もしも、映画史に残る感動的な場面を、最新のAI技術で蘇らせることができたら…?
こんにちは、佐藤です。
皆さんは、名作映画といわれたら何を思い浮かべますか?
私は最近初めて映画『タイタニック』を見たのですが、やはり名作といわれるだけありますね…。
結末を知っていても楽しめるのはまさに不朽の名作といわれる所以だと感じました。
さて、タイタニックの中で最も印象的なシーンの一つが、ジャックとローズが船首で腕を広げるシーンですよね。
今回は、Amazon BedrockでLuma AI の「Ray2」モデルを使い、この有名なワンシーンを再現できるのか――というお話です。
Ray2モデルとは?
2025年1月23日、AWSはLuma AI の新しい動画生成 AI モデル「Ray2」 が Amazon Bedrock で利用できるようになったと発表しました。

まずは簡単にLuma AIのRay2モデルについてご紹介しようと思います。
Ray2は、Luma Labsが開発した最新の動画生成AIモデルです。

前モデルであるRay1と比較して処理能力が10倍に向上しており、より滑らかで自然な動きを持つリアルな映像を生成できるのが大きな特徴です。また、従来のAI動画生成モデルであれば数分から数時間かかっていたレベルの動画生成を、Ray2はわずか1分程度で作成可能ということで大きな話題を呼びました。
現在はテキストプロンプトから動画生成をサポートしていますが、今後は画像から動画生成や動画から動画への変換、また作成した動画の編集機能も実装予定とのことで、これからの動向に目が離せないAIサービスですね。
BedrockでRay2を使ってみよう
さて、さっそくBedrockでRay2モデルを使ってみましょう。
事前準備として行うセットアップもそこまで多くなく、この記事を見ながら簡単に設定することができると思います。
Ray2を使用するには、以下の準備が必要です。
BedrockでLuma AI Ray2を有効化する
いきなりですがここで注意点!
マネジメントコンソールにログインしたらとりあえずBedrockにアクセスして…と言いたいところですが、まずはリージョンをオレゴンリージョン(us-west-2)に切り替えましょう!
現在Ray2はオレゴンリージョンのみのサポートとなっているのでここで変更を忘れてしまうと、せっかくモチベがあるのにアクセスできない、なんてことも…。
リージョンを変更したらAmazon Bedrockにアクセスしてサイドバーをスクロールした一番下、「モデルアクセス」からLuma AI – Ray2を有効化していきましょう。
Luma AIのRay2のアクセスのステータスが「リクエスト可能」となっていると思いますので、その文字をクリック、アクセス権をリクエストしていきます。
数分待つと、このように「アクセスが付与されました」と表示されます。ここまでくれば準備はOK!
タイタニックの名シーンをAIで再現!
テキストプロンプトを考えてみる
今回の検証で最も大切な部分、テキストプロンプトを作成します。
試しにこんなプロンプトを作ってみました。
A young man and woman stand at the bow of a large ship. The woman has her arms outstretched and the man is holding her from behind. The ocean and sunset behind them. Cinematic, high quality.
このプロンプトには、登場人物(young man and woman)、場所(bow of a large ship)、ポーズ(arms outstretched, holding her)、背景(ocean and sunset) などを記載してみました。
正直に言うと、この手の有名なシーンの再現度を上げるには裏技があるんです。
その方法はとっても簡単。文の末尾に「inspired by Titanic」と記載するだけです。
AIが認識できるタイトルであれば、そこに寄せるようなプロンプトを作成することで再現度を上げることが可能なんですが…
今回はせっかくなので、あえてタイタニックの名前を一切出さずに寄せてみましょう…!
Amazon Bedrockで動画を生成してみよう
では早速動画を作成していきましょう。
まずはBedrockのホーム画面、プレイグラウンドから「Image/Video」を選択します。
続いてモデルの選択画面が表示されるので、カテゴリは「Luma AI」、モデルは「Ray」を選択して適用をクリックします。
(モデル名の表示はRayとなっていますが、v2と記載があれば今回取り上げているRay2モデルです!)
また、この際に生成した動画を保存するためのS3バケットを作成しますが、以下のポップアップの「確認」をクリックすれば問題ないのでこのまま進めていきましょう。
ここまで完了したら、いよいよプロンプトの入力画面です。
設定画面からは動画の画面比率や解像度(通常540pまたは720p)、長さ(5秒または9秒)などを指定することができます。
では、先ほど作成したプロンプトを入力して実行をクリックします。
あとは数分待つだけ。
生成が完了すると、動画が画面上に表示され、動画がS3バケットに保存されます。
4. AIの再現度はいかに…?
では、生成された動画のクオリティを確認していきましょう。
結果:なんかちがう!!
今回の結果をまとめるとこんな感じでしょうか…
全体として、AIは「船首で男女が愛を深めるシーン」というコンセプトを認識できたものの、さすがに細部のディテールは表現できていなかったですね。
プロンプトの工夫や追加のパラメータ設定によって、より精度を上げることができそうです。
プロンプトを変えて再度挑戦!
さて、ここで終わってもいいのですがどうしても悔しいので、もう一度プロンプトを変えて挑戦してみました。
作成したプロンプト version2がこちら↓
A man wraps his arms around a woman from behind as she stands at the bow with her arms outstretched. The ocean and sunset behind them. Cinematic, high quality.
改善のポイント:
- より詳細なプロンプトを作成(男性が後ろから女性を抱いている、女性が選手で手を広げているなど)
- 先ほどよかった「Cinematic, high quality」は継続
こうして作成されたリベンジ動画がこちら!
うーん、これもなんか違うかもしれないですね…笑
やはり日常的にする行動ではないこともあり、AIの学習データの中に手を広げる女性を後ろから男性が抱擁するというニュアンスが伝わりづらいのかもしれないですね…
6. まとめ
今回はAmazon BedrockのRay2を使って、映画『タイタニック』の有名なワンシーンをAIで再現してみました。
結果として、全体の雰囲気はある程度再現できましたが、細部の再現度にはまだ改善の余地がありました…。
学び
- プロンプトを工夫することで、自分の想像に近い映像を作ることが可能!
- AIの学習データの中に少ないと思われるような動作は、なかなか再現しづらい…?
- 生成された動画を素材として編集することで、より良い映像作品が作れるのでは…?
Ray2は簡単に動画を生成できるため、他の映画の名シーン再現や、オリジナル映像の作成にも応用可能です。
ぜひ、皆さんも試してみてください!