どうも、Catoクラウドを担当している佐々木です。
CatoユーザからPoP切替タイミングを制御したい、という問い合わせを多くいただきますので、
今回は PoPの切替に関する動作説明(仕様)と切替タイミングの変更 について紹介します。
PoP選択について
通常Catoクラウドへ接続を開始すると、自動的にユーザのロケーションに最も近い最寄りのPoPに接続されます。
また、優先して接続したいPoPを定義している場合、まず優先PoPとの接続を試みます。
詳細は、過去のブログ記事(「経路選択の仕組み」「Site(拠点)を指定のPoPに接続する」あたり)を参照ください。
PoPが切り替わるときはどんな時?
SocketとPoP間では、パケットロス、遅延などを常時監視しています。
常時監視する機能を「Connection SLA」と呼びます。
Connection SLAの監視項目の数値が閾値を下回ったりPoPとのトンネルが切断されると、Socketは通信復旧を自動で試みます。
この通信復旧手段の一つとして「PoPの切り替わり」も試みます。
つまり、「PoPの切り替わり」が発生するのは、SiteとPoPとの通信が切断された時、もしくは通信が不安定な時ということです。
PoPが切り替わるとどうなるの?
PoP切り替えのタイミングで、瞬断~数秒程度の通信が発生する可能性があります。
「PoPの切り替わり」は通信が不安定なタイミングで発生するため、切り替わることで通信状況が改善される可能性があります。
PoPの切り替わりタイミングを制御したい
「PoPの切り替わり」は、SiteとPoPとの通信が切断されたとき、または通信が不安定なタイミングで発生します。
通信が不安定なタイミングとは、前述の Connection SLA(監視機能)の閾値を下回っている状態を指します。
閾値によっては、PoPの切り替わりが頻繁に起こったり、逆に切り替わりに時間がかかることがあるため、閾値をチューニングしたい、というお客様もいらっしゃると思います。
監視項目(Connection SLA)の閾値を変更することで、PoP切り替えタイミングについて制御する方法をご説明します。
閾値のチューニング方法~Connection SLA~
「Connection SLA」は以下から設定可能です。
「Network」>「Connection SLA」を選択し、「SLA Thresholds」をクリックします。
デフォルトの状態だと以下の通り、「Cato Smart SLA」が選択されています。
デフォルト(Cato Smart SLA)の閾値は以下の通りです。
- パケットロス:10%
- 遅延(レイテンシー):300 ms
- 評価期間:10分間
※パケットロスと遅延はor条件です。
つまり、パケットロスが10%、もしくは遅延が300ms以上の状態が10分間発生すると切り替わりが発生します。
任意の設定をする場合は、「Use custom SLA thresholds for Packet Loss and Latency」を選択いただき、表示される項目に任意の値を設定ください。
注意点
回線冗長構成の場合
シングル構成の場合は、PoPとのトンネルがダウンしたり、パケットロスが100%になったり、「Connection SLA」の閾値を下回ればすぐにPoPが切り替わりますが、回線冗長構成の場合、すべてのアクティブリンクが上記状態にならないとPoPの切り替わりが発生しません。
※ 回線冗長構成:1台のSocketに複数のインターネット回線が接続されている構成
例えば、Activeポートのインターネット回線のみで障害が発生している場合、PoPは切り替わらずPassiveポートを利用します。
※ ActiveポートとPassiveポートはそれぞれ独立してPoPとトンネルを常時接続していますが、Active/Passiveで必ず同じPoPを利用します。
閾値を厳しくすると逆に不安定になるかも
閾値を厳しくし過ぎると、頻繁にポートのステータスや接続PoPが変わり、逆に通信が不安定になってしまう可能性があります。
例えばフレッツ回線のようなベストエフォート回線をご利用の場合、数%のパケットロスが発生することは珍しくありません。
ご利用のインターネット回線の種類に応じて、適切な閾値を検討ください。
全Siteを対象とした設定と、Siteごとの設定が可能
上記の設定方法は、全Siteを対象とした設定になります。
特定のSiteのみ設定したい場合は、以下の方法で可能です。
「Network」>「Sitesから設定したいサイト」を選択します。
「Site Configuration」>「Connection SLA」>「SLA thresholds」で「Override Account Settings」をチェックし、
任意の閾値を設定ください。
まとめ
今回のポイントは以下になります。
・通信の不安定さは監視項目(Connection SLA)の閾値を下回るかどうかで判断
・監視項目(Connection SLA)の閾値は手動で変更可能
本機能含め、弊社の「Catoに関するFAQサイト」にはCatoに関する多数の情報ございますのでご参考にください。
最後に、SCSKではPoCから導入、運用まで幅広くCatoに関する支援を行っております。
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