Amazon RDS for Oracle – AWS Well-Architectedフレームワーク

AWS Well-Architected フレームワークは、クラウドアーキテクトがアプリケーション向けに実装可能な安全で高いパフォーマンスと耐障害性を備え、効率的なインフラストラクチャを構築することをサポートする目的で開発されました。そのため AWS Well-Architected フレームワークを理解し考慮した上で AWS のシステムを構築することを強く推奨されています。

今回は Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) for Oracle の観点から、公開されている AWS Well-Architected フレームワークを見ていきます。

フレームワーク

AWS Well-Architected フレームワークでは、以下5つの柱に基づいて評価し、時間と共にスケールする設計を実装するための一貫したアプローチが提供されているため、システム設計、構築から運用まで、その観点を考慮することで幅広くリスクを避けることができます。

AWS Well-Architected の5つの柱

  • 運用上の優秀性
  • セキュリティ
  • 信頼性
  • パフォーマンス効率
  • コスト最適化

次に、AWS Well-Architected フレームワークの 5つの柱のそれぞれについて簡単に説明していきます。

運用上の優秀性

モニタリング

Amazon RDS for Oracle に対するモニタリングは、AWS が提供しているフルマネジメントモニタリングサービス Amazon CloudWatch を使うことで、データベースサーバの各リソース(CPU,メモリなど)の確認ができます。

Amazon CloudWatch でのモニタリングは、従来のオンプレのシステム監視とは違い、各種ログの出力はクラウド上の一か所に集中しているため、運用負担の軽減や各種ログの管理、グラフへの出力が容易にできます。

更に、Amazon CloudWatch Alarms アクションを作成して、Amazon Simple Notification Service (SNS)  トピックを通してメールで通知することもできます。

Amazon CloudWatch によるモニタリング

セキュリティ

セキュリティグループ(ファイアウォール)

AWSが提供しているネットワークサービスには無料のファイアウォールサービスがあります。

セキュリティグループのネットワーク通信防御機能を使って通信許可を最小限に設定し、想定外の通信を遮断することができます。

セキュリティグループの設定

信頼性

ビジネスや顧客の要求に応えるための障害の防止や、障害からの迅速な復旧を行う機能について焦点を当てます。主要なトピックには、設定、プロジェクト間の要件、復旧計画、および変更に対処する方法についての基礎的な要素が含まれます。

可用性

Amazon RDS for Oracle には、Multi-AZ 配置というサービスがあります。

これは常にスタンバイ用のデータベースを用意しておき、マスターデータベースが何らかの原因でサービスが継続できなくなった場合、即座にスタンバイデータベースを起動させてサービスを継続させるという可用性を向上させるサービスです。ミッションクリティカルのシステムはこの構成を検討すべきかもしれません。

バックアップ

Amazon RDS for Oracleのバックアップ機能は充実しています。自動バックアップを有効にした場合はスナップショットを最大35日間保持できるので、好きな時間に復元時刻を指定して、簡単にデータベースを復元できます。

自動バックアップ

パフォーマンス効率

パフォーマンスはシステム要件により、必要なCPUとメモリなどを決定します。

そこで、Amazon RDS for Oracle は vCPU、メモリ、EBS を組み合わせることで、小規模から大規模なシステムまで対応できる数十種類のインスタンスサイズが提供され、パフォーマンス要件に応じてインスタンスを選択できます。

以下の図は2019年8月20日現在、標準クラスでもっとも大きなDBインスタンスサイズです。vCPU が96、メモリが384GiB、EBS 送信・受信は 14Gbps になります。

DBインスタンスサイズ設定

コスト最適化

インスタンスタイプの変更

システム構成をスモールスタートにしたい場合は、クラウド環境ならより簡単に実現できます。

例えば、初期構築時点では 2vCPU のインスタンスを選択して、半年後に 8vCPU のインスタンスに変更するには数クリックで変更できるので、システムの規模に応じて柔軟に対応できます。

Amazon RDS for Oracle の場合、現在柔軟に変更できるのは DBインスタンスサイズ(vCPU、メモリ) とストレージ容量になっています。更に、構築後に長期間稼働するシステムに関しては、リザーブドインスタンスを購入してキャパシティを予約すると、割引も享受できます。

まとめ

今回は Amazon RDS for Oracle 構築の観点から、AWS Well-Architected フレームワークの運用上の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化5つの要素を紹介しました。

もちろん、AWS Well-Architected フレームワークは Amazon RDS for Oracle だけに適用するのではなく、AWS 環境にシステムを構築する際には、AWS Well-Architected フレームワークの考え方を用いてシステム全体の設計、構築、運用することで、上記の5つのメリットを最大限享受することができます。

より詳細な情報は、以下のAWSの公式サイトからダウンロードすることができます。

AWS Well-Architected – 安全で効率的なクラウドアプリケーション
AWS Well-Architected Framework では、デベロッパーがより迅速に、かつ低リスクでアプリケーションを構築およびデプロイし、AWS のベストプラクティスに従って情報に基づいた決定をするために役立つガイダンスが提供され...
タイトルとURLをコピーしました