オフィス拠点にCato Socketを設置してCatoクラウドに接続する際に契約帯域を決める必要がありますが、いったい何Mbpsで接続すればよいか悩まれる場合もあるかと思います。今回は帯域選定についての話です。
はじめに
Cato接続で帯域を意識するのは図1でいうとA・B・Cの3か所ですが、今回取り上げるのは「図1-A」の拠点接続の部分です。
「図1-B」は社内サーバがあるデータセンターなどの接続部分です。ここの帯域決めはお客様によってかなり差があるので、既存回線のトラフィック量をベースにサイジングしないと難しいです。同じくらいの拠点数やユーザー数のお客様でも100Mbpsで足りてるケースもあれば500Mbpsでフルフルのケースもあります。
「図1-C」はインターネットへの出口となる箇所です。オンプレ環境の場合はFirewallのスループットやセッション数を気にする必要がありますが、Catoでは利用者側で管理する必要はありません。
お客様との会話の中で「図1-A」の帯域選定の話になった時、我々からお伝えしているのは以下の通りです。
- 既存回線のトラフィック利用状況の情報をベースにする。
- 帯域の増速は随時できるが減速は契約更新月にしかできないので、スモールスタートが原則。
拠点の通信量はある程度ユーザー数に依存しますので、拠点の帯域とユーザー数の関連性を調べてみてみました。
尚、実際の通信量はユーザー数だけではなく業務内容やアプリケーションの種類も関わってきます。一概にユーザー数だけという訳ではないので、あくまで参考情報として捉えて下さい。
拠点の帯域サイジングはざっくり「1ユーザー=1Mbps」
まず、当社でご契約いただいている利用帯域の割合を調べたところ、図2の通りCatoのミニマム帯域である25Mbpsが6~7割を占めていました。ユーザー数がさほど多くない支店や営業所には25Mbpsを割り当てて利用しているという状況が推測されます。
図2. 契約帯域の割合
では、25Mbpsの利用拠点はどのくらいのユーザー数なのでしょうか?
図3は、Cato Management Application(CMA)で確認した25Mbps拠点の接続Host数の割合です。
尚、Host数はサーバー等も含めた数なのでユーザー数とイコールではありません。ここからはCMAで表示される「Host」を単位として記載しますが、ただ25Mbps拠点にサーバがあるのは稀かと思いますので、ほぼユーザー数とみてもよいでしょう。
図3. 25Mbps拠点の接続Host数
25Mbps拠点は、20Host以下の拠点が半分を超え30Host以下の拠点が約75%という状況でした。
これらの拠点の平日日中の通信量をCMAのMonitoringでみると、20~30Hostの拠点では一日のうち25Mbpsに達する時間帯もありますが、いわゆるトラフィックの張り付き状態ではありませんでした。10Host以下の拠点だとピークでも25Mbpsに達しないという状況でした。
対して40Hostくらいの拠点になると日中時間中ずっと25Mbps上限に迫るくらいの通信量で、80Host超の拠点はトラフィックの張り付き状態が継続しているといった感じでした。
同様に50Mbps接続拠点のHost数もみてみましょう。
図4. 50Mbps拠点の接続Host数
結果は50Hostの拠点が50%弱、75Hostの拠点が75%という状況でした。
平日日中の通信量をみると、50Hostくらいまでならまだ余裕があり60~70Hostになると通信量が多いなと思える状態でした。
これらの結果から、拠点の帯域選定を行う際は「1Host(ユーザー)=1Mbps」を一つの目安にする事ができるのはと考えています。
但し、もっと高帯域の100Mbps以上の拠点をみると、拠点によって通信量がまちまちで参考にならないものでした。
因みに、100Mbps拠点は10Hostから800Host以上の拠点があり、平均すると180Hostでした。
800Hostを超える拠点も複数あるのですが、必ずしもトラフィックが張り付いているという訳ではないところが不思議です。
数が多い小規模拠点にはPooledライセンスがマッチ
話は変わって、少人数多拠点のネットワークなどで10Host未満の拠点が多数ある場合は、Pooledライセンスがマッチするかもしれません。
1拠点10Host未満の拠点や常時PCを使用しないようなトラフィックが少ない拠点であれば25Mbpsでもオーバースペックと言えます。その場合は、通常のSiteライセンスではなくPooledライセンスをご契約いただければ、最低10Mbps単位で各拠点に帯域を割り当てる事ができるので25Mbpsのライセンスを拠点分ご契約いただくよりコストメリットが出る場合があります。
尚、Pooledライセンスは1Gbps以上での契約となります。以下は1Gbpsを各拠点に割り当てる場合の例です。
例1 | データセンター:100Mbps 拠点:10Mbps×90拠点 |
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例2 | データセンター:100Mbps 拠点:10Mbps×70拠点、20Mbps×10拠点 |
例3 | データセンター:100Mbps 拠点:10Mbps×70拠点 残りの200Mbpsを在庫として確保しておき、通信量が増えた拠点に帯域を追加したり、期間限定の拠点用に割り当て、閉鎖になったらまた在庫として保持する事ができます。 |
Pooldライセンスを含むCatoクラウドのサービス料金については以下の記事を参照下さい。
少規模拠点はSDPユーザー接続で済ますことも
また、ユーザー数が少ない拠点はSocketを設置せずSDPユーザーだけでCatoに接続する事も可能です。但しSocketを使用しない事による制限や運用管理面でのデメリットが生じます。
詳しくは以下の記事を参照下さい。
最後に
帯域選定の話から脱線してしまいましたが、PooledライセンスやSDPユーザーの事例をご紹介させていただきました。
帯域をどうするか?接続方式をどうするか?については、最終的にはコストと機能面/管理面のトレードオフの話になるかと思います。
SCSKでは、お客様のネットワーク特性・利用状況を考慮して最適な帯域選定をご支援させていただきます。