皆様ご無沙汰しております。SCSK LifeKeeper担当 池田です。
最近は、ニューフェイスの勢いに押され気味でしたが、負けじと頑張りたいと思います!
さて、今回はWindows版のLifeKeeperとして先月(2024年12月12日)リリースされた「LifeKeeper for Windows v8.10.2」の変更点のなかでも、特に皆さんにご伝えしたい内容について解説していきたいと思います。
それでは張り切ってまいりましょう!
Amazon EBSマルチアタッチ機能をサポート!
まず、ご紹介したい新機能としては、「Amazon EBSマルチアタッチ機能」をサポートした点です。
Amazon EBSマルチアタッチ機能とは?
「Amazon EBSマルチアタッチ」とはなんぞや?という方もいらっしゃるかと思います。
AWS公式サイトによると
と書かれており、簡単にいうと「Amazon EBSマルチアタッチを使用すると、プロビジョンドIOPS SSD (io1 または io2) ボリュームを、同じAZにある複数のインスタンスにアタッチできるようになる」とのことです。
イメージはこんな感じです。
従来のオンプレミス環境における「共有ディスク構成」、あるいはMicrosoft Azureでは「Shared Disk」という機能がありますが、そのAWS版とでも言えますでしょうか。
EBSマルチアタッチ機能のサポートでこう変わる!
これまで、AWS環境において、LifeKeeperを用いたHAクラスタを構成する際は、異なるアベイラビリティゾーン(Availability Zone(以下、AZ))にEC2インスタンスを配置する必要がありました。
イメージはこんな感じです。
この構成のメリットは、なんと言ってもAZ障害時に耐えられるという点です。HAクラスタでEC2あるいは実装するミドルウェアの可用性を高めるだけではなく、AZ、言い換えるとデータセンター規模の障害にも耐えることができます。
一方で、デメリットがないわけではありません。
EBS間でデータ同期を取る必要がある場合、どうしてもAZ間のネットワークを介す必要があります。
AZ間は低レイテンシ(低遅延)の回線で接続されているとは言われていますが、単一AZ間に比べると、物理的にもネットワーク的にも距離が離れてしまうため、例えばデータベースの更新系処理が頻繁に実行されるシステムの場合、レスポンスへ影響を与える可能性があります。
今回ご紹介する「Amazon EBSマルチアタッチ機能」を利用すると、AWSの単一AZ内でHAクラスタを構成することができようになります。
イメージはこんな感じです。
とてもシンプルになりましたね。
もちろん忘れてはいけないのは、単一AZ内で構成されている為に、AZ規模の障害には対応できないという点です。
簡単にメリット・デメリットを整理してみます。
メリット | デメリット | |
複数AZ構成 | ・AZ障害に耐えられる | ・AZ間通信が必要な為、レスポンスが遅くなる可能性がある ※事前に実測することをお勧めします ・データ同期ソフトが必要 |
単一AZ構成 | ・レスポンスが早い ・データ同期ソフトが不要 |
・AZ障害に耐えられない |
このようにAZ障害に耐えられるか否かと、レスポンスがトレードオフの関係になっていることに注意してください。
いわば、下のイメージのように天秤のような関係性にあります。
レスポンスを重視すれば、高可用性が少し損なわれるといった具合です。
今回ご紹介した「AWS EBSマルチアタッチ機能」を用いてLifeKeeperのHAクラスタ構成を採用するシーンですが、
例えば、既存のオンプレ環境(共有ディスク構成)を、AWSにシフトしないといけない、AWS上での可用性も考慮しないといけないが、パフォーマンスが落ちることは許されない、と言ったパフォーマンスの要件が高いシステムにおける場面が想定されます。
まとめ
今回は、2024年12月12日にリリースされたLifeKeeper for Windows v8.10.2で強化されたポイントの一つである「Amazon EBSマルチアタッチ機能がサポートされた」点について解説しました。
これまでAZ間のデータ同期によるレスポンスの問題でAWSへの移行を躊躇していたシステムをお持ちのお客様にとって、今回のサポート追加はうれしいお知らせではないでしょうか。
従来の構成との、メリット・デメリットの違いを十分に理解した上で、そのシステムに最適な構成を選択してください。