みなさん、こんにちは。SCSKの津田です。
LifeKeeper は、オンプレミスの物理サーバから仮想基盤、各種クラウドサービスまで、幅広い環境で導入・運用できる高可用性クラスタソフトウェアです。
SIOSによると、近年ではクラウド環境への導入が全体の約半数を占めるまでに拡大しており、当チームでも設計・構築案件の多くがクラウド基盤上で展開されています。
とはいえ、多くの企業システムでは今なおオンプレミス環境が主軸として稼働しており、物理サーバや仮想基盤で LifeKeeper を利用したいというニーズも依然として高い状況です。
そこで本記事では、仮想環境においてLifeKeeperを導入する上で押さえておきたいポイントをご紹介します。
仮想環境での冗長化をご検討中の方は、ぜひご確認ください!
仮想環境のHAクラスター構成パターン
仮想環境で構成できるHAクラスター構成の基本パターンは以下となります。
共有ストレージが使えない環境では、データレプリケーション構成にすることが可能です。
| 構成①:共有ストレージ構成 | 構成②:データレプリケーション構成 | 構成③:データレプリケーション構成 (WSFCとの組み合わせ) |
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※HAクラスター構成の他にSSP(Single Server Protection)構成も可能。
仮想環境におけるLifeKeeper障害対応
LifeKeeperを導入することで、以下のような幅広い障害を検知し、自動復旧(フェールオーバー)によるサービス継続が可能となります。
・アプリケーション障害
・ゲストOS障害
・仮想マシン障害
・仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザ)障害
・物理ホスト障害
・ネットワーク障害(物理ホスト間のすべての通信経路断絶時)
※ゲストOS障害~ネットワーク障害までの範囲については、コミュニケーションパスが全て断たれた場合にノード障害として検知します。
上記の通り、物理ホストの障害にはもちろん、仮想マシンやアプリケーション単位の障害にも柔軟に対応できるため、仮想環境ならではの冗長性を最大限に活かすことができます。
特にVMwareの「vSphere HA」と比較した場合、ESXiホスト障害時にはLifeKeeperの方が障害検知から復旧までの時間が短いというメリットがあります。(LifeKeeperでは、待機系ESXiホストがあらかじめ起動状態で待機しているため、再起動が必要となるvSphere HAよりも迅速なフェールオーバーが可能。)
なお、リソースの監視や障害検知の方法については、仮想環境特有のものではなく、クラウド環境や物理環境と同様の仕組みを採用しています。
【OS別】サポート内容・留意事項
昨今Broadcom社によるVMwareの買収を受けて、VMware以外の仮想環境(ハイパーバイザ)を選択されるケースも増加傾向にあります。LifeKeeperでは、VMware以外の仮想環境にも対応していますので、お客様のニーズに合わせた仮想環境で高可用性構成を実現できる点も強みとなります。
本項ではLinux/Windows毎の最新サポート状況(Ver10)や留意事項をご紹介します。
LifeKeeper for Linux
サポート対象の仮想環境一覧(LifeKeeper for Linux version10.0)
LifeKeeper for Linuxでサポートされる仮想環境(ハイパーバイザ)は下記の通りとなります。
| 仮想環境 | バージョン |
| VMware vSphere | 7.0, 8.0, 8.0U1, 8.0U2, 8.0U3 |
| VMware Cloud on AWS | SDDC 1.19以降 |
| KVM | RHEL 8.10以降およびRHEL 9.0以降、ならびにOracle Linux(RHCK/UEK)8.10以降およびOracle Linux 9.0以降のバージョンのみをサポートし、その他のディストリビューションは対象外です。 |
| Nutanix Acropolis Hypervisor (AOS) | 6.10, 7.0, 7.3 |
| Hyper-V | Windows Server 2022 |
| Red Hat OpenShift Virtualization | 4.17以降 |
※仮想マシン上で使用できるOSついては下記をご確認ください。
オペレーティングシステム – LifeKeeper for Linux LIVE – 10.0
留意事項
サポート対象の各仮想環境に依存した制限や詳細な留意事項については、下記リンクの 「使用環境に関する制限・留意事項」 セクションをご確認ください。
仮想化環境 – LifeKeeper for Linux LIVE – 10.0
また、仮想環境として採用されることの多い VMware vSphere や Hyper‑V については、サイオステクノロジー社より個別の構成ガイドが提供されています。各ハイパーバイザでの構成例や特有の注意点が詳細にまとめられていますので、設計時には必ず確認することを推奨します。
▼ VMware vSphere
LifeKeeper for Linux 仮想環境構成ガイド (VMware vSphere編) – SIOS LifeKeeper/DataKeeper User Portal
[Linux][Windows]VMware vSphere環境でRDM使用時のLifeKeeperサポート構成について – SIOS LifeKeeper/DataKeeper User Portal
▼ Hyper‑V(Linux / Windows 共通)
LifeKeeper 仮想環境構成ガイド (Hyper-V編) – SIOS LifeKeeper/DataKeeper User Portal
共有ストレージ利用時の留意事項
LifeKeeper for Linuxでクラスタの共有データ領域を利用する際の構成については、以下をご参照ください。
[Linux]クラスターの共有データ領域として利用できる構成 – SIOS LifeKeeper/DataKeeper User Portal
なお、LifeKeeper for Linuxでは、共有ストレージの認定が行われています。複数ノードで同一データを参照する共有ストレージ(SCSI / FC / iSCSI / SASなど)は、SCSI-2/3 ReservationによるI/Oフェンシングを前提としており、認定されたストレージを使用する必要があります。認定ストレージの一覧は、以下のリンクにある表を展開してご確認ください。
共有ストレージ – LifeKeeper for Linux LIVE – 10.0
一方、以下の構成についてはストレージ認定が不要です。
・NASストレージ(Recovery Kit for NASが必要)
・DataKeeperによるデータレプリケーションに利用する全てのディスク装置(内蔵/外付けを問いません)
・vSphere上でVMDK ARKにより保護される共有ストレージ上の仮想ディスク
・以下の条件をすべて満たす環境で利用するストレージ(Any Storage)
① OS・ハードウェア・プラットフォームでサポートされているストレージであること
② LifeKeeperのSCSI Reservation機能をオフにすること
③ LifeKeeperのQuorum/Witnessによるフェンシング機能を利用すること
LifeKeeper for Windows
サポート対象の仮想環境一覧(LifeKeeper for Windows version10.0)
LifeKeeper for Windowsでサポートされる仮想環境(ハイパーバイザ)は下記の通りとなります。
| 仮想環境 | バージョン |
| VMware vSphere | 7.0, 8.0, 8.0U1, 8.0U2, 8.0U3 |
| Red Hat OpenShift Virtualization | 4.17以降 |
| KVM | RHEL 8.10以降およびRHEL 9.0以降、ならびにOracle Linux(RHCK/UEK)8.10以降およびOracle Linux 9.0以降のバージョンのみをサポートし、その他のディストリビューションは対象外です。 |
| Microsoft Hyper-V Server | 2016, 2019, 2022 |
| Nutanix Acropolis Hypervisor (AOS) | 6.10,7.0,7.3 |
※仮想マシン上で使用できるOSついては下記をご確認ください。
オペレーティングシステム – LifeKeeper for Windows LIVE – 10.0
留意事項
サポート対象の各仮想環境に依存した制限や詳細な留意事項については、下記リンクの 「使用環境に関する制限・留意事項」 セクションをご確認ください。
仮想化環境 – LifeKeeper for Windows LIVE – 10.0
また、仮想環境として採用されることの多い VMware vSphere や Hyper‑V については、サイオステクノロジー社より個別の構成ガイドが提供されています。各ハイパーバイザでの構成例や特有の注意点が詳細にまとめられていますので、設計時には必ず確認することを推奨します。
▼ VMware vSphere
LifeKeeper for Windows / DataKeeper Cluster Edition 仮想環境構成ガイド (VMware vSphere編) – SIOS LifeKeeper/DataKeeper User Portal
[Linux][Windows]VMware vSphere環境でRDM使用時のLifeKeeperサポート構成について – SIOS LifeKeeper/DataKeeper User Portal
▼ Hyper‑V(Linux / Windows 共通)
LifeKeeper 仮想環境構成ガイド (Hyper-V編) – SIOS LifeKeeper/DataKeeper User Portal
共有ストレージ利用時の留意事項
LifeKeeper for Windowsには、Linuxのようなサイオステクノロジー社による認定ストレージリストは公開されていませんが、標準的なSCSI、FC、iSCSI等の共有ディスクが利用可能です(参考:https://www.windowsservercatalog.com/hardware)。
詳細や制約については、事前にサポートへのお問い合わせを推奨いたします。
また、LifeKeeper for WindowsではAny Storageポリシーは提供されていませんが、Quorum/Witness機能を利用することでスプリットブレインの回避に役立ち、より堅牢な運用が可能となります。
【OS共通】その他設計・運用上のポイント
仮想環境専用ライセンスの使用ルール・制限事項
仮想環境では、以下のような仮想環境特有のライセンス利用ルールが設定されていますのでご注意ください。
・一つのライセンスは、一つの占有された物理ホスト上でのみ使用可能。
・異なる物理ホスト間でのみ、クラスター環境を構成可能。
・一つのライセンスで異なるバージョンのLifeKeeperを使用することは不可。
・一つのライセンスには一つのサポートレベルのみ適用可能。
・最低販売数量は2つ(Core 4、2クラスター環境)からとする。
LifeKeeper 設定上の考慮点
LifeKeeperのインストールおよびクラスター設定は、物理環境と同様の手順で行うことができます。具体的な手順については、オンラインマニュアルをご参照ください。
※IPリソースの監視処理について
仮想環境では、物理的なネットワークスイッチだけでなく、仮想的なネットワークスイッチも存在するため、これらを含めたネットワーク構成全体を十分に考慮する必要があります。
さいごに
今回は仮想環境においてLifeKeeperを導入する上で押さえておきたいポイントをご紹介いたしました。
多様な選択肢と注意点が存在しますが、その分多様な要件に適した HA 構成を実現できる柔軟性を備えています。
仮想環境でLifeKeeper導入をご検討中の方にとって、少しでも参考となりましたら幸いです。




