こんにちは
SCSKの庄司です。
今回は、ServiceNowの注文ガイド機能の基本を紹介していきます。
注文ガイドとは?
注文ガイドとは、複数のアイテムを生成する1つのサービスカタログ要求を送信するための機能です。
これを使うと「新入社員の受け入れのための一連の申請」としてPC、モニター、社用携帯、メールアカウント作成等といった複数のサービスカタログアイテムを一連の流れで選択・同時注文できるようになります。
また、ユーザー側としても一つのシナリオに際してあれこれ必要な申請を1つの画面で一度に送信できるため手間が省けるほか、申請漏れのリスクなども軽減することが可能です。
注文ガイドの基本動作
では、さっそく注文ガイドには具体的にどのような動作をするのか見ていきましょう。
今回は、New HireというPDI環境に搭載されている注文ガイドを使います。
※一部英語のままだった個所を私の判断で日本語に翻訳しました。皆さんのPDIとは異なる場合があります。
基本的に注文ガイドは3ステップで構成されています。
①「ニーズを説明」画面
「ニーズを説明」画面には説明が記載されています。
また、必要なカタログアイテムを特定するための変数を用意することもできます。
必須の項目を入力すると、画面右下[次へ]ボタンが活性化され、押下すると「オプションを選択」画面に遷移します。
②「オプションを選択」画面
ここで個別のアイテムに対して項目を入力したり、右側のボタンのオン/オフに応じて必要のないアイテムを申請から外すことも可能です。
ここで自動選択されるアイテムは「ニーズを説明」画面の項目の入力内容に応じて変更することも可能です。
例えば、今回「リモート勤務の社員ですか?」という項目で「はい」を選択すると、「オプションを選択」画面の「Desk Set Up」というアイテムが表示されなくなっています。
今回は「リモート勤務の社員ですか?」という項目で「はい」を選択した状態から、「Standard 27″ Monitor」を外した状態で[次へ]を選択します。
③「サマリー」画面
注文ガイド送信前の内容確認画面です。
申請対象として選択したアイテムを確認できます。
先ほどオプションから外した「Standard 27″ Monitor」には「含まれていません」の表示がされています。
内容が問題なかったら[今すぐ注文]を押下し、注文を実施します。
要求サマリー画面に遷移しましたが「Standard 27″ Monitor」は含まれておらず、他の3つのアイテムの要求が送信されていることがわかります。
ここまでが注文ガイドの大まかな動きになります。
注文ガイドの設定
ここからは注文ガイドの機能について紹介していきます。
ただし、通常のカタログアイテムと共通している部分も多くあるため、今回は注文ガイド独自の部分に限りお話ししていきます。
1. ルールベース
ルールベース関連リストでは、注文ガイド内に含める個別のアイテムを定義するためのレコードを作成します。
事前に作成してある個別のカタログアイテムを、注文ガイドと紐づけるイメージです。
先ほど注文ガイドの基本動作の説明に使用した「New Hire(新規雇用)」のルールベース関連リストは上記のようになっています。
「Standard Laptop」、「Standard 27″ Monitor」、「Desk Set Up」など、見たことのあるアイテムが並んでいますね。
また、ルールベースには「この条件が true の場合」という項目で、そのルールベースに対応するアイテムが選択されるための条件を設定することができます。
先ほど「リモート勤務の社員ですか?」で「はい」を選択した際に「Desk Set Up」が注文ガイド内から外されていたのは、「Desk Set Up」の条件が「「リモート勤務の社員ですか?」が「いいえ」の場合に表示する」になっているためです。
「Desk Set Up」のように「ニーズを説明」画面の変数とルールベースの「この条件が true の場合」を利用して、要求するアイテムを柔軟に変更させることで様々な顧客のニーズに対応した注文ガイドを作成することが可能になります。
2. アイテム変数のアサイン
ルールベースレコードの関連リストとしてアイテム変数のアサインがあります。
アイテム変数のアサインには、割り当てタイプが「注文ガイド変数」の場合と「値」の場合の2通りの使い方があります。
割り当てタイプ:注文ガイド変数
割り当てタイプで注文ガイド変数を選択している場合は、注文ガイドの変数の値をルールベースのカタログアイテム内変数にすることができます。
アイテム変数にはルールベースのカタログアイテム内変数を、注文ガイド変数には注文ガイド内の変数を選択します。
上記レコードを送信した後、指定した注文ガイド変数に「アサイン変数のテスト」と入力します。
「オプションを選択」画面に遷移後、指定したアイテム変数を確認すると先ほど入力した文字列が自動入力されています。
この機能を使うことで、注文ガイド変数とアイテム変数とで同じ内容を入力させる際に一回の入力で複数項目に入力させることができるため、冗長な作業をなくして作業を効率化したり、自動入力にすることで入力ミスの可能性も低減させることができます。
非常に有用な機能です。
ただし、この機能の注意点として参照タイプの変数と1行テキストの変数のように変数タイプ違いだと対応できない場合があります。
割り当てタイプ:値
割り当てタイプで値を選択している場合は、固定の値をアイテム変数に自動入力することができます。
試しに、先ほどと同様のアイテム変数に対して「アサイン変数のテスト2」という値を設定します。
ポータルの注文ガイド画面を確認しに行くと、指定したアイテム変数に「アサイン変数のテスト2」という値が自動入力されています。
割り当てタイプが値の場合は、指定したアイテム変数のタイプに応じた値を設定することが可能です。
以下はsys_userテーブルを参照している変数の場合の画面です。
この注文ガイド経由で申請する場合、このアイテムのこの変数はこの値で固定、という場合に役立てることができそうです。
3. カスケード変数
この値がTRUEの場合、同じ変数名の変数間で入力値を共有することが出来ます。
カスケード変数をTRUEにしたのでカタログアイテム「New Email Account」に用意されている変数「Preferred Email address(変数名:new_email)」と同じ変数名の変数を注文ガイド側にも用意し、適当な値を入力します。
[次へ]を押下し「オプションを選択」画面に遷移すると、「New Email Account」の変数「Preferred Email address(変数名:new_email)」に同様の値が自動で入力されています。
イメージは上で紹介した割り当てタイプ:注文ガイド変数のアイテム変数のアサインとかなり似ています。
相違点としては、アイテム変数のアサインは変数名が異なっていても使用できるが、カスケード変数は変数名が同一の変数間でのみ入力値の共有が可能という点があります。
一方で、カスケード変数はチェックボックスをTRUEにするだけで複数のカタログアイテムに跨って入力値を共有することができます。
アイテム変数のアサインはルールベースごとに設定が必要になるので、複数のカタログアイテム間で共通の変数を所持している場合はカスケード変数を利用し、その他の変数間で値の共有をスポット利用したい際はアイテム変数のアサインを利用するという使い方がベストに思います。
4. 含めるかどうかの切り替えを表示
この値のTRUE/FALSEに応じて、注文ガイドの基本動作でも紹介した「オプションを選択」画面のアイテム右側にあるボタンの表示/非表示を設定できます。
この値をFALSEにすることで本来必要なアイテムが外されてしまうことを防ぐことが可能です。
ただし、その場合はオプションのアイテムの要否を「ニーズを説明」画面で詳細に確認しておく必要があります。
5. 2ステップ
この値がTRUEの場合、注文ガイドの要求送信までのステップをデフォルトの3ステップから2ステップに短縮します。
まずは3ステップの場合から見ていきます。
先ほど紹介したポータルでの動き同様「ニーズの説明」画面から始まり、「オプションを選択」画面に遷移します。
「オプションを選択」画面で必要項目へ入力を実施し、[チェックアウト]ボタンを押下します。
チェックアウト画面に遷移しますが送信前に最終確認が入り、ここで再度[チェックアウト]を押下すると要求が送信されます。
このように、3ステップの注文ガイドではサービスポータル同様、以下の流れで要求が送信されます。
①ニーズを説明 ⇒ ②オプションを選択 ⇒ ③最終確認 ⇒ ④要求の送信(注文ステータス画面)
一方、2ステップの場合は以下のようになります。
3ステップ同様、「ニーズの説明」画面から「オプションを選択」画面に遷移します。
ここで、[チェックアウト]を押下すると最終確認の画面が飛ばされ、要求が送信されて注文ステータス画面にまで遷移します。
このように、「2ステップ」の注文ガイドは以下の流れなります。
①ニーズを説明 ⇒ ②オプションを選択 ⇒ ③要求の送信(注文ステータス画面)
注文を速度重視にするか、安全性重視にするかで2ステップと3ステップを使い分けることができそうですね。
ただし、この2ステップ機能については現状だとサービスポータルには反映されないようなので注意が必要です。
6. すべての質問のヘルプを展開
この値をTRUEにすると、各種変数に存在するヘルプテキストを、変数上での「常に展開する」項目のTRUE/FALSEに関わらず該当の注文ガイド上では展開させた状態にさせます。
ただし、個別のアイテム内のヘルプテキストは対象にならない点には留意が必要です。
あくまで「注文ガイド」内の変数、変数セットに対してのみ効力を持つようです。
まとめ
以上が注文ガイドの基本になります。
注文ガイドは、ユーザーが1つのシナリオに対して複数の申請を一括で行える、非常に便利な機能です。
今回ご紹介した基本機能に加え、スクリプトなどを活用することで、さらに柔軟で効率的な申請フォームを構築することも可能です。
また、詳細は別途ご紹介予定ですが、特定のプラグインを追加することで、注文ガイド内で申請内容に順序をつけることもできます。
新入社員の受け入れや異動対応など、複数のリクエストが発生しやすい業務においては、特に効果を発揮します。
業務効率化の一手段として、ぜひ導入を検討してみてください。