AWS の Amazon EC2 と Amazon RDS には、主に下記2つの側面でサポート終了というものがあります。
- EC2 の OS や、RDS の DB エンジンバージョンのサポート終了
- インスタンスタイプのサポート終了(EC2、RDS共通)
そのサポート終了について、どのような影響があるのかなどを調べる機会が多かったため、今回ブログにて整理します。
Amazon EC2 の OS や、Amazon RDS の DB エンジンバージョンのサポート終了
このタイトルについて、EC2とRDSそれぞれ分けて記載いたします。
Amazon EC2
EC2における、LinuxやWindowsといったOSのサポート終了が発生する際は、AWSからルートアカウント宛へ通知メールが送付されます。もしくは、AWS Healthでイベントとして見ることもできます。
これらのサポート終了は、主にOS提供元ベンダーのサポートが終了する事に伴って起こります。
EC2でOSのサポートが終了する場合の影響を、①サポート終了について告知後と、②実際のサポート終了後の2つの時期に分けて、下記に記しました。
①サポート終了告知後
・新規インスタンスの立ち上げについて
期限付きですが、サポートが終了するOSの、AWS提供のパブリックAMIを使って新規インスタンスを立ち上げることは可能です。
AWSの通知内容に、いつまで新規のインスタンスが立ち上げられるか、が記載されるのでその日まで新規立ち上げは可能です。
また、カスタムAMIを使った立ち上げは、立ち上げ時期に関する制約はございません。
・サポート終了OSが稼働している既存のインスタンスについて
使い続けることは可能です。セキュリティを鑑み、サポート終了までにアップデートすることを推奨します。
②実際のサポート終了後
・新規インスタンスの立ち上げについて
サポートが終了したOSの、AWS提供のパブリックAMIを使って新規インスタンスを立ち上げることは不可能になります。
ただし、サポート終了したOSのカスタムAMIを事前に作っていた場合、それを使ってインスタンスを起動することは可能です。
・サポート終了OSが稼働している既存のインスタンスについて
使い続けることは可能です。AWSによる強制アップデートなどは発生しません。これは、責任共有モデルの観点で、EC2のOS層以上は利用者の責任範囲にあたるため、利用者の責任にて使い続けることが可能なためです。
Amazon RDS
RDSにおける、MySQLやSQL ServerといったDBエンジンバージョンのサポート終了が発生する際は、AWSからルートアカウント宛へ通知メールが送付されます。もしくは、AWS Healthでイベントとして見ることもできます。
これらのサポート終了は、主にDBエンジン提供元ベンダーのサポートが終了する事に伴って起こります。
RDSでDBエンジンのサポートが終了する場合の影響を、①サポート終了について告知後と、②実際のサポート終了後の2つの時期に分けて、下記に記しました。
①サポート終了告知後
・新規インスタンスの立ち上げについて
期限付きですが、サポートが終了するDBエンジンバージョンの新規インスタンスを立ち上げることは可能です。
AWSの通知内容に、いつまで新規のインスタンスが立ち上げられるか、が記載されるのでその日まで新規立ち上げは可能です。
・サポート終了OSが稼働している既存のインスタンスについて
使い続けることは可能です。ただし、後述するようにAWSによる強制アップデートが起こる為、サポート終了より前にアップデートすることを推奨します。
②実際のサポート終了後
・新規インスタンスの立ち上げについて
サポートが終了したDBエンジンバージョンの新規インスタンスを立ち上げることは不可能となります。
・サポート終了OSが稼働している既存のインスタンスについて
サポート終了後、AWS側で強制的に最新のDBエンジンへのアップデート処理が実施されます。この強制アップデートは、AWS側の都合でスケジュールが組まれ、そのメンテナンスの時間の間はインスタンスが使えない状態となります。利用者の方からスケジュールをリクエストすることはできません。
これは、責任共有モデルにおいて、RDSはDBエンジンなどもAWSの管理下に置かれるためです。そのため、サポートが終了した場合、強制的にAWS側でアップデートを実施する事になるのです。
・DBエンジンのメジャーバージョンとマイナーバージョンそれぞれの対応について
DBエンジンのメジャーバージョンとマイナーバージョンのサポート終了に伴う影響については、両者に違いはございません。
前2つで記載した、新規インスタンスの立ち上げや既存インスタンスの影響については、メジャーバージョンと、マイナーバージョンのサポート終了それぞれで起こる事象となります。
なお、メジャーバージョンとマイナーバージョンのサポート期間については、下記となります。
- メジャーバージョンは、Amazon RDS によるサポートが開始されてから、少なくとも 3 年間のサポート
- マイナーバージョンは、Amazon RDS によるサポートが開始されてから、少なくとも 1 年間のサポート
インスタンスタイプのサポート終了(EC2、RDS共通)
続いては、インスタンスタイプのサポート終了について記します。
こちらは、EC2とRDSどちらも共通となりますので、①サポート終了について告知後と、②実際のサポート終了後の2つの時期に分けて、下記に記しました。
①サポート終了告知後
・新規インスタンスの立ち上げについて
期限付きですが、サポートが終了するインスタンスタイプの新規インスタンスを立ち上げることは可能です。
AWSの通知内容に、いつまで新規のインスタンスが立ち上げられるか、が記載されるのでその日まで新規立ち上げは可能です。
・サポート終了するインスタンスタイプで稼働している既存のインスタンスについて
使い続けることは可能です。ただし、後述するようにAWSによる強制アップデートが起こる為、サポート終了より前にアップデートすることを推奨します。
②実際のサポート終了後
・新規インスタンスの立ち上げについて
EC2とRDSともにサポート終了後、新規立ち上げは一切不可となります。
・サポート終了したインスタンスタイプで稼働している既存のインスタンスについて
EC2とRDSともにサポート終了後、AWS側で強制的に最新のインスタンスタイプへのアップデート処理が実施されます。この強制アップデートは、AWS側の都合でスケジュールが組まれ、そのメンテナンスの時間の間はインスタンスが使えない状態となります。利用者の方からスケジュールをリクエストすることはできません。
これは、責任共有モデルにおいて、EC2やRDSの基盤がAWSの管理下に置かれるためです。そのため、サポートが終了した場合、強制的にAWS側でアップデートを実施する事になるのです。
最後に
今回、OSやDBエンジン、インスタンスタイプのサポート終了について整理しました。
改めて見てみると、責任共有モデルがAWS側にあるものについては、サポート終了後に強制アップデートがかかる仕様となります。これはAWS側でスケジュールが組まれてインスタンスが停止するので、あらかじめ計画立ててアップデートをした方が良いです。
また、EC2のOSについてはサポート終了後でも、条件付きで使い続けることは可能ですが、セキュリティ上望ましくはないので、事前にアップデートしておくことを推奨いたします。
最後に、サポート終了するインスタンスタイプのリザーブドインスタンスの取り扱いについては、購入元のサポート窓口までお問い合わせいただくようお願いします。