【SASE簡単解説】シングルベンダーSASEを選択するべき理由

本記事は 夏休みクラウド自由研究2025 8/11付の記事です

こんにちは。角田です。

これまでSASEの概要やメリットなどを解説する記事を書いてきましたが、今回はその第3弾となります。
※過去の解説記事は以下をご参照ください。

今回は、SASEの中でも今後特に市場拡大が見込まれる「シングルベンダーSASE」について、そうでないSASEとの違いも含めて、以下のテーマでご説明します。

  • シングルベンダーSASEとは?
  • シングルベンダーSASEのメリット
  • SASEの市場動向と今後について

 

シングルベンダーSASEとは?

まずは簡単に振り返りとなりますが、SASEとは「“ネットワーク”と“ネットワークセキュリティ”をクラウドベースで統合したもの」です。
2019年に、有名な調査会社であるGartnerによって提唱されました。

では、その中でも「シングルベンダーSASE」とは一体どういったものなのでしょうか。
深堀りして解説していきます。

 

シングルベンダーSASEとは?

まず、シングルベンダーSASEは「単一ベンダーにより、統合されたプラットフォームで、ネットワークとセキュリティの両機能をネイティブに提供することができるSASE」であると言われています。

少し難しい言い回しですが、分かりやすく言うと「1つの会社でSASEの機能全てを提供できているサービス」です。
ただし、単に“1社で全部入り”のサービスではなく、“最初から統合されたプラットフォームとして設計されている”ことがポイントとなります。 ※詳しくは後述します。

 

マルチベンダーSASEとの違い

シングルベンダーSASEがいれば、もちろん「そうでないSASE」、つまり「マルチベンダーSASE」も存在します。
マルチベンダーSASEとは、「様々な会社の製品を組み合わせてパッケージ化されたSASE」です。

例えば、SD-WANはA社製、SWGはB社製、CASBはC社製という構成で、これを1つの自社サービスとして提供しているような形態がマルチベンダーSASEとなります。
このようなサービスでは、以下のような課題が発生します。

  • 管理コンソールやログがバラバラで、運用が煩雑
  • ポリシー設定が製品ごとに分かれ、整合性がない
  • アップデートや障害も製品ごとに発生するため、利便性が低い

昨今多くの企業がSASEソリューションを提供していますが、その中にもマルチベンダーSASEは数多く存在します。
そして、そういったマルチベンダーSASEは、往々にして「統合されていない」ことが課題になりがちです。

 

シングルベンダーSASEの本質

では、「1つの会社で全て提供されているSASEであればよいのか」というと、それは本質的ではありません。
重要なのは”最初から統合されたプラットフォームとして設計され、1つのエンジンで動いている”ことです。

例えベンダーが1社であったとしても、内部で使っているエンジンが“M&Aによる買収や機能追加による”継ぎはぎの構成”であった場合、本来の意味で「統合されている」とは言えません。
このような構成では、結局上記で述べたような課題は発生しますし、各機能間で通信の復号化と暗号化を繰り返す必要があるため、大きなオーバーヘッドも発生します。

“最初から統合されたプラットフォームとして設計され、単一のエンジンで動いている”、真に統合されたSASEは意外にも少ないのですが、
これこそが、シングルベンダーSASEの本質であると考えています。

 

世の中にはシングルベンダーSASEを謳う製品が多数ありますが、SASEを比較検討する際には、「シングルベンダーSASE」という言葉だけに惑わされず、「真に統合されたSASEなのか」ということを意識して検討いただければと思います。

 

シングルベンダーSASEのメリット

ここまで、シングルベンダーSASEの概要やマルチベンダーSASEとの違いを説明してきました。
続いては、マルチベンダーでなく、シングルベンダーSASEを選択することのメリットを以下3つご紹介します。

 ① 全ての機能が完全統合されている
 ② 機能追加が迅速に可能
 ③ どの拠点でも同じ機能/品質を提供可能

 

メリット①:全ての機能が完全統合されている

前述の通り、全ての機能が統合されていることが、シングルベンダーSASEの最大の特徴でありメリットです。
これにより、ネットワーク、セキュリティのポリシーを簡単に統一することができますし、ログも一元化されるため、分析やトラブルシュートも効率的に行うことができます。

また、管理コンソールが統合されていることも大きなメリットです。
マルチベンダー型のSASEは、利用する機能によって管理コンソールが分かれていたりすることがあります。
利用者の立場からすると、“コンソールが統合されていて使い勝手の良い”という点も非常に重要なポイントとなります。

 

メリット②:機能追加が迅速に可能

シングルベンダーSASEは、統合されたエンジンを持っています。
そのため、新たな基盤の開発やアプライアンスの調達などをすることなく、容易に新機能の追加が可能です。

拡張性に優れ、IT概況の変化や新たなサイバー攻撃の流行に合わせて迅速に機能追加ができるという点も、シングルベンダーSASEの大きな魅力となっています。

 

メリット③:どの拠点でも同じ機能/品質を提供可能

マルチベンダーSASEの場合、各種機能が他社製品や他社基盤に依存するため、一部地域では拠点間通信ができない、あるいはセキュリティ機能(IPSやCASBなど)が利用できないといった制約が発生してしまうことがあります。

そして、例えば「日本にはCASBが提供されていないけど、どうにか使いたい」という場合には、一度CASB機能がある地域(海外など)にトラフィックを飛ばし、CASBによるセキュリティチェックや可視化を行った上で、また日本にトラフィックを返す、といった方法を取ることになりますが、この方法では非効率な通信が頻発し、通信遅延や帯域の無駄使いが発生します。

シングルベンダーSASEであれば、サービスを提供するすべての地域に同一のプラットフォームを展開していますので、どの拠点からでも同じ機能を、同じ品質で利用することができるのです。

 

SASEの市場動向と今後について

ここまでシングルベンダーSASEの概要とメリットを説明してきました。
最後は、そんなシングルベンダーSASEの市場動向や今後の動きについてお話したいと思います。

 

シングルベンダーSASEのリーダー Catoクラウドについて

シングルベンダーSASEの市場動向ということで、まずはCatoクラウドについてご紹介させてください。

Catoクラウドは、GartnerがSASEを定義した2019年よりも前から、SASEのアーキテクチャでサービスを提供している、世界初のシングルベンダーSASEとなります。
全世界90拠点以上に完全統合されたプラットフォームを展開しており、どこからでも同一のネットワーク/ネットワークセキュリティ機能を適用することが可能です。

Gartnerのレポートでは、Catoクラウドの提供ベンダーであるCato Networks社は、シングルベンダーSASEのリーダーに認定されています。
SASEを検討する際には、ぜひCatoクラウドにご注目ください。

 

シングルベンダーSASEの市場動向

はじめに宣伝から入ってしまいましたが、シングルベンダーSASE全体の市場動向としてはどうでしょうか。
上記Gartnerのレポートでは、2028年までに新しくSD-WANを購入する企業の70%がシングルベンダーSASEを採用するという市場予測がされています。 ※2025年現在では25%のようです。

また、SCSKでは日本企業を対象とした独自の「SASE実態調査」を毎年実施しているのですが、SASEの認知度や導入率に関しても、年々増加傾向にあります。

今後、シングルベンダーSASEを採用する企業は大きく増えていくものと考えられます。

 

SASEの領域拡大について

近年のSASE全体の動きとしては、どんどん機能拡充が進み、既存領域(ネットワークやネットワークセキュリティ)から新たな領域に進出し始めているような印象を受けます。
実際にCatoクラウドでは、すでにエンドポイントであるEPPや、各種セキュリティログを統合分析するXDRの機能がリリースされています。
その他にも、クラウドセキュリティであるCSPMと統合したり、生成AIを取り入れた機能拡充の動きも見受けられます。

SASEソリューションのカバーする領域がどんどん広がってきているからこそ、“統合されたプラットフォーム”を持つシングルベンダーSASEの価値は、今後より高まっていくと考えています。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?
今回は第3弾ということで踏み込んだ内容になってしまいましたが、「もっと基礎から知りたい!」という方は、冒頭に紹介した第1弾、第2弾のブログ記事に加え、SCSKのYoutubeチャンネルで公開している初心者解説動画も参考にしてみてください。

 

また、SCSKは長年に渡りSASEやCatoクラウドに関するセミナーも定期開催しています。
直近では 2025/8/27(水) に、Catoクラウドのデモセミナーを開催します。
Catoクラウドの主要機能をたっぷり2時間ご覧いただけますので、ご興味がある方は、ぜひご参加ください。

 

もちろん、個別のご紹介・ご説明も可能です。
ご要望の場合は、問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

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