【Zabbix】保存前処理まとめ -計算処理編-

こんにちは、SCSKの坂木です。

本記事では、保存前処理の中でも計算処理に焦点を当て、以下の3つの機能について、具体的な設定例を交えながら解説します。

  • 乗数
  • 差分
  • 1秒あたりの差分

 

保存前処理について

保存前処理とは、Zabbixが監視対象から取得したデータをデータベースに保存する直前に、その値を加工・変換するための機能です。例えば、取得したデータの単位を変換(バイト→ビットなど)したり、累積し続けるデータから「前回からどれだけ増えたか」という差分や速度を計算したりできます。

これにより、不要なデータを保存せずに済むためデータベースの負荷を軽減できるほか、データを整形することで、より柔軟で高度な監視や分かりやすいグラフ描画を実現できます。

2 アイテムの値の保存前処理

 

乗数

取得したデータに対して、指定した数値を掛け算して保存する処理です。整数だけでなく、小数(0.5など)や科学的表記(1e+2など)も使用可能です。

 

ユースケース

  • 単位の変換 : バイト(B)をビット(bit)に変換する、ミリ秒を秒に変換する
  • 倍率の調整 : 0.0~1.0で表される値を、0~100(%)の表記に直す
  • 物理量の補正: センサー等の生データに係数を掛けて正しい電圧や温度にする

 

実例

byte単位で出力されるOSやネットワーク機器が返す生のデータを、bit単位で監視する設定をします。

アイテムおよび保存前処理の設定は以下のとおりです。

 

『乗数』の保存前処理では、パラメータに入力した数値を、取得した元データに掛けてデータベースに保存します。
今回設定した保存前処理は、取得した値に8を掛ける設定となっています。

 

こちらのように取得されます。

 

差分

(現在の値) - (前回の値) を計算し、その差分量を保存する処理です。前回チェック時から「どれだけ値が増えた(または減った)か」を記録します。

 

ユースケース

  • 累積カウンタの増加量監視: 「サーバ起動時からの総アクセス数」や「総エラー数」のような、累積していくデータに対して、
    「前回の監視から何件増えたか」を知りたい場合
  • ファイルの増加サイズ  : ログファイルのサイズ監視などで、前回から何バイト書き込まれたかを知りたい場合

 

実例

ファイルサイズの差分を返す設定をします。

アイテムおよび保存前処理の設定は以下のとおりです。

 

『差分』の保存前処理は、パラメータを設定せず、名前の項目から『差分』を選択するだけとなっています。

 

こちらのように取得されます。

 

1秒当たりの差分

(現在の値 - 前回の値) ÷ (前回からの経過秒数) を計算する処理です。いわゆる「速度(レート)」を算出するために使用します。

 

ユースケース

  • トラフィック監視 (bps): 累積転送量から、現在の通信速度を算出する
  • ディスクI/O (IOPS)   : 累積読み書き回数から、1秒間あたりの処理回数を算出する
  • CPUスイッチ回数   : コンテキストスイッチの累積回数から、現在の負荷状況(毎秒の切り替え回数)を算出する

 

実例

『乗数』の実例で作成した受信した合計ビット数を取得するアイテムから、『1秒あたりの差分』を取ってインバウンド帯域(bps)を求める設定をします。

アイテムは『乗数』のものと同じであり、保存前処理は『乗数』の保存前処理に加えて『1秒あたりの差分』を追加した設定となっております。
『1秒あたりの差分』の保存前処理は、パラメータを設定せず、名前の項目から選択するだけとなります。

保存前処理は、設定したステップの上から順番に実行されます。今回の例では、まず『乗数』でバイトをビットに変換し、その変換後の値を使って『1秒あたりの差分』を計算しています。

 

 

こちらのように取得されます。

 

まとめ

本記事では、Zabbixの保存前処理機能の中から、計算処理を行う『乗数』『差分』『1秒あたりの差分』について解説しました。

監視対象から取得できるデータは、必ずしもそのまま監視やグラフ化に適した形式であるとは限りません。しかし、保存前処理を適切に組み合わせることで、以下のようなメリットが得られます。

  • データの意味付け: 単なる数値(バイト数など)を、直感的に分かりやすい単位(bpsなど)に変換できる
  • 変化の可視化  : 累積値ではなく、増加傾向や速度を可視化することで、障害の予兆を捉えやすくなる
  • DB負荷の軽減   : 不要な生データを保存せず、必要な加工済みデータのみを保存できる

スクリプトやSQLでの加工に頼らず、Zabbixの設定だけで柔軟なデータ処理が可能です。ぜひこれらの機能を活用して、より効率的で精度の高い監視環境を構築してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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保有資格:健康マスター, FP3級
健康リテラシーと金融リテラシーの高さが強みのエンジニアです

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