【AWS】2年前にChatGPTと作ったコードをKiroのSpecモードで改修させてみた

本記事は 新人ブログマラソン2025 の記事です。

こんにちは。新人のtknです。

温かい日差しと春の風を感じることが多くなり、大量の花粉が舞い踊る…そんな日々ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
赤々とした杉を見るとついつい睨みそうになりますが、杉は二酸化炭素の吸収効率が良く、地球温暖化防止に役立つそうなので、それなら、しょうがないですかね……。

さて本日は、私が学生時代にChatGPTとちまちま作ったコードをKiro先生に添削させるとどれくらいの時間・コストがかかるのか?を調査していきたいと思います。

はじめに

2年前、学生の間でもChatGPTがすっかり身近になった頃、私の研究室では研究のお供にChatGPTを使うことが多くなりました。
用途としては、研究テーマや実験の案出し、参考文献の翻訳・要約、システムの実装サポート、実験データの分析サポート、論文の添削、自身の論文の英語化などに使用していました。

その中でも私は「システムの実装サポート」にChatGPTを最も活用していました。実際に使用していた方法は以下の通りです。

  • システムの概要(目的や機能、使用言語など)と実装したい機能を指示して、コード案を出してもらう
  • エラー文と状況を送って、エラーの原因と改善案を教えてもらう
  • 実装中のコードを添付して、そのコードの説明をしたうえで改善案を出してもらう

お察しいただけたでしょうか。
ChatGPTはIDEに統合されているサービスではないため、私はChatGPTを実装サポートに使用する際、

  1. プロンプトに一定の情報を記載したうえで指示を与える+必要に応じてコードを添付する
  2. ChatGPTが結果を出力する
  3. 出力結果を見て必要なものをコピーしてIDE上のコードファイルにペーストする

というように無駄な往復作業を繰り返していました
結果として、システム全体の構築には3か月くらいかかっていた気がします。

また、その他には以下のような問題が発生していました。

  • GPTはシステムの全体像や入力した内容以外のコードを把握していないため、目的に沿わないコード案を出すことがある
  • GPTがシステムの内容を忘れることがあり、時々一から説明する必要がある

そこで、現在の私は「IDE統合型のKiroのSpecモードで学生時代のコードを読み込んだら、あの頃の無駄な手間がどれくらいスマートになるのか?」という疑問を持ちました。

そのため今回は、実際にKiroにコードを読み込ませ、その理解から修正まで行った結果について、かかった時間とコストの観点を含めてお届けしたいと思います。

 

Kiro Specモードの実行

実際にKiroを使用してシステムの改修を行う前に、Kiroについて簡単にご説明したいと思います。

Kiroとは

KiroとはAWSが開発したエージェント型統合開発環境(Agentic IDE)であり、プロトタイプから本番品質のアプリケーションまで構築することができます。KiroはVS CodeをベースとしたIDEであり、既存のVS CodeユーザはVS Code上の設定をKiroに簡単に連携することが可能です。


Kiroの画面(右のチャット部ではVibe/Specモードを指定してAIエージェントとの対話を始められる)

また、KiroはVibe Coding(自然言語のプロンプトからAIがコードを生成・修正する開発手法)にも優れていますが、その強みとしてSpecモードとAgent Hooksが挙げられます。

  • Specモード:仕様駆動開発
    (事前に定義した仕様書に基づいて設計・実装・テストなどを進める開発手法)を実現する機能
    プロンプトを入力すると要件定義書の作成を開始し、ユーザの確認と許可に応じて要件定義フェーズ→設計フェーズ→実装フェーズと遷移して実装を進めていく
  • Agent Hooks:特定のイベントに基づいてアクションを自動で行わせることができるツール
    コードの変更時にREADMEファイルを自動で更新するなどのアクションを設定でき、コードの一貫性や品質を保持するのに役立ちます

このように、Kiroは従来の人手による開発を支援する機能がたくさん詰まっている画期的なIDEなのです。

①KiroのSpecモードでコードを理解させる

それでは、早速Kiroに過去のコードを読み込ませたいと思います。コードの特徴は以下の通りです。

  • 構成:フロントエンド(React)+ バックエンド(Node.js/Express)+ MySQLをDockerで動かす
  • 総ファイル数:69ファイル、総行数:約5,600行

私が最初に行った指示は以下の通りです。

これからこのアプリを改修したい。まずはアプリの内容や構成・機能を理解して、その結果を設計書として出力して

このとても雑な指示を受け、Kiroはなんと2分6秒で私の過去のコードを全て解読しました!そのコストは0.39クレジットです!
Kiroは毎月50クレジットが無料で付与され、初回利用では期間限定で500クレジット付与されるため、0.39クレジットはほぼ無いに等しいと言えます。また、有料版でも1クレジットあたり0.04ドルで追加購入できるため、0.04×0.39×156円/ドル≒2.4円となり、これぞ実質無料ですね!

また、Kiroは分析と同時に、アプリについて記載した573行のmdファイルを出力しました。

そこにはアプリの機能やデータの流れ、コンポーネント構成などについて詳細に記載されており、たった2分でアプリの強力な理解者を1人得ることができました。ファイルには以下のように図を用いた説明もあり、自身の理解だけでなく、他者に見せた際にも理解しやすいドキュメントとなっているのが良い点です。

②KiroのSpecモードでコードの修正案を出力させる

さて、3か月かけて作成したコードを2分で理解されたところで、Kiroに次の指示を出しました。

次はこのアプリの改善点や問題点を挙げたレポートを作成して

過去に一生懸命作った自分には悪いですが自ら斬られにいったところ、Kiroは2分9秒で33項目もの指摘ポイントを挙げました
学会の質疑だったらと思うとぞっとする量です。

先ほどと同様にKiroが出力したレポートを見ると、エラーハンドリング不足やバックエンドでの認証検証不足などが指摘されていました。
当時は内部での実験用アプリとして作成したため、優しいユーザたちにより重大な問題は起きていませんでしたが、本番利用するとなるとこれだけの改修が必要なことが2分で分かりました。

また、Kiroは問題を挙げるだけでなく、その優先度や改修にかかる時間、改修のロードマップ例も示してくれるため、ただこちらを絶望させるだけでなく今後どうするべきか?を前向きに考えるポイントをくれることも良い点です。

③KiroのSpecモードでコードの重要修正タスクを実行させる

Kiroは33項目の指摘を挙げてくれましたが、ロードマップを見ると最長で6か月とあり、今対処するには負担が大きいように感じます。
そこで、まずは最重要の改修だけを行うことにしました。

今回は緊急対処が必要な項目だけ対応したい。そのための計画を立てて

その結果、Kiroは3分15秒でEMERGENCY_FIX_PLANを作成してくれました。

しかし、1つあたりの課題の工数やかかる日数が極端に多いように感じたため、そこについて修正を依頼し、最終的には全体で5~7.5時間で終わる見積もりとなりました。
コードに基づいた緊急対応課題の洗い出しは正確でしたが、各課題対応の細かいタスクについて自動で洗い出しまで行っていないため、表記からの憶測で時間を多めに見積もってしまったようでした。

適切な修正プランができたところで、KiroのSpecモードを使用して実際に修正を行う準備を整えることにしました。

ブログ前半で示したように、KiroのSpecモードではユーザの指示から要件定義書の作成→設計書の作成→実装タスク定義書の作成を行います。今回は「要件定義書・デザイン~を作成してください」と指示していますが、Specモードを選択して「○○という改修を行いたい」などのプロンプトを入力するだけでも、自動で要件定義書の作成から開始してくれます!

さて、要件定義書の作成を指示すると、Kiroがこちらに「今回の改修は、新しい機能の追加または既存のバグの修正のどちらか?」と質問をしてきました。ここもKiroを利用する際のありがたいポイントです!

Kiroは、こちらからの指示の中で不足している情報がある場合や、実行の選択肢が複数ある場合などに追加の情報を求めてくれます
そのため、全く意図と異なる仕様で計画書を完成させて、クレジットを無駄にしたという場合を減らすことができます。クレジットを最適に使用するには、ある程度のプロンプトの工夫が必要になってきますが、凝っていないプロンプトでもエージェント側が最適になるように判断して動いてくれるのは、AI初心者にもありがたい仕様ですね。

また、Specモードでは次のフェーズに移行する際には、必ずユーザの許可が必要になります。
次のフェーズに進んでから前のフェーズのドキュメントを修正した場合も、自動で以降のドキュメントに修正を反映してくれるため、こちらの意図が反映された一貫性のあるドキュメントを手軽に作成できるのも良いポイントです。

さて、各フェーズで少しの修正を加えた結果、24分12秒で3つのドキュメントが完成しました。
最終的に作成されたtasks.mdは以下のようになっており、Startボタンを押すだけでエージェントがタスク定義に基づいて実装を開始してくれます。

早速、1つ目のタスク1.1から順に実行していきます。

すると、上記のTask.mdにおいて定義したように、バグの存在をテストコードで確認し、バグの根本的な原因を確認してくれました。
また、タスクが定義通りに終了したかをKiroが確認したうえで判定をしてくれるため、少しの安心感がある一方で、Kiroへの指示書(ドキュメント)の精度が問われる場面とも言えるかと思います。

上記のように全てのタスクを順に実行していった結果、Kiroが行った修正以外に何もすることなく、以下のようにローカル環境でシステムを立ち上げて一通りの機能を動かすことができました!

今回は大幅な修正が無かったことからKiroの修正のみで起動できましたが、新規機能追加などではエラー対応が必要な場合があります

さて、全ての修正が完了したということで、最終的にかかった時間とコストは以下の通りになりました。

  • 時間:ドキュメント作成 1,776s + タスク実行 14,555s ≒ 4時間30分 (※Kiroの動作時間)
    • プロンプトの作成やドキュメントの確認時間などを含めると、合計7時間くらいかと思われます
  • コスト:142.72 Credits ≒ $2.85(453円)
    • Kiroは無料プランで50Credits/月、PROプラン($20/月)で1000Credits/月利用可能(参考:Kiro | Pricing
    • 今回は$0.02/Creditsとして換算していますが、実際に利用する場合にはPROプランに入る必要があります

2年前のChatGPTとKiroを用いたコード開発の比較

各AIツールでの作業結果をまとめた表は以下の通りです。

  Web版 ChatGPT (2年前) Kiro
サービス形式 Web上でのAIチャット IDE統合型AIエージェント
利用用途 システム開発 システム改修
使用コスト $66(10,494円)
※$22/月プランを3か月利用
$20(3,180円)
※$20/月プランを1か月利用
使用時間 30時間
※動作時間30分/日で3か月間平日のみ利用
5時間
プロンプトの構成 参照してほしい情報は全て含めたうえで、
指示文を入力する
参照してほしい情報は確認を依頼したうえで、指示文を入力する

前提として、両者には2年もの歳月差があり、AIツールとしての位置づけや利用用途も異なるため、対照に比較することは難しい点をご了承ください。

それでもKiroでは、IDE統合型というユーザ環境を理解しやすい特性と、AIエージェントによるタスク実行などの利点により、時間やコストを大幅に抑えられたことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

何より、事前に把握してほしい情報を「確認して」の一言で理解してきてくれることが、私には非常に便利に感じられました。前提の共有に時間を取られず、開発そのものに集中できるのはエンジニアのたまごとして非常にありがたい限りです。

もっとも、Kiroを実際の開発業務に使用するにはまだまだ工夫が必要となります。その具体的なノウハウについては、今後の試行錯誤を通じて改めて共有できればと思います。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。厳密な比較ができないものを並べて語ってしまいましたので、理系畑の方の視線が怖くはありますが、KiroのSpecモードの便利さが少しでも伝わっていましたら幸いです。

私はKiroを利用し始めて早4か月、すっかりKiro先生に懐いています。Kiro先生のおかげで初めて知ったことも多くありますので、新人には嬉しい強力なパートナーです。

初めて利用する方は、期間限定でボーナス500Creditsがもらえますので、少しでも興味がある方は始めてみることをおすすめいたします!私の場合ですが、開発で頻繫に利用していても500Creditsの利用には半月ほどかかるため、十分な機能検証ができるのではないかと思います。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
企業の技術ブログらしくかっこよく技術情報をお届けしたいのですが、毎度やかましい文章になってしまうのはなぜなんでしょうか。。次回頑張りたいと思います。

暦の上では春分を迎え、春らしい日差しが増える季節となってまいりました。まだまだ寒い日もありますので、皆さまお身体ご自愛ください。

著者について
髙野沙也香

エンジニアを目指すたまご。殻の中でAWSを日々勉強中。からあげが好き。

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