「クラウドコンピューティングに対する重大な脅威2024」から学ぶクラウドセキュリティ

こんにちは、山崎です。

最近、クラウドセキュリティに関する情報を調べていた中で、Cloud Security Alliance(CSA)が発表した「クラウドコンピューティングに対する重大な脅威 2024」レポートに出会いました。本記事ではその内容をもとに、クラウド環境における代表的なリスクと、実務で意識すべき対策のヒントを整理してご紹介します。

クラウドの活用はどんどん進んでいますが、利便性と引き換えに「セキュリティ」は常に意識すべき課題となっています。特にパブリッククラウドでは、どこにリスクが潜んでいるのかを正しく理解しておくことが、安全な運用の第一歩だと感じています。

クラウドコンピューティングに対する重大な脅威 2024 とは

「クラウドコンピューティングに対する重大な脅威 2024」は、クラウドを利用するうえで注意すべき最新のセキュリティリスクをまとめた国際的な報告書です。世界中の専門家への調査をもとに、実際に起きているトラブルや攻撃の傾向を分析し、「クラウドを安全に使うために何を気をつけるべきか」をわかりやすく整理しています。

たとえば、設定ミスによる情報漏えい、アクセス権限の管理ミス、不十分なAPIセキュリティ、サプライチェーン経由の攻撃、そしてAIや自動化の不適切な利用などが、近年の主要な脅威として挙げられています。これらの問題は、企業のセキュリティチームだけでなく、クラウドを使うすべてのユーザーに関係する内容です。

CSAの報告書では、それぞれの脅威について「なぜ起きるのか」「どんな影響があるのか」「どう防ぐべきか」を具体的に説明しており、クラウドの導入や運用を行う際の指針として役立ちます。初心者にとっても、クラウド利用のリスクを理解し、安全な運用の重要性を学ぶための入門資料となっています。

 

CSA(Cloud Security Alliance)とは

Cloud Security Alliance(CSA) は、クラウドコンピューティングの安全性を高めることを目的とした国際的な非営利団体です。2009年に設立され、企業や政府、教育機関などがクラウドサービスを安全に利用できるように、ベストプラクティスやガイドラインの提供、調査研究、認証制度などを行っています。

 

「クラウドコンピューティングに対する重大な脅威2024」ランキング

CSA(Cloud Security Alliance)が2024年に発表した「クラウドコンピューティングに対する重大な脅威」は、クラウド利用者が直面するリスクを体系的に整理したものです。本レポートでは、脅威ごとに具体的な事例や影響も記載されており、セキュリティ担当者にとって非常に有益なものになっていますので興味のある方は、以下のリンクから詳細をご覧ください。

[クラウドコンピューティングに対する重大な脅威2024] Top Threats to Cloud Computing 2024 20240805

 

以下に、2024年版で取り上げられた11の主要な脅威を簡潔にまとめました。

順位 項目名 説明
1位 設定ミスと不適切な変更管理 クラウド環境の設定ミスや変更管理の不備により、意図しない情報漏洩や攻撃のリスクが高まります。
2位 アイデンティティとアクセス管理(IAM) 不適切な認証・認可設定により、内部・外部からの不正アクセスが発生する可能性があります。
3位 セキュアでないインターフェースやAPI 脆弱なAPI設計や管理不足により、攻撃者に悪用されるリスクが存在します。
4位 クラウドセキュリティ戦略の不適切な選択と実施 クラウド特有のリスクを考慮しない戦略では、セキュリティ対策が機能しません。
5位 セキュアでないサードパーティーリソース 外部ベンダーやサービスのセキュリティが不十分な場合、サプライチェーン攻撃の温床になります。
6位 セキュアでないソフトウェア開発  セキュリティを考慮しない開発プロセスは、脆弱性を含むアプリケーションを生み出します。
7位 偶発的なクラウドデータ公開 設定ミスや操作ミスにより、意図せず機密情報が公開されることがあります。
8位 システムの脆弱性 既知の脆弱性が放置されていると、攻撃者に悪用されるリスクが高まります。
9位 限定的なクラウド可視性/可観測性 クラウド環境の挙動を十分に把握できないと、異常検知や対応が遅れます。
10位 未認証のリソース共有 アクセス制御が不十分な共有設定により、情報漏洩のリスクが高まります。
11位 APT攻撃(高度持続的脅威) 長期間にわたって標的を監視・攻撃するAPTは、検知が難しく深刻な被害をもたらします。

 

重大脅威への対応策

ここでは、本レポートの上位3つの脅威に対して、組織が取るべき基本的な対策を簡潔にまとめます。これらの脅威は、クラウド環境におけるセキュリティ事故の多くに関係しており、早急な対応が求められます。

 

1. 設定ミスと変更管理の不備への対策
  • 自動化されたセキュリティスキャンツール(例:AWS Config)を導入し、設定ミスを検出。
  • 変更管理プロセスにセキュリティレビューを組み込み、変更前にリスクを確認する体制を整える。

 

2.ID・アクセス管理の不備への対策
  • 最小権限の原則を徹底し、不要な権限を排除。
  • 多要素認証(MFA)の全社的な導入。
  • 定期的なアクセス権レビューと監査ログの分析を実施。

 

3.安全でないAPIとインターフェースへの対策
  • APIゲートウェイを活用し、認証・認可・レート制限を適用。
  • セキュリティテスト(例:OWASP API Security Top 10に基づく)を開発プロセスに組み込む。
  • APIキーやトークンの管理を厳格に行い、漏洩時には即時無効化できる体制を整備。

 

まとめ

調べてみた結果、クラウドセキュリティにおいて最も重要なのは「基本の徹底」だと改めて感じました。
しかしながら、この対策は人力のチェックだけではなかなか難しいとも思いました。なぜなら、人は必ずミスをするものだからです。
そのため、CSPM(Cloud Security Posture Management)製品を導入することが、より効率的に・確実に脅威へ対応する有効な方法だと思います。
CSPMを導入することで、自社の現状を正しく把握し、小さな改善から着実に取り組むことが、クラウド環境の安全性を高める第一歩になると考えています。

当社では、複数クラウド環境の設定状況を自動でチェックし、設定ミスやコンプライアンス違反、異常行動などのリスクを診断するCSPMソリューションを販売しております。

マルチクラウド設定診断サービス with CSPM| SCSK株式会社
マルチクラウド環境のセキュリティ設定リスクを手軽に確認可能なスポット診断サービスです。独自の診断レポートが、運用上の設定ミスや設計不備、クラウド環境の仕様変更などで発生し得る問題を可視化し、セキュリティインシデントの早期発見に役立ちます。

ご興味のある方は是非、お気軽にお問い合わせください。

著者について

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PrismaCloudのお役立ち記事を投稿していきます。

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