AWSの情報の調べ方

本記事は TechHarmony Advent Calendar 2024 12/3付の記事です

はじめに

AWSを利用していると、いろいろと知りたいことが出てきます。こんなことができないの? こういうときはどうするの? といったような。各サービスごとのマニュアルはかなり充実していて、デベロッパーガイドにはいろいろと書いてあるのですが、なかなか思うように知りたいことが見つからないなぁ、と思ったことはありませんか?
今回はそういったときに役に立つ(かもしれない)AWSの情報の調べ方についてお伝えできればと思います。

AWS資料の調べ方フロー(異論は認めます)

AWSの資料は大量にあり、どんな流れでしらべるのがいいのかなと迷われる方が多いと思います。検索エンジンで検索する、AIに聞く、公式ドキュメントを見るなど様々かとおもいます。私もそんな一人であり、いつも自分が欲しいと思う資料にたどり着くのに苦労することが多いです。今回はそんないろいろな経験の中から、AWS公式資料に絞った調査についてまとめてフローにしてみました。

このフローに沿って資料を調べていくことであなたも今日から迷うことなくAWS公式資料の海を泳ぎきることができます!… できると思います! …. できるといいなぁ… 

これだけだと、具体的にはわからないと思いますので、それぞれの項目について、詳しく説明していきます。

サービスの概要を知りたい

いきなり知らないサービス名を聞かれました! なんて言うときは、まずは Black Belt 資料です!

打ち合わせ中に「SQS を使えばうまくできるんじゃないかな?」という発言を聞いて、「やばっ! SQSってなんだ!? SQSってなんの略語だ? すきゅす? すきゅーす? だめだ、何も思いつかない!」みたいなときにはなにはともあれ、Black Belt 資料。

お使いの検索エンジンに、 “AWS black belt <サービス名>” と入れて検索して、 “awsstatic.com” のサイトが引っかかれば正解です。

PDFファイルでサービスの内容からポイントとなる点まで短時間でざっくりと頭にいれることができます。PDFファイルなので、ダウンロードしておけばオフラインでも閲覧可能と至れりつくせりです。

Black Belt の資料は、マニュアルにすると数百ページでは効かない(例えばSQS開発者ガイドならPDFドキュメントにすると692ページ(!)分)ところから、AWS の方がポイントとなるところを抜粋して、しかもわかりやすくプレゼンテーション用の資料としてまとめてくださっています。プレゼンテーション用の資料ですので、文字ばっかりでなく、ビジュアルで見た目も優しさ抜群! 日本語翻訳が間に合っていない開発者ガイドの微妙にわかりにくい機械翻訳とはちがって、AWS Japan の方が記載しているので日本語もバッチリ! 非常にわかりやすいです!

とにかくオススメです! 「AWSで迷ったら Black Belt 資料」 これだけでも覚えて帰ってください。

作成された資料によっては、若干古いものがあります。注意点を。

他のサービスとの違いを知りたい

「似たようなサービス多いなぁ、どれがいいんだろう?」 わかります。「似たようなサービスがあることにはちゃんとした意味があるんだろうけど、どれを選べばいいのかわからないんだけど…」ということは多いです。この、いろいろなサービスから最適なもの選んで使える、というのがAWS最大の武器であるのですが、選ぶのに迷うのもまた事実。

そんなあなたにオススメの資料が、”意思決定ガイド” という製品カテゴリの資料になります。

どこにあるかというと、

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/

からアクセスしてもらって、ちょっと下の方。”製品カテゴリ” の中にあります。 2024年11月現在で 20 種類の意思決定ガイドがあります。 

残念ながら日本語訳はされていない資料が多いので、翻訳ツールのお世話になるかもしれません。

これはその1つの例、”AWS コンピューティングサービスの選択” Covered services の欄を見て抱くと分かる通り、実にいろいろなサービスについて比較検討の対象になっています。

AWS の資料は、それぞれのサービスごとになっていることが多い中、各サービスを横断する形で一つのドキュメントになっている珍しい資料達になります。同じテーマについて比較検討を問われることの多い AWS 資格の勉強にも最適ですね!

これで比較検討/使い分けもバッチリ!

もっと突っ込んで知りたい

「よくわかった。でも知りたいのはもっと突っ込んだ中身についての理解だ。実際の使い方とかもうすこし詳しく説明してほしい!」という大変貪欲な方にオススメするのが ”AWS Deep Dive系”資料です。

残念ながら、すべてのサービスについて資料がしかも日本語で存在するという形にはなっていませんが、流石は Deep Dive と名付けるだけあってそのサービスについて詳しく知りたい人にとってはどれも必見の内容になっています!

私はAWS のドキュメント一覧のようなところから、うまくたどり着くことができず、これも検索エンジンの力を借りて検索しています。

“AWS Deep Dive  <サービス名>” と入れて検索して、 “awsstatic.com” のサイトが引っかかればラッキーです。

AWS の公式の資料が見つからなくても Deep Dive とサイトタイトルや資料に名付けているくらいなので、素晴らしい資料が見つかることもありますので、諦めずに見てみるのも良いかもしれません。

現在の仕様を把握したい

ここでやっと本命の登場です。開発者ガイド(Developer Guide) / ユーザーガイド(User Guide)  です。 サービスによって呼び名が違ってきていますが、基本的には同じような構成になっています。ここでは開発者ガイドとします。

調べたいものがわかっているならいきなり開発者ガイドから探す、でもよいのですが、いかんせん分量がものすごい。

検索エンジンなどから関連する単語をいくつか入れて直接ページに飛んでくるか、左側のインデックスをポチポチしながら自分の知りたい内容の項目を探す形になります。
基本的には、「できる」ことが書かれているので、書かれていない場合は「できない」ということなので、「できないことを確認する」と、なった場合は苦行になります。調べているできないことについて、ちょうどいい具合に注意点などに書いてあるとラッキーなのですが…

開発者ガイドは、現在の仕様を確認するのに最適です。ここに書いてあればできると考えてよいです。

日本語になっている文書でも、機械翻訳の場合があり、訳語が怪しい場合があります。その場合は右上の言語選択から英語表示(English)にして確認することをオススメします。
日本語版ドキュメントは改定が遅れている場合があり、新サービスの場合や、ベータリリースの場合には、英語表示に切り替えないと項目自体が表示されない可能性があります。

こんなことができるのか知りたい

仕様を把握したいのところでもお話しましたが、「今こういう状態なんだけど、別の状態に変更できるの?」とかそういった技術的な可否を調べたい場合があります。そんな場合には、開発者ガイドを調べてもよいのですが、なかなか分量があります。また、「できません」とはあまり書いてくれないこともあり、できるのかできないのか開発者ガイドをみてもいまいちピンとこない場合もあります。

そんな場合の調査に役立つのが AWS CLI Command Reference です!

AWS の操作は、AWS API 、AWS CLI 、AWS Management Console の3つで行えます。ですので、グラフィカルな AWS Management Console でポチポチ操作していって、操作できれば、それは可能!、操作できなければ不可能かも? と、想像がつくのですが、そう都合よくちょうどいいリソースが操作できる環境にあることはあまりありません。また、少しですが、AWS Management Console では操作できないような操作もあることがあります。しかし、AWS CLIはでそういったことはほぼありません。そして、AWS CLI はWebサイトに仕様が細かく記載されているので、眼の前にAWSにアクセスできる環境がなくてもドキュメントだけで「できる」「できない」知ることができるのです。

もし、「こういうリソースを作れるか」なら、作る直前まで AWS Management Console で操作して、選択肢に出るかどうかで確認して、実際に作成する前にキャンセルすれば比較的ラクに確認できます。しかし、「変更できるか?」というのは、実際に作ってみて、そこから操作してみなければ確認できません。こういったちょっと面倒な「すでにあるリソースを、こういうふうに変更できるか」という疑問に答えてくれます。

AWS CLI Command Reference のトップページ

から、調べたいサービスを選択して、 update~ というコマンドを探します。

例えば、 Amazon ECS で デプロイオプション (Deployment options) が ブルー/グリーンデプロイ (Blue/green deployment) で作成されていて稼働している サービス があるとします。これを、サービスの再作成なしに ローリングアップデート (Rolling update) デプロイタイプに切り替えることができるかどうかを調べることにします。

AWS CLI Command Refernce のトップページから ECS を探して選択して、 update-service というコマンドを探します。

 

update-service のページを見てみると、デプロイオプション (Deployment options) に関連しそうな項目は deployment-configuration という項目が見つかりました。他にはなさそうです。

–deployment-configuration の項目を詳しく見てみますが、残念なことに、デプロイオプション (Deployment options) とか、パラメータとして rolling update (ECS) とか blue/green deployment (CODE_DEPLOY)といったパラメータを設定する箇所が見当たりませんでした。

つまり、「Amazon ECS の稼働中のサービスのデプロイタイプを blue/green から rolling update に切り替えることはできない」ということになります。

番外1: AWS Support に問い合わせる(AWS Support 契約が必要)

「それでもよくわからん!」という場合は AWS の中の人に聞いてみるしかありません。

具体的には、 AWS Support に問い合わせることになります。

こちらは AWS Support 契約が必要ですし、AWS アカウントをどこから購入しているか(どこと契約しているか)により問い合わせ先が様々変わってきますので、アカウントの契約に従って問い合わせ先に問い合わせを行ってください。ここでは詳細な説明は割愛いたします。

番外2: AIサービスに問い合わせる

AIサービスは自然文により問い合わせれば、わりと簡単に回答をもらえます。ただ、回答の文体が自信たっぷりそうであっても、内容が正確でない場合があります(ハルシネーションといいます)。

AIサービスに問い合わせを行った場合は、「本当にそうなのか?」と、結局は自力で AWS のデベロッパーガイドか CLI Command Reference を調べて答え合わせをする必要があります。そのため、本記事では番外としました。

AWS公式ドキュメントのどこを探してよいのかわからない、という場合のヒントにしたり、 Amazon Q の場合なら回答文の下に回答の元になった参照文書を示してくれるので、そのドキュメントにて、必ず裏取りをしましょう。

おわりに

いかがでしょうか。なんとなくうまく AWSの知りたいことを調べられる事ができそうでしょうか? この記事が皆さまのお役に立てると幸いです。

著者について

ビデオゲームと昼寝と現実逃避をこよなく愛するシステムエンジニア。 好きなAWSサービスは AWS Lambda 。 マネジメントサービスであることだったり、pay-as-you-go の極致であったり、簡単に使えたり、でも使いこなすには奥が深かったりと、AWSの良さと楽しさを最大限に含まれるサービスだと思っています!

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