本記事は TechHarmony Advent Calendar 2025 12/7付の記事です。 |
こんにちは!SCSKの安藤です。
毎年恒例、TechHarmonyのアドベントカレンダー企画です!🎉🎉🎉
今年は、前半の約3分の1日程でZabbix枠を頂くことになり、投稿のお誘いをいただきましたので参加させていただくことになりました。
はじめに
Zabbixは、オープンソースの監視ソリューションとして世界中で利用されています。
その進化の方向性を示す「Zabbix Roadmap」と、Zabbix Conference Japan 2025での発表内容から、次期バージョン Zabbix 8.0 LTSの、注目すべきポイントを整理しました。
1. Zabbix 8.0 LTSのリリース時期
- 2026年Q2にリリース予定
以下のページには2026年Q1と記載ありますが、大方の予想はQ2とのことです。
Zabbix Life Cycle and Release Policy
2. Zabbix8.0LTSの注目機能
Conferenceのテーマと公式ロードマップの情報より、以下の注目機能があげられます。
- オブザーバビリティの強化
OpenTelemetry対応、ログベース監視、クラウドネイティブ環境でのトレーシング - モバイルアプリ刷新
iOS/Android対応で外出先から問題管理 - イベント処理自動化
タグ変更、重複排除、カスタムJavaScript対応 - ネットワーク監視強化
NetFlowデータ収集、リアルタイムストリーミング - セキュリティ強化
SSO証明書UIアップロード、権限管理改善
オブザーバビリティの強化
監視からオブザーバビリティへ
Zabbix8.0LTSの注目機能の1つとして、オブザーバビリティがあります。
「監視(Monitoring)」と「オブザーバビリティ(Observability)」は似ているようで、目的とアプローチが異なります。
| 監視(Monitoring) | オブザーバビリティ(Observability) | |
|---|---|---|
| アプローチ | システムや構成要素の状態を定常的に観察
閾値を設定してアラートを発報 |
システム内部の状態を把握するため、メトリクス・ログ・トレースなど多様なデータを収集・分析
問題発生時に「なぜ起きたか」を探ることが可能 |
| 目的 | 障害検出や稼働状態の把握 | 障害調査や原因分析 |
| イメージ | 症状の確認 | 診断と治療 |
監視では、なぜ問題が起きたかまでは分かりません。
環境やサービスが分散・分割され、変化し続けていくクラウドネイティブや分散システムでは、障害調査や原因分析に強いオブザーバビリティが不可欠です。
オブザーバビリティの構成要素
- メトリクス:CPU使用率、メモリ、ネットワークなど定量データ
- ログ:アプリケーションやシステムのイベント記録
- トレース:複数サービス間のリクエストやトランザクションの流れ(※Zabbixは今後対応予定)
OpenTelemetry対応とテレメトリーの活用
Conferenceでは、OpenTelemetryがオブザーバビリティ実現の鍵として紹介されました。
- OpenTelemetryとは?
APM(アプリケーション性能管理)を実現するための標準規格
テレメトリーデータ送受信のプロトコル標準を定義し、APIやSDKを提供 - テレメトリーとは?
OSやアプリケーションから送信される内部稼働状況のデータ - Zabbix + OpenTelemetryの可能性
- アプリ側でテレメトリーデータ送信処理を実装
- 高価なフル機能Observabilityツールを導入せず、既存Zabbix環境に部分的なテレメトリ監視を追加
- 将来的には、アプリケーションのトランザクションをZabbixで監視できる世界が実現
モバイルアプリ刷新
Zabbixのモバイルアプリが登場します。
新しいiOS/Android対応アプリでは、問題通知、履歴データ参照、問題管理が可能になり、外出先でも迅速な対応が実現します。
SREや運用担当者にとって、スマートフォンからの監視・管理は大きな利便性向上です。
実は随分前にはリリースされていたとの話もありますが、私は見かけたことはなく、公開されたら自分のスマホにインストールしてみたいと思っています!
イベント処理自動化
複雑なイベント管理を効率化するため、エンタープライズアラームコンソールが導入されます。
タグや重大度の変更、フィルタリング、重複排除、さらにカスタムJavaScriptによる高度なパターンマッチングが可能。
セキュリティ監視や不正検知にも活用でき、運用負荷を大幅に削減します。
ネットワーク監視強化
ネットワークの可視化と分析機能が強化されます。
NetFlowデータ収集・可視化により、帯域使用状況や通信経路を詳細に把握可能。
さらに、ネットワーク機器からのリアルタイムストリーミング対応で、異常検知のスピードが向上します。
セキュリティ強化
SSO証明書のUIアップロードにより、認証設定がより簡単に。
また、プロキシやプロキシグループに対する権限ベースの可視化モデルが導入され、アクセス管理がより安全で柔軟になります。
まとめ
Zabbixは「監視」から「オブザーバビリティ」へ進化し、クラウドネイティブやSREのニーズに応える機能を拡充していきます。
Zabbix 8.0 LTSは、企業の監視基盤を次のレベルへ引き上げる重要なアップデートになるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。明日のアドベントカレンダーもお楽しみに!
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