用性をシンプルな仕組みで安価に高めることのできる製品なのです。

SSPはコスパが良い!

直前で「安価」とお伝えしましたが、SSPはコスパがすごく良い製品なんです。
サイオステクノロジーが公開している定価をご覧いただきますね。

製品名 定価
Single Server Protection for Linux \200,000
Single Server Protection for Linux サポート1年 \50,000
Single Server Protection for Windows \200,000
Single Server Protection for Windows サポート1年 \50,000

桁が間違っているのではないかというレベルのお安さですよね!
1台構成ですので、サーバの初期費用もランニングコストも1台分で済みますし、
導入するミドルウェアのライセンス費や保守費も1台分で済みます
さらにこの製品には、LifeKeeperでは有償オプション製品となるARKも一部無償で同梱されているというサービスっぷり!

ただしLinuxとWindowsでは同梱されているARKが異なりますのでご注意くださいね。

製品名 Red Hat Enterprise Linux Windows
Apache Web Server Recovery Kit
Microsoft IIS Recovery Kit
DB2 Recovery Kit
Oracle Recovery Kit
MySQL Recovery Kit
PostgreSQL Recovery Kit
SQL Server Recovery Kit
Sybase ASE Recovery Kit
NFS Server Recovery Kit
Network Attached Storage Recovery Ki
WebSphere MQ Recovery Kit

それと保守についても注意が必要です。LifeKeeperの場合は、重大障害発生時に24時間365日のサポートを受けることができますが、
SSPの場合は平日日中サポートのみとなってしまいます。

GUIはLifeKeeperとほぼ同じで判りやすい

LifeKeeperの管理GUIはとても判りやすいことで有名(?)ですが、SSPは、LifeKeeperの姉妹製品だけあって、GUIの判りやすさも受け継いでいます。以下の様にリソースの依存関係もツリー構造で表現されているので、視認性が高く、これまでLifeKeeperの運用をされていた方はもちろんのこと、初めてお使いになる方でも、すぐに使いこなせる様になると言っても過言ではありません。

まとめ

今回は、LifeKeeperの姉妹製品であるSingle Server Protectionについてご紹介しました。コスパがものすごく良い製品ですので、LifeKeeperほどしっかりした可用性は必要ないけど、AWSなどパブリッククラウドではカバーしないミドルウェア領域までの可用性を高めたいとお考えのシステム担当者様にはうってつけな製品ではないでしょうか?

まとめますと

SSPは
・たった1台で可用性を高められる
・ライセンス、保守費も安く、一部のARKも同梱されているのでコスパがとても良い
・サーバ自体の費用やミドルウェアのライセンス、保守費も1台分でOK
・LifeKeepeの管理GUIとほぼ同じなので、導入や運用移行の敷居が低い
・保守は平日日中のみなので注意が必要

次回は、第6回でお伝えしたQuorum/Witnessの詳細について、もう少し掘り下げてお伝えしようと思います。
乞うご期待!!

著者について
池田 雄介

中学時代にMSXを手に入れ、N88-Basicでのプログラミングを覚える。その後、ユーザ企業の情シスから社会人人生をスタート。100人に1台程度しかパソコンが割り当たっていない時代に、Windows95のパソコンを全国展開、本社、支店、工場のLAN/WAN化を推進。WindowsNTサーバを弄りながら流行りのイントラネットや社外向けのサイト作成・運用など担う。
2002年に現在のSIerへ転職。2007年からオンプレミスや仮想環境を中心としたインフラ基盤の構築に携わり、2013年からLifeKeeperを担当。以来10年以上に渡り、LifeKeeperに携わってきた。
趣味は、草野球、ボウリング、バドミントン、キャンプ、天体観測、ゴルフ、お酒を嗜むこと、ドライブなど

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