中国/ベトナム/モロッコのライセンス毎の帯域確認方法

こんにちは。SCSK 中山です。

 

今回はちょっとニッチな記事にはなりますが、CatoクラウドのStand-alone Countries(単独で価格設定されている国)である、中国/ベトナム/モロッコのサイトをご利用の方向けにライセンス毎の帯域利用量を確認する方法を記事として書きたいと思います。

一応、中国/ベトナム/モロッコのサイトをご利用の方向けではありますが、他にも応用が利くかもしれない内容ではあるので、使っていない方も記事を読んでいただけると幸いです。

 

その前に何故中国/ベトナム/モロッコのStand-alone Countriesに限った話をしているかというと、

通常、Catoではライセンスをサイトごとに帯域のライセンスを提供しておりますが、中国/ベトナム/モロッコに限っては国内/国外の通信ごとでライセンス(Regional/Global)に分かれており、1つのサイトでもRegional/Globalのライセンスを契約する必要があります。そのため普通にCatoを使って通信をしていても、この通信はRegionalのライセンス側の帯域を利用していて、あの通信はGlobalのライセンスを使っているということが起こります。

これだけなら問題ないのですが、通信が遅い等でライセンスごとの帯域の利用量を確認しようとすると、現在(2024/9月時点)のCatoの機能では直接ライセンスごとの帯域使用量を確認できないため、チューニングが難しい状況です。

そこで、ちょっと工夫して事前に設定を行うことで各ライセンスごとに確認することができるようになるため、今回はその方法を紹介したいと思います。

 

通信要件の整理

設定・確認方法に行く前に通信要件を整理したいと思います。

お客様ごとに通信要件は異なるかと思いますが、一旦、日本拠点が1つとベトナム拠点が2つのみ設定しているという想定で記載したいと思います。

先程、国内/国外でごとでライセンスが分かれると記載しましたが、正確に言うと国内/国外の判定はどこの国へ通信するかではなく、どこのPoPから出ていくかで決まります。

そのため、様々な通信があるかと思いますが、Regional/Global Licenseの観点で整理すると、基本的には以下の①~③になるかと思います。加えて何かの要件で別のPoPから出ていく必要がある場合には、④も発生するという具合になります。

①ベトナムサイト⇒ベトナムサイト

②ベトナムサイト⇒日本サイト

③ベトナムサイト⇒Internet(ベトナムPoP)

(④ベトナムサイト⇒Internet(その他PoP))

 

上記①~④のうち、①③にRegional License、②④にGlobal Licenseが適用されます。

※ここではベトナム想定で記載をしておりますが、中国でサイトを作成する場合も同様のライセンス形態をとっており、中国の場合はGreat Firewallがある関係でGoogleアプリ等を利用する際には別PoPからアクセスする必要があるため、中国の場合には④も必須かもしれません。

 

事前設定

通信要件が整理できたので、事前設定をしていきたいと思います。

今回設定する内容はBand widthのPriorityをタグのように設定し、通信要件で整理した①~④をRegional/GlobalのLicenseごとにNetwork RuleでBand widthのPriority割り振っていくという内容になります。

1.CMAより、「Network」>「Bandwidth Management」を開き、新規で2つRegional/Global License用の「Priority」を作成します。

 

各サイトのRegional/Globalのライセンス分Priorityの割り当てを行う必要があるので、今回は以下のように4つ設定し、それぞれ用途に合うように割り当てをしていきたいと思います。

P50:ベトナムサイトA/Regional
P60:ベトナムサイトA/Global
P70:ベトナムサイトB/Regional
P80:ベトナムサイトB/Global

       ※ベトナムサイトBの設定については、ベトナムサイトAと手順が同様のため以降の手順では割愛します。

2.「Network」>「Network Rules」を開き、1サイトにつき以下3つのルールを作成します。(④がある場合には4つ作成します。)

用途 ①ベトナムサイト
⇒ベトナムサイト
(サイトA⇒サイトB)
②ベトナムサイト
⇒日本サイト
③ベトナムサイト
⇒Internet(ベトナムPoP)
④ベトナムサイト⇒Internet(その他PoP)
Type WAN WAN Internet Internet
Source ベトナムサイトA ベトナムサイトA ベトナムサイトA ベトナムサイト
Destination ベトナムサイトB Any Any <要件次第>
Bandwidth Priority P50 P60 P50 P60

これで設定自体は完了になります。

この設定を行ったことで、設定したサイトのRegionalの通信はP50、Globalの通信はP60に集約することができました。

 

トラフィックの確認方法

Regional/Globalの通信をP50/P60に割り当てしましたので、P50/P60のトラフィックを確認することで、各サイトのRegional/Globalのトラフィックを確認します。

 

1.「Network」>「Sites」より、確認したいサイトをクリックします。

 

2.左ペインより「Priority Analyzer」をクリックします。

 

3.上記で設定したPriorityを展開しますと、選択した期間に通信が発生している場合、トラフィックがグラフで確認できます。

 

※選択した期間内に通信が発生しているのにも関わらず、表示されない場合は別のNetwork Ruleによって割り振りがされていない可能性があります。その場合にはEvent等を確認し、どのルールが適用されているか確認し、調整する必要があります。

 

まとめ

今回はベトナム/中国サイトのトラフィックの見方についてご紹介いたしました。

現時点、きちんと中国/ベトナム/モロッコサイトも帯域の管理をしようとすると、今回紹介した方法くらいしかないと思いますので、ご利用の方は検討してみては如何でしょうか。

ただし、Network Ruleを変更することもあり、既存の通信にも影響が出かねないので、変更にあたっては十分注意していただくようお願いいたします。

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