こんにちは、SCSKの木澤です。
去る2024/12/2~12/6に米国ラスベガスで開催されたAWS最大のカンファレンス、re:Invent 2024に参加してきました。
今回は私が現地で参加したセッションで感じたことや主観をまとめたいと思います。
概要
re:Inventは AWSによるクラウドコンピューティングに関する世界最大規模の「学習型」カンファレンス で、というくだりは一昨年にも書いたので詳細は省略したいと思います。
今年は世界中からの現地参加者60,000人(オンライン視聴者400,000人)、日本からの現地参加者も1,700名超で日本人の方も多く見かけました。ラスベガス市内 6つの会場で約3,500人から提供される約2,000のセッションが提供されており… といっても規模感のイメージは難しいかもしれません。
私は2022から連続して3回目の参加となりますが、初回参加(2022)の際はとにかく圧倒されてしまったといった印象で、2回目からやっと自分のペースで参加できています。
今年の大きな変更は、会期が1週間後ろ倒しになったくらいで、あとは会場レイアウトの変更くらいであったかと思います。
(Badge PickupとSWAGが別部屋になった、Funブースがマンダレイベイからシーザーズフォーラムに変更になった等)
参加したセッションについて
私は今年、業務や資格取得などでre:Inventに気持ちを切り替えるのが遅れ、セッション予約が後手に回ってしまいました。
(参加者が増えた影響からか、今年は例年以上に人気セッションが埋まるのが早かった印象です)
そのため、今年はキーノートやワークショップ、新サービスに関するブレイクアウトセッションを中心に組み立てました。
特にワークショップを5件と多めに入れました。
今回は受講したセッション・ワークショップをかいつまんでご紹介したいと思います。
[SEC235-NEW] Accelerate security analytics across hybrid environments with AWS
Amazon Security LakeがAmazon OpenSearch ServiceとのZero-ETL統合ができるようになったよ、というアップデートです。
Amazon Security Lakeは昨年のre:Inventで発表されたものの、ツール側の対応途上であることからか、まだ導入事例は多くないと感じます。各種セキュリティ製品のログ・分析の一元化に繋がるので期待したいですね。
SecurityLake側でサブスクライバを作成した後、OpenSearch側でデータソースとして指定するだけで、自動的にでダッシュボード及び関連クエリーまで作成されます。
ダッシュボードの利用デモンストレーションもありました。格好良い見た目ですね。
ぜひ時間を作って触ってみたいと思います。
[NET217-NEW] Accelerate data transfer to the cloud with AWS Data Transfer Terminal
新サービスであるAmazon Data Transfer Terminalに関するセッション。
なんとこれは、AWSが Direct Connect(100G)に繋がる部屋を貸してくれる、というサービスです。
マイグレーションやデータ解析等で大容量のデータをAWSに移行する場合、AWS Snowball Edge等が従来から提供されていましたが、現在Snowballは注文しても大幅に納期が掛かる状況になっていると聞いています。(※最新の状況はAWSにお問い合わせください)
こういった状況もあるので、新しいサービスを作ったという背景のようです。
接続としては、Direct Connect Gatewayに直結するイメージとなります。
利用申請(予約)はマネジメントコンソール上から行い、その後メールで通知が届きます。
予約日に機器を持ち込み、自身のAWSアカウントのクレデンシャルを用いてS3等にアップロードとの流れになるようです。
部屋はこんな感じ、いや本当でしょうか?w
まずは米国(オレゴン)のリージョンからGAとなり、東京リージョンは「ポテンシャル枠」との表現でした。
ただし、プレビューを利用した日本企業の方のコメントも掲載されていたため、可能性としてはあるかもしれません。
[SEC306] Securing your generative AI applications on AWS
Amazon Bedrockの機能を用いて、生成AIの応答を制御する方法を学ぶワークショップでした。
ワークショップでは、医療現場にて患者のカルテのデータから情報を返答するチャットボットアプリを例に設定を行いました。
医師と受付のスタッフが利用しており、医師のみに血液型等の機微な情報を開示するよう設定してあるのですが、受付スタッフにおいても「急ぎ」などとプロンプトを工夫することで患者の機微な情報にアクセスできてしまうという脆弱性があります。
Amazon Bedrockのガードレール機能やデータソースの権限分離を行うことで不正アクセスから防御する手法を理解できました。
解像度を高めるため、機会があればまた受講したいですね。
全般的な感想
基調講演(KeyNote)
CEOがMatt Garmanに代わったということで注目されたDay2のKeyNoteですが、冒頭にAWS Heroを含むコミュニティへの感謝から入ったのは印象的でした。
AWSは古くから支持する熱狂的なファンに支えられてここまで来たものと思いますし、CEOが新しくなってもそれらコミュニティへのコミットメントは変わらないという意思を示したのかと私は考えています。
また、メッセージングは全般的にアグレッシブであった印象を持ちました。
他社との協調についても控えめで、Amazon Novaなど新機能リリースで攻めの姿勢であったように感じます。
Amazon Nova
Amazon Novaの発表では初代CEOのAndy Jassyが登壇し会場を沸かせ、Amazon Novaへの並々ならぬ意気込みを感じました。
その他アップデート
他にもMattの基調講演では以下のようなアップデートの発表がありました。
今後もユーザーニーズに応じて全方位的にサービスを提供していくということなのでしょう。
- AWS Trainium3 AI用プロセッサ。学習用⇒推論にも利用可能
- Amazon S3 Tables Apache Iceberg互換の分析ワークロードのために最適化されたストレージ
- Amazon Aurora DSQL マルチリージョンの分散データベース
- Amazon Bedrockの進化
- Model Distillation(LLMモデルの”蒸留”⇒小型高速化)
- Automated Reasoning checks(自動検証)
- multi-agent collaboration(複数エージェントの連携機能)
Amazon SageMakerのリブランディングとAmazon Qの進化
Amazon SageMakerのリブランディングによってデータ活用の範囲を取り込むとの発表もありました。
また、Amazon Qの新機能として.NETアプリケーション / VMware環境 からのマイグレーションサポート機能が発表されました。
つまりAWSの方向性としては、あらゆるユーザー支援機能をAmazonQに統合する方向性=「Amazon Qが全てを包含する」世界を目指しているのだと理解しました。将来的には今後はAWSアカウント上にある、あらゆる情報
- AWSアカウントの利用状況
- 各サービスの設定
- マイグレーションの支援
- ユーザーデータ
これらをAmazon Qにて問い合わせできるような世界観になるのでしょう。
また、今までデータ活用にはDWHを構成するにあたり少々ノウハウが必要でしたが、データ分析とのAnalyticsの融合により、AWSに集まったデータを気軽にAIで分析する世界を実現しようとしているのはワクワクするなと思いました。
その他現地での体験
AWS Partner Award 2024 – Industry Partner of the Year ‐ Retail, APJ 受賞
今回、SCSKはAWS Partner Award にて Industry Partner of the Year ‐ Retail, APJ の表彰を頂戴することができました。
弊社のお知らせにも記載しておりますが、当社では、住友商事をはじめ多数のお客様でのAWSクラウド活用及びモダナイゼーションの推進を行っており、本表彰はこれら弊社の実績を評価いただいたものとなります。
なお私も表彰式後のパーティにご招待いただき、滅多にない経験をすることができました。
会場の雰囲気はAWS公式の動画がわかりやすいと思いますので、こちらをご覧下さい。
現地でのボランティア、交流、おまけ
今回、初の試みとしてAPNブースのボランティアスタッフを担当しました(30分のみですが)
長い時間はご一緒できませんでしたが、AWS Ambassadorsの皆様との交流も楽しめました。
最後に
こうして振り返ってみると、やはり今年はセッション予約が後手に回ったことが失敗だったなと反省ですね。
それでも、今年もre:InventはAWSに関わる人々にとって刺激となるイベントであり、私も期間中ずっとハイテンションとなっておりました。(レポートが遅れました)
なお、参加者向けのアドバイスを1点付け加えるとすれば(他の方のレポート同様となりますが)やはり現地でしか体験できないプログラム、WorkShopやGameDay、Fun Event(re:play、etc)を優先した方が良いかと私も思います。
また、アウトプットを予定しているのであればそれを踏まえた行動計画を立てると良いでしょう。
この記事が来年訪問される皆様のきっかけになれば幸いです。
ありがとうございました。
re:Invent2024振り返りウェビナーのご紹介
2025/1/20に、トレノケート株式会社と共同でre:Invent2024の振り返りイベントを開催いたします。
私も登壇いたします。
ぜひご参加頂ければと思います。よろしくお願いします。