こんにちは。SCSKの樋口です。
2022年1月から3月にかけて、『産業DXブートキャンプ』という、社内(産業事業グループの社員)を対象としたクラウド人材育成施策を実施しました!
本施策とその成果について、簡単にご紹介をいたします。
産業DXブートキャンプとは
『産業DXブートキャンプ』とは、オリジナルの実践型開発研修です。
特徴は、
- 自己研鑽の時間で、(※一部業務中に対応)
- 5名前後のチームメンバーとともに、
- 約2か月間かけて、
- オリジナルのアプリを、
- 自ら企画・設計・開発する、
という、ハッカソンのような実践型の技術研修企画であるところです。
今回は初回トライアルという位置づけでの開催で、産業事業グループ全体から挙手制で参加者を募集しました。
開催の背景・目的
産業事業グループでは、様々な人材育成施策を行っています。
近年、「クラウドネイティブ」な案件の引き合いが増えており、資格取得で終わらず、実際に手を動かせるエンジニアの需要が高まっていました。
そのため、やる気のある人を集めて模擬プロジェクトに取り組んでもらうことで、実際に使える技術スキルを身に着けてもらう、このブートキャンプ企画が生まれました。
今回のテーマ
今回は、「クラウド(AWS)ネイティブアプリの開発」をテーマとし、Vue.js と AWS Amplify を用いた SPA(シングルページアプリケーション)の開発に取り組みました。
スケジュールと研修内容
参加者は通常の業務を持っている都合上、日中に時間を合わせてチーム開発をすることは難しいです。
そのため、今回のブートキャンプでは、「業務外での自己研鑽活動(=業務外勉強会)」という建て付けで実施をしました。
参加者は業務後や休日に集まり、技術の勉強や開発作業に取り掛かりました。
参加者によると、毎週10~30時間程度、勉強や開発作業に時間を割いたそうです。(やる気がすごい!)
期間は2ヶ月間と長めに取り、最初に基本的な講義やハンズオンを行った後、チームごとの開発フェーズへ移りました。
開発フェーズでの苦労が少ないように、勉強材料となるハンズオンやサンプルアプリの用意、相談窓口の設置なども運営として行いました。
運営・サポート体制
企画・運営・技術サポートは 私のチーム(産業事業グループ統括本部 統括部)にて行いました。
研修期間中は、運営も参加者にできるだけ寄り添い、以下の3点でサポートを行いました。
- 学習リソースの作成と提供
- 学習環境の提供
- 質問/相談窓口の提供
一部の技術サポートや相談について、AWS の PSA(パートナーソリューションアーキテクト)の方にもご協力をいただきました。
実施結果
SCSK社内(産業事業グループ内)から8名の参加者が集まり、2チームに分かれてオリジナルアプリの開発に取り組みました。
成果物は最終発表会(3月17日開催)で公開され、100名を超える観覧者から拍手喝采 がありました。(※ コロナのためオンライン開催)
Team1 : ラクノミー
Team1 が開発したアプリは、飲み会管理アプリ『ラクノミー』です。
飲み会の企画作成と出席管理を楽にするアプリであり、飲み会に招待された人が「出席」または「欠席」ボタンで回答をすると、管理者はその情報を一覧把握できます。
また、お店の場所を地図で表示する機能や、リマインドメールを送る機能などもあり、発表会では「忘年会でこのアプリを使いたい!」というコメントもありました。
開発では、DynamoDBの設計を支援するアプリ「NoSQL Workbench」を用いるなどの面白い取り組みもしており、アーキテクチャにもこだわりがつまっています。
Team2 : Travel Map
Team2 が開発したアプリは、旅行サポートアプリ『Travel Map』です。
メインの機能は2つあり、
- これから行きたいと思っている場所を管理できる機能
- 過去に行ったことがある場所を管理できる機能
が実装されています。
単に場所を管理できるだけでなく、地図との連携機能や感想/写真の保存、訪問場所の分析機能などもあり、発表会では賞賛の声が多く聞かれました。
Amplify Geo を用いた地図機能や Lambda + S3 を用いた写真保存機能など、AWS の様々な機能を活用したアーキテクチャも印象的でした。
ブートキャンプ参加者の声
ブートキャンプ終了後にアンケートをとったところ、全員が本研修に満足していることがわかりました。
いただいたコメントを分析すると、主に以下の3点が理由でした。
- テーマとした技術が良かった
- AWS, Vue.js というモダンな技術に触れることができた
- フロントエンドからバックエンドまでの一通りの開発経験を積めた
- プロジェクトの進め方を学ぶことができた
- 企画から開発までの一連の流れを経験することができた
- サービス企画やアジャイル開発に触れることができた
- メンバーが良かった
- 挙手制の研修であり、意識の高いメンバーが集まった
- 業務や年次が様々な人たちと交流し、互いに切磋琢磨することができた
また、ブートキャンプを通して、
- トライ & エラーの重要性を身にもって理解した
- トラブルシューティングのスキルが向上した
- 情報収集がうまくなった
- 自己研鑽の習慣がついた
などの学びがあり、成長できたという声もいただきました。
中には、「新人研修でやるべき」というコメントもあり、とても有意義な時間を過ごしてもらえたようでした。
今後に向けて
今回の研修の振り返りを丁寧に実施し、次の人材育成施策につなげていきたいと考えています。
今回の研修は、参加者の満足度は高かったものの、
- 参加者の負担が重かった (※ 2か月間勉強漬けだった)
- 企画者の負担も重かった (※ 運営やサポートが大変だった)
- ブートキャンプ卒業生が、習得したスキルを現場で活用できていない
ことなどに課題があると考えており、改善の方法を模索中です。
今後、新たな人材育成施策を実施した際には、改めてご紹介いたします。
また、本研修について、技術面でのサポートに協力いただいた AWS の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。