【New Relic】オブザーバビリティとは?あたらしい監視の考え方

こんにちは。New Relic技術担当の井上です。

「システムが遅い」「原因がわからない」「ログはあるけど、何を見ればいいの?」現代の複雑な分散システムにおいて、こうした悩みは日常茶飯事です。そんな中、“オブザーバビリティ”という考え方が注目されています。この記事ではオブザーバビリティとは何か、オブザーバビリティ製品の中で、なぜNew Relicが優れているのかをご紹介をします。

オブザーバビリティとは

「オブザーバビリティ(Observability)」の用語の意味から見ていきます。「観測する(Observe)」と「能力(Ability)」を組み合わせた言葉で、日本語では「可観測性」や「観測する力」と訳されます。

オブザーバビリティとは、システムの中で何が起きているかを外から見て理解するための能力を指します。アプリケーションやシステムが動く中で生まれる大量の情報から、内部の状態を読み取る技術です。「エラーが起きた」という結果を見るだけでなく、その原因をたどることで、どこで何が問題だったのかを明らかにします。これにより、予期しないトラブルにも素早く対応できるようになります。

参考:オブザーバビリティ・エンジニアリング – O’Reilly Japan

       オブザーバビリティとは?監視との違い、必要性について解説 | New Relic

 

オブザーバビリティの考えがなぜ重要とされているか

最近では、最初からクラウド環境でアプリを動かしたり、ソフトウェアを開発したりする「クラウドネイティブ」な分散型システムが広く使われるようになってきました。この分散型システムには、機能の追加や変更がしやすく、必要に応じてスケールさせたり、止まらずに動かし続けたりできるというメリットがあります。

ただし、複数のコンピューターが連携して動くため、管理すべき対象が増え、運用が複雑になりがちです。しかも、それぞれが異なるインフラ上で動いていることも多く、トラブルが起きたときに原因を特定するのが難しく、時間がかかってしまいます。オブザーバビリティが実現されると、さまざまなデータソースから集めた情報をリアルタイムで確認できるようになります。これにより、チームはすばやく問題を見つけて解決できるだけでなく、トラブルの予防や運用の効率化も可能になります。結果として、ユーザーにとって快適で信頼性の高い体験を提供できるサービスを提供し続け、競争力を高めることができます。

上記の背景から、システムの状態を俯瞰的に見て理解する「オブザーバビリティ(可観測性)」の重要性が高まっているのです。

 

参考:オブザーバビリティとは?監視との違い、必要性について解説 | New Relic

       2024年オブザーバビリティ予測レポート

 

オブザーバビリティ市場の動向

Data Observability Market Report2025によると、データオブザーバビリティ市場規模は近年急速に成長しています。2025年には年間平均成長率(CAGR)は16.1%になると予想されます。今後数年間で急速な成長が見込まれており、2024年の25億3,000万ドルから2029年には15.5%のCAGRで52億3,000万ドルに達すると予測されています。地域別ではアジア太平洋がもっとも急成長する地域としてレポートされています。クラウドベースのソリューションの拡大により、データ量の増加がオブザーバビリティ市場の成長を加速している一因であることが考えられます。

オブザーバビリティを実現するために、どのような製品があるのか、製品の機能や市場への対応力、技術革新、戦略などをもとに、オブザーバビリティ関連の企業を評価する「Gartner Magic Quadrant for Observability Platforms」レポートがあります。オブザーバビリティ市場のリーダを牽引しているのはDynatrace、Datadog、Grafana labs、New Relic。その中でもNew Relicは13年連続で“リーダー”のポジションに選ばれています。13年連続で選出されていることで、信頼や技術力、市場変化の柔軟な対応力が実証されていることがわかります。

参考:Data Observability Market Report 2025 – Insights And Trends to 2034

       2025 Gartner Magic Quadrant for Observability | New Relic

New Relicの特徴

New Relicは2008年に創業し、その10年後の2018年に日本法人が設立されています。国内オブザーバビリティ市場で6年連続売上シェアNo.1を獲得しており、オブザーバビリティ製品において高い名声を得ています。余談ですが、New Relicという社名は、創業者 Lew Cirne(ルー・サーニー) の名前を並び替えたアナグラムです。

参考:New Relic、国内オブザーバビリティ市場で6年連続売上シェアNo.1を獲得 | New Relic

 

New Relicの主なサービスはどのようなものがあるのかを見ていきます。New Relic は、システム全体の可観測性(オブザーバビリティ)を実現するために、以下の3つの機能レイヤーで構成されています:

1. データの一元管理機能

New Relic が収集するあらゆるデータを一元管理するプラットフォーム(Telemetry Data Platform)です。アプリケーションやインフラストラクチャのデータを収集、可視化することができます。これにより、開発、運用、サポートなど、異なるチームが同じデータを共有できることで、共通の認識を持って問題解決に取り組めます。

  • 役割:あらゆるテレメトリーデータ(ログ、メトリクス、トレースなど)を収集・保存・検索。
  • ポイント:データの一元管理と高速なクエリが可能。NRQL による柔軟な分析もサポート。

ダッシュボード画面

 

ログデータ画面

 

2. システム全体の可視化機能

APM(アプリケーションパフォーマンス管理)、インフラ、ログ、そしてデジタルカスタマー体験など、ソフトウェア全体の仕組みをまとめて分析する機能(Full-Stack Observability)です。これにより、問題の発見から解決までのスピードが大幅に向上し、トラブルシューティングがこれまでになくスムーズになります。

  • 役割:アプリケーション、インフラ、ユーザー体験まで、システム全体を可視化。
  • ポイント:APM、インフラ監視、分散トレーシングなどを通じて、問題の特定とパフォーマンス改善を支援

基本機能について以下にまとめました。

基本機能 モニタ内容
New Relic
APM

アプリケーションパフォーマンス監視

データベース稼働状況、外部サービス呼出/応答状況、例外処理(エラー)状況、スループット、
トランザクションタイム、プロセス毎のCPU/メモリ使用率などの情報を収集可能

New Relic
INFRASTRACTURE

インフララストラクチャ監視

CPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率、ネットワーク使用率などの情報を収集可能

New Relic
BROWSER

ブラウザ監視(RUM:リアルユーザモニタリング)

ページビュー・ユーザ側の行動状況(読込時間、サイト移動、パフォーマンス)、アプリケーション 速度・パフォーマンス、Javascriptエラー、AJAXリクエストなどの情報を収集可能

New Relic
MOBILE

モバイル監視

Android/iOS/ハイブリッドモバイルアプリケーションのパフォーマンスとトラブル状況を可視化。
HTTPレスポンス・HTTPエラーコード、セッション状況などの情報を収集可能

New Relic
SYNTHETICS

外形監視

特定のWebサイト/アプリケーション/APIエンドポイントへのテストリクエスト送信
による稼働状態・応答時間をモニタリング

その他

その他機能

ログ管理、サーバレス機能監視、Kubernetesモニタリング、アラート設定・通知設定、
インベントリ管理・脆弱性情報収集、他

3. 業務活用型AI機能

AIを活用して、インシデントの早期発見・分析・対応を実現します。異常検知や予測に加え、ITSMとの連携や相関分析の仕組みも構築できます。AIによる異常検知や予測により、問題が大きくなる前に対応できるため、ダウンタイムやユーザーへの影響を最小限に抑えられます。

  • 役割:AI/ML による異常検知、アラートのノイズ削減、インシデントの自動分析。
  • ポイント:運用負荷を軽減し、迅速な意思決定をサポート。

参考:New Relic の主要機能 | New Relic

 

他社製品との比較

「Gartner Magic Quadrant for Observability Platforms」のレポートでリーダとして選出されている国内主要3製品について機能をまとめました。

項目 New Relic Datadog Dynatrace
他製品とのインテグレーション
監視機能(APM/インフラ/外形監視)
ログ管理
課金ポリシー

※いずれも+データ量課金あり

ユーザ数課金

ホスト課金

ホスト課金

無料枠

ユーザ1名+100GB/月

一定期間のみ

一定期間のみ

 

1ユーザ+100GB無料が永久に使えることがかなり魅力的です。まずは試しに入れてみたい、操作してみたいというスモールスタートには最適な製品であることがわかります。また、サポート面においてもNew Relicは日本国内法人を設立し、技術サポートを日本語で問いあわせできるが魅力の一つになります。

参考:New Relic、Datadog、Dynatrace のコスト比較 |ニューレリック

       New Relic vs. Datadog Comparison | New Relic

       New Relic vs. Dynatrace | New Relic

       New Relic の新しい製品体系と価格体系

さいごに

オブザーバビリティとは何か?オブザーバビリティ製品において、New Relicがどのような特徴を持っており、他社との差別化を図っているのかを少しでもご理解いただけたら幸いです。

SCSKはNew Relicのライセンス販売だけではなく、導入から導入後のサポートまで伴走的に導入支援を実施しています。くわしくは以下をご参照のほどよろしくお願いいたします。

著者について

New Relicのセールスエンジニアとして2025年1月から参画。現場で得た知見や日々の学びを活かし、New Relicの価値をより多くの方に届けることを目指しています。後発ながら、わかりやすい記事を皆様に提供できるよう頑張っています。

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