【Catoクラウド】Advanced AI アシスタントがリリースされました!

本記事は TechHarmony Advent Calendar 2025 12/14付の記事です

こんにちは、Catoクラウド担当SEの中川です!

先日、Cato Networksから Advanced AI Assistant がリリースされました。このアップデートにより、AIが アカウント固有の情報に基づいて回答できる ようになったという、驚きの機能拡張です。

従来のCatoのAIアシスタントは、主に 仕様や設定手順の解説 を行うもので、Knowledge Baseを参照しながら一般的な質問に答える仕組みでした。しかし、今回のアップデートでは、自分のアカウントに紐づく情報(例:Siteの状態、ユーザの接続状況など)をもとに、より具体的な回答が可能になっています。

この機能により、運用担当者は 「今、自分の環境で何が起きているのか」 をAIに直接尋ねることができ、トラブルシューティングや日常運用の効率が大幅に向上します。

本記事では、この新機能の概要、利用方法、そして実際にどんな質問ができるのかを紹介していきます。


Cato Advanced AI Assistantの概要

そもそもですが、Cato Networksが提供する Ask AI Assistant とは、CMAに搭載されているCatoクラウドの運用をサポートするためのAI機能です。

従来のAIアシスタントは、CatoのKnowledge Baseを参照しながら、仕様や手順に関する一般的な質問に回答してくれるものでした。

これまでのAIでもかなり便利で、特に設定手順を聞きながらその画面で設定ができることが魅力的でした。しかし、自分のアカウントに関する情報にはアクセスできなかったため、回答はあくまで一般論に留まっていました。

これまでのAIアシスタントについては、下記のブログでご紹介しておりますので、よろしければご参照ください。

【Catoクラウド】新機能「AIアシスタント」がリリース – TechHarmony


機能拡張:アカウント固有情報へのアクセスが可能に

今回のアップデートでは、アカウント固有の情報にアクセスし回答できる ようになりました。

イベントログやXOpsで検知したStoryを直接AIが確認することは2025年12月現在では難しいようです。
どのようにイベントログを確認して、どのような設定・調査をすべきかといった指南をするレベルにとどまっていました。


追加された機能の概要

  • アカウント固有の情報を参照可能
    Site(拠点)、ユーザ、接続状況など、Catoクラウド上の実データをもとに回答。
  • リアルタイムな状態確認
    「特定のユーザはオンラインか?」「このSiteのトンネルは正常か?」といった質問に即答。
  • Site情報:接続状態、帯域使用率、障害の有無
  • ユーザ情報:VPN接続状況、認証履歴

利用方法はこれまでと変わらず、CMAの右上「Ask AI」をクリックするとHelpウィンドウが展開します。一番上にAI Assistantへのメッセージ入力欄がありますので、そこから問い合わせするだけです。

適用されていると、以下のコメントが表示されます。

Advanced AI Assistant capabilities (account-specific answers) are now available as a free trial.


実際に試してみた質問とAIの回答

運用担当者が拠点の接続が不安定であると現場から問い合わせを受けた際の対応を想定して、次の質問をAIに投げてみました。


質問①:「AAA Office拠点の通信状況に問題がないか確認してください」

AIは過去24時間のネットワークパフォーマンスデータを取得し、以下のような詳細な回答を返してくれました。

CMAでの回答画面イメージ

全体的な状況:良好

診断結果
問題なし – AAA Office拠点の通信状況は概ね良好です。上りのパケットロス率が0.474%とわずかに高めですが、1%未満であり許容範囲内です。RTTとジッターは非常に優秀な値を示しており、ネットワーク遅延に関する問題はありません。

項目 測定値 評価
パケットロス率(上り) 0.474% ⚠️ やや注意(基準:良好 <0.1%、普通 0.1-1%)
パケットロス率(下り) 0.003% ✅ 良好
RTT(往復遅延) 2.0 ms ✅ 優秀(基準:良好 <50ms)
ジッター(上り) 1.0 ms ✅ 良好
ジッター(下り) 0.0 ms ✅ 優秀
平均スループット 96.1 Kbps
総データ転送量 1.08 GB

回答のポイント

  • 実測値を表形式で提示してくれるため、視覚的にわかりやすい。
  • 結論として「問題なし」と明確に示してくれるので、判断が早い。
  • WANインターフェースの情報まで含まれており、運用担当者にとって非常に有用。

このように、単なる数値の羅列ではなく、評価基準と結論まで提示してくれるのが大きな特徴です。従来の「管理画面を見て自分で判断する」作業が、AIによって大幅に効率化されます。


質問②:「一定間隔で通信断が発生します。調査観点と考えられる原因を教えてください」

AIは調査観点・原因候補・推奨手順まで整理した包括的なレポートを返してくれました。

現在の状況分析

  • 接続状態:接続中(connected)
  • 最終再接続理由:PoPサービスノードのファームウェア更新
  • トンネル稼働時間:約9.9時間
  • 過去24時間のイベント:PoP変更やHA役割変更なし

調査観点(4つの視点)

  1. 接続イベント履歴の確認(CMAのEventsで再接続理由や頻度を確認)
  2. ネットワーク品質メトリクスの時系列分析(パケットロス率、RTT、ジッターの変動を確認)
  3. インフラ設定の確認(Socketバージョン、HA構成、WAN冗長性)
  4. XOps Site Operations Storiesの確認(「Link is down」やSLA違反の記録を確認)

考えられる原因

  • 高確率:ISP側の問題、Azure vSocket環境特有の制約、PoP接続品質の変動
  • 中確率:Socket設定不備、冗長性欠如(HAなし、WAN1のみ)
  • 低確率:Socketソフトウェアのバグ、セキュリティポリシーの影響

推奨される調査手順

  • イベントログの詳細分析(最優先)
  • パケットキャプチャ取得
  • ISP品質確認とメンテナンススケジュール確認
  • 冗長構成(HA、セカンダリWAN)検討
  • 必要に応じてCato Supportへエスカレーション

回答のポイント

  • 考えられる原因に加えて、調査手順まで提示してくれる
  • 優先度付きの原因リストで、切り分けがスムーズに進めやすい

このレベルの回答が即座に得られることで、運用担当者の調査時間を大幅に短縮できます。従来なら「イベントログ確認 → KB検索 → 切り分け」という流れを自分で組み立てる必要がありましたが、AIがそのプロセスをガイドしてくれるのは非常に強力です。


質問③:「現場に確認したところ、Zoom会議中に音声や映像が途切れるとのことです」

AIは、Zoomアプリケーションのパフォーマンスデータとネットワーク品質を組み合わせて、以下のような詳細な分析を返してくれました。

Zoom通信品質の分析結果(過去24時間)

メトリクス 測定値 評価 閾値
平均TLSレイテンシ 17.4 ms ✅ 良好 <100ms
平均TCPレイテンシ 0.84 ms ✅ 優秀 <50ms
平均TTFB 22.6 ms ✅ 良好 <500ms
HTTPエラー率 0% ✅ 優秀
総トラフィック 45.9 GB

ピーク時の状況

  • 最大トラフィック発生時刻:2025-12-07 09:00 UTC
  • 下りトラフィック:95 GB/時(Zoom会議集中の可能性)

原因分析

  1. 上りパケットロス率 0.474%(Zoomのようなリアルタイム通信では、0.5%程度でも品質劣化が発生)
  2. ピークトラフィックによる帯域逼迫(複数Zoom会議が同時進行し、WAN1の帯域不足の可能性)
  3. ISP/アップリンク側の不安定性(Azure環境特有の問題やISP側の輻輳)
  4. QoS設定不足(Zoomトラフィックに優先制御が未設定)

推奨される対策

  • 即時対応:QoS設定でZoomトラフィックを優先化、WAN帯域確認
  • 中期対応:冗長構成(HA、セカンダリWAN)、ISP品質検証
  • 緊急時の一時対応:Zoom設定の最適化(ビデオ品質低下、画面共有解像度調整)

回答のポイント

  • ネットワーク層だけでなく、アプリケーション層のメトリクスまで分析
  • 原因の優先度付け+具体的な対策を提示

従来なら、Zoomの品質問題を切り分けるためにネットワーク分析+アプリケーションログ+QoS設定確認を手動で行う必要がありましたが、AIがそのプロセスを一括でガイドしてくれます。


レポートの出力

定期的にレポート出力を行う業務を想定して、次の依頼をしてみました。

質問:「過去2⽇間のネットワークヘルスチェックレポートを提⽰してください」

AIは自動で過去48時間のデータを集計し、サイトごとの品質評価・主要指標・要注意拠点の抽出・サマリーまで含むレポートを生成してくれました。

期間:2025年12月6日 05:13 UTC – 2025年12月8日 05:13 UTC
対象:全19サイト

サイト別ネットワークヘルス概要(抜粋)

サイト名 トンネル品質 上りLoss 下りLoss RTT(ms) 上りJitter(ms) 下りJitter(ms) 総スループット(bps) 総データ量(GB)
APAC Office Good 0.473% 0.002% 2 1 0 101,108 2.08
NewYork HQ Good 0.263% 0.100% 7 0 0 113,917 2.34
Seattle Branch Good 0.564% 0.0% 10 2 1 82,277 1.69
WestUS-HQ Fair 0.459% 0.068% 22 1 1 97,030 1.99
Lakeview DC Poor 0.531% 0.0% 158 1 0 28,082 0.58
Tapatio Farm Poor 0.444% 0.0% 172 1 1 27,871 0.57
Warsaw DC Poor 0.534% 0.0% 146 0 1 28,070 0.58

主要な発見事項(AIのハイライト)

  • 🔴 要注意サイト(Poor):8サイト(例:Tapatio Farm RTT 172ms、Lakeview DC RTT 158ms など)
  • ✅ 良好なサイト(Good):APAC Office(RTT 2ms)、NewYork HQ(スループット 113,917 bps)など
  • サマリー:Poor 42%(8/19)、Fair 26%(5/19)、Good 32%(6/19)。主因は高RTT、パケットロスは全体的に低水準(0.5%前後)

回答のポイント

  • 集計、評価、要注意な拠点を列挙している
  • Poor/Fair/Goodと品質を評価したのち、主要因を挙げてくれている

レポーティングはこれまではAPIを活用して、トラフィック情報を取得しデータ処理を行う必要がありましたが、AIの強化により、データの取得からその拠点の品質評価まで実施してくれるようになりました。

ただし、1か月間など長い期間を指定するとレポーティングは出来ませんでした。長期間の場合は現時点でのAIでは難しいようです。


おわりに

今回紹介した Advanced AI Assistant はいかがでしたでしょうか。アカウントの情報が見られるようになったことで、AIによって調べられる範囲がかなり広がったことを感じられたのではないでしょうか。

また、現在この機能は 無料トライアルとして利用可能ですが、今後有償になることも予想されます。無料期間中に、ぜひCMA右上の 「Ask AI」 をクリックして実際に試してみてください!

参考リンク

著者について
中川恭介

Catoクラウドエンジニアです。

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