ユーザー通信可視化の新機能!Experience Monitoringについて

どうも、Catoクラウドを担当している佐々木です。

今回は、2024年2月5日に発表された ユーザー通信可視化の新機能Experience Monitoring」 を紹介します。

 

画⾯は2024年2⽉時点のものです。機能アップデート等で変わる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

(2024年11月 追記)
2024年11月3日でトライアルが終了しました。
本機能は、セキュリティオプション「Digital Experience Monitoring Pro」として提供されます。

 

Experience Monitoringとは

「Experience Monitoring」とは、Catoユーザーの通信を可視化する新機能です。
これまでも「Monitoring」機能で、サイト/ユーザートラフィック、アプリケーション単位のトラフィック、接続状態、パケットロス、
レイテンシーなどの可視化が提供されていました。
「Experience Monitoring」では 快適に業務アプリを使えているかというモニタリング機能を新たに提供します。
 

Experience Monitoringのイメージ

「Experience Monitoring」のトップ画面です。
Experience Monitoring1
左のグラフは日時毎の通信状況を、右のグラフはアプリケーション単位の通信状況を、
「Good(良い)」「Fair(普通)」「Poor(悪い)」の3段階で評価。
そして、ここからユーザー単位、サイト単位、アプリケーション単位の詳細な情報にドリルダウン可能です。
 

Experience Monitoringで出来ること(2024/2時点)

「Experience Monitoring」では、2024年2月時点で以下の機能を提供しています。
  • User monitoring
  • Application monitoring
  • Network monitoring

KBを見るといろいろ書いてありますが端的に言うと、ユーザーデータを収集・分析して、ネットワーク状況がアプリのパフォーマンスや

ユーザー・エクスペリエンスにどのような影響を及ぼしているかを可視化することができる機能です。

 

例えば、とあるユーザーから特定のアプリケーション通信が遅いと申告があった場合、以下のようなことを簡単に確認できます。

  • 特定のアプリケーションだけに影響が出ているのか(ISPトラブルなどが原因でユーザー通信全般に影響が出ていないか)
  • 他のユーザーにも影響が出ていないか(アプリケーション起因の通信トラブルの可能性がないか)
  • 原因究明するための情報(TTFB、HTTP/S Latency、HTTP/S Error Rate情報など)

 

「Experience Monitoring」は今後も機能拡張を予定しており、以下機能の実装を検討しているようです。
 ・Synthetic Probing:ユーザー操作をシミュレートし、システムの潜在的な問題を発生前に特定する機能
 ・Endpoint Performance:端末の負荷状況(CPUやメモリなど)の監視機能

 

Experience Monitoringの利用方法

2024年2月の時点では、本機能を利用するにあたって特別な設定やライセンス購入、準備は必要ありません。

2024年11月3日でトライアルが終了しました。

本機能は、各種モニタリング機能を拡充し、セキュリティオプション「Digital Experience Monitoring Pro」として提供されます。

 

Monitoring>Experience Monitoringを選択すると上記トップ画面が表示されます。

 

KBやアップデート情報だと「A free trial of Experience Monitoring is available(=無料トライアルが利用可能)」と
記載がありますので、今後利用にあたって何らかの変更が発生する可能性があります。
⇒トライアル期間は終了しました(2024年11月 追記)
※CMA上にも以下のように表示されます。

EM3

 

各ステータスの見方、説明

EM2

基本的には他のMonitoring機能と同じ操作方法になります。

No 項目名 説明
1 Filterバー フィルターがページに適用されます。選択したフィルターは、ページ上のすべてのウィジェットに適用されます。クラウド アプリケーション用のフィルターがデフォルトで適用されます。
2 時間範囲 ページに適用される時間範囲です。最大期間は標準で 3か月です。
3 Account Experience すべてのアプリケーションの平均スコアが表示されます。
4 Top Applications ネットワーク内で最もよく使用されるアプリケーション毎のスコアが表示されます。
「View More」をクリックするとすべてのアプリケーションのスコアが表示されます。
5 Experience Type Tabs 画面下部の各タブには、ネットワーク内の Site、Users/Host、Applicationsのデータが表示されます。この表内の項目​​をクリックすると選択した項目ごとの詳細データが確認できます。

 

Site、Users/Host、Application、各項目ごとのモニタリングについて

「Experience Type Tabs」で特定のSite、Users/Host、Applicationsをクリックすると以下のような画面が表示され、

Site/User/Application単位の通信状況やスコアなどが確認できます。

 

▼Site Experience Monitoring

EM5

▼User Experience Monitoring

EM8

▼Application Experience Monitoring

EM10

 

また、同じ画面の下部には本機能で収集している以下情報を確認できます。

EM12

EM3

 

▼グラフで表示される情報一覧

項目 内容 グラフ表示の有無
Time to first Byte サーバーからデータの最初の1バイトを受け取るまでにかかる時間 すべてで表示
HTTP/S Latency HTTPリクエストとレスポンスの間の時間 すべてで表示
TCP Connect TCP 接続の確立にかかる時間 すべてで表示
TLS Connect TLS 接続の確立にかかる時間 すべてで表示
HTTP/S Error Rate HTTP エラーの割合 すべてで表示
Packet Loss Upstream/Downstream Last Mileパケットロスの割合 Site/Userのみグラフ表示
Discard Packets Upstream/Downstream Last Mileで破棄されたパケットの割合 Siteのみグラフ表示
Distance SiteからCatoCloudまでのDistance(距離) Site/Userのみグラフ表示
Tunnel Age SocketとPoP間の現在のDTLSトンネルが接続されている合計時間 Site/Userのみグラフ表示
Jitter Upstream/Downstream 遅延時間 Siteのみグラフ表示

 

活用イメージ

例えば、「ユーザーからMicrosoft365通信が遅い」と申告があった場合、以下のような切り分けが可能です。

  • 特定のアプリケーションだけに影響が出ているのか(ISPトラブルなどが原因でユーザー通信全般に影響が出ていないか)
    ⇒「User Experience Monitoring」各アプリケーションの通信状況を確認します。
    ⇒Microsoft365(Office365)以外も通信状況が悪い(Poor)場合:インターネット回線やNW機器のステータスを確認します。      
  • 他のユーザーにも影響が出ていないか(アプリケーション起因の通信トラブルの可能性がないか)
    ⇒トップ画面の「Applications」タブから「Office365」をクリックし、他のユーザーの通信状況を確認します。
    ⇒複数のユーザーでMicrosoft365(Office365)の通信状況が悪い(Poor)場合:アプリケーション起因の可能性があります。
    ⇒Microsoft365(Office365)で障害が発生していないかインターネットなどで確認します。

現状ではまだこのくらいの切り分けツールになりますが、今後も機能拡張を予定しているということですので、

「今後に乞うご期待!」 といったところでしょうか。

 

気になる点

評価基準は?

どのような基準で「Good」や「Poor」と評価しているのでしょうか。

KBによると、次のアプリケーション パフォーマンス メトリックに基づいたスコアを元に総合的に判断しており、

各項目ごとに、Cato AI によって学習された異なる閾値があるようです。

※閾値の値は公表されていませんでした。

  • Time to First byte
  • TCP Connect
  • TLS Connect
  • HTTP Latency
  • HTTP/S error

スコアが「Poor」だったら問題か?

ケースバイケースなので、Catoの公式見解は当然ありません。

1日Catoを接続して業務をしてみたところ、「Poor」な接続状況のアプリがそこそこあったり、TTFBが3秒近くかかっているアプリも

ありましたが、実際、業務をするうえで遅さや不便さは感じませんでした。

「Poor」=「問題」と考えるのではなく、利用者から申告があった場合のトラブル切り分けツールとして活用するのがいいかなと、

個人的には思っています。

 

注意事項

2024年2月時点では、アプリケーションのパフォーマンス メトリックは、TCP トラフィックについてのみ計算されます。

音声通話やオンラインミーティングの場合、UDPを利用することが多いです。

今の段階では、音声通話やオンラインミーティングの通信状況を完全に把握できない可能性があります。

 

将来的には、他のプロトコルのメトリクスもサポートされる予定です。

 

まとめ

今回のポイントです。

 

・「Experience Monitoring」では、ユーザが快適に業務アプリを使えているかモニタリングできる
・「○○さんの△△アプリが遅い」といった時の切り分けが容易にできる
・2024年2月時点では、TCPトラフィックにしか対応していない
・ただし、今後も様々な機能拡張を予定している
2024年11月3日以降は「Digital Experience Monitoring Pro」オプションの購入が必要
 

上記以外の情報についても弊社の「Catoに関するFAQサイト」に多数情報ございますのでご参考にください。

 

最後に、SCSKではPoCから導入、運用まで幅広くCatoに関する支援を行っております。

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