CatoクラウドのIPSとNGAMについて

本記事の内容は、Cato Networks社の記事を元に日本語へ意訳し、再構成したものとなります。

CatoクラウドのIPSおよびNGAMは、標準サービスではなく、セキュリティオプション「Threat Prevention」に含まれるサービスとなります。

以前は、パターンファイルマッチングのマルウェア対策(Anti-Malware:AM)、機械学習エンジンを用いた振る舞い検知を含む次世代型のマルウェア対策(Next-Generation Anti-Malware:NGAM)不正侵入検知システム(Intrusion Prevention System:IPS)が、それぞれ3つのセキュリティオプションとして存在していましたが、AM、NGAMが、NGAMとして統合され、さらに2024年2月に、NGAMとIPSが、 Threat Preventionへ統合されました。

それでは、IPSとNGAMについてそれぞれ解説します。

Cato IPSについて

CatoクラウドのIPSは、既知および未知のエクスプロイトを利用する高度な脅威や攻撃から組織をリアルタイムに保護します。IPSによる保護は、インターネット、WAN、クラウドを含むすべてのトラフィックに適用され、ランサムウェアの配信や伝播、データの盗難を防止します。

リアルタイムAI/MLによるフィッシング&マルウェア対策

攻撃者は、レピュテーション(評判/風評)ベースの防御ツールを回避するために、ドメインスクワッティング(不正な目的でドメインを登録する)やドメイン生成アルゴリズム(Domain Generation Algorithms:DGA)のようなテクニックをしばしば使用します。CatoのIPSは、リアルタイム検査エンジンに複雑なAI/MLモデルを統合し、ドメインスクワッティングとDGAを検出します。脅威は、ディープラーニングモデルと、ドメインの人気度、年齢、文字パターンなどのデータポイントの相関関係を使用して識別されます。ファビコン(favicon)、画像、テキストなどのウェブページコンポーネントの分析により、ブランド偽装を検出します。
これまで事後分析でしか利用できなかったツールをリアルタイム防御に移行することで、防御の有効性と企業のセキュリティ態勢が劇的に改善されます。

ランサムウェア配信、C&C通信を防止

ランサムウェア攻撃を成功させるには、ランサムウェアの配信、攻撃者とのコマンド・アンド・コントロール(C&C)通信、そして最大の影響を与えるためのネットワーク全体への伝播が必要です。
Cato IPSは、インターネットとWANの両方のトラフィックを完全に可視化します。悪意のあるファイルのダウンロード、ランサムウェアや悪意のあるアクティビティに関連するドメインやIPアドレスへのアクセスをブロックすることで、マルウェアの配信やC&C通信を防止します。WAN全体への伝播は、横方向の移動パターンとインジケータの検出とブロックによって防止されます。
Cato IPSの包括的な可視化により、ランサムウェアの露出を減らすだけでなく、ランサムウェア攻撃の潜在的な影響を最小限に抑えることができます。

新たな脅威を迅速かつシームレスに緩和

企業は、新たなCVE(Common Vulnerabilities and Exposures:共通脆弱性識別子)からネットワークを保護するためのプロセス、リソース、および時間に苦労することがよくあります。Cato IPS は仮想パッチ適用機能を提供し、ミティゲーション(緩和/軽減)に要する時間が非常に重要な場合に、お客様のネットワークを迅速に保護します。Catoの専門家チームは、記録的な速さで新しいIPSルールを構築、テスト、展開し、お客様の関与を必要とすることなく、新しいCVEに迅速に対応します。この「仮想パッチ適用」により、企業は、影響を受けるシステムを更新し、パッチを適用している間、リスクの高い新たな脅威から保護されているという保証を得ることができます。

クラウドスケールのトラフィック検査

Catoクラウドは、クラウドネイティブアーキテクチャのパワーを活用し、TLS暗号化トラフィックを含むすべてのトラフィックを検査できる、伸縮性と拡張性に優れたIPSを提供します。大規模なクラウドコンピューティングリソースにより、シグネチャセットを微調整したり、IPSに送信されるトラフィックを制限したりする必要がありません。クラウドインフラストラクチャ、本社・拠点、リモートユーザーを含むすべてのロケーションとユーザーがCatoのIPSで保護されるため、FW/IPSアプライアンスの拡張やアップグレードが不要になります。Catoを使用することで、企業はリソースの制約により、一部のトラフィックしか検査できないIPSや、限られたシグネチャセットしか使用できないIPSを廃止することができます。

攻撃サーフェス削減のためのジオフェンシング

組織の攻撃サーフェスを削減する最も簡単な方法の1つは、組織がビジネス上やり取りする必要のない国をブロックすることです。CatoのIPSでは、すべてのユーザーとロケーションに適用される単一のグローバルポリシーで、特定の地域のトラフィック(インバウンド、アウトバウンド、またはその両方)を迅速にブロックできます。
※ジオフェンシングとは、特定エリアに仮想的なフェンス(柵)を作る仕組みです。

SASEを活用した専用ヒューリスティック言語

Cato IPSは、脅威や攻撃をリアルタイムで識別するためにヒューリスティック(経験則や先入観に基づき、直感で素早く判断)を使用します。ヒューリスティックは、実際のネットワーク・トラフィックに対して検証された一連の条件から構成されます。
CatoのSingle Pass Cloud Engine (SPACE)の一部であるCato IPSは、URL分類、アプリID、ターゲットリスクスコア、ターゲットの人気度、デバイスフィンガープリント、ユーザー認証など、スタンドアロンIPSソリューションが考慮できないデータを可視化します。
真のSASEコンバージェンス(収束)を活用するように設計された専用ヒューリスティック言語により、企業は脅威をリアルタイムで強固に防御することができます。

自動化されたAI管理型脅威インテリジェンス

最新の脅威インテリジェンスは、マルウェア、フィッシング、C&Cサイトに対するIPSの有効性、および誤検知による摩擦の低減が鍵となります。Cato IPSは、250以上の脅威インテリジェンスフィードからの情報を自律的に集約し、スコアリングする専用のAIベースのレピュテーションシステムを使用しています。このシステムは、フィード間の重複を継続的にマッピングしてクリアし、脅威記録の品質と関連性を測定し、実際のトラフィックへの潜在的な影響をシミュレートします。更新され集約されたブラックリストは、すべてのCato PoPに自動的に公開され、ほぼゼロの誤検知と顧客の関与なしに最新の保護を保証します。

 

Cato NGAMについて

ネットワークベースの次世代型マルウェア対策(NGAM)は、ファイルがインターネットや企業WANを経由して送信される際に、リアルタイムでマルウェアから組織を保護します。マルウェアは、高度なヒューリスティックと高度に訓練された機械学習アルゴリズムによって識別されます。

ゼロデイマルウェアからのリアルタイム保護

CatoのNGAMは、ゼロデイマルウェアとポリモーフィックマルウェアをリアルタイムで検出します。SentinelOneとの提携により、機械学習アルゴリズムが何千ものデータポイント間の接続をマッピングし、良性、疑わしい、または悪意のある判定を返します。リアルタイムのゼロデイマルウェア保護により、情報システム部に過度の負担をかけ、ユーザーエクスペリエンスを損なうレガシーのサンドボックスソリューションへの依存がなくなります。

きめ細かなポリシーとシンプルな例外コントロール

ポリシー管理は簡単で、管理者はインターネットやWANの宛先、送信元(ユーザー、IPアドレス、ホスト)、アプリケーションなどのコンテキストに基づいて、許可、ブロックのアクションを定義できます。スキャンの例外は、特定することも、アカウント全体に適用することもできます。CatoのNGAMを使用することで、企業はより厳格なセキュリティアプローチを採用することができ、ポリシーの変更がわずか数分でグローバルに反映されるため、ビジネスニーズを満たす俊敏性を維持することができます。

TLSインスペクションによる完全なマルウェア対策

最近のWebトラフィックの90%以上は暗号化されており、企業はそのトラフィックに脅威がないかは復号化して検査する必要があります。Catoクラウドは、TLS検査を大規模に実行するため、従来のセキュリティアプライアンスのようにサイズや規模を変更する必要がありません。検査ポリシーはきめ細かく適用できるため、企業は必要なだけのトラフィックを検査できます。TLSインスペクションを有効にすると、パフォーマンスへの影響はなく、Cato NGAMの完全な可視性により、すべてのトラフィックでマルウェアを検出してブロックすることができます。

ネストされたアーカイブと暗号化ファイルの保護

CatoクラウドのNGAMは、複数のファイルタイプをサポートし、ネストされたアーカイブファイル内の複数のレベルをスキャンすることができます。アーカイブファイルは、エンジンがファイルの全コンテンツにマルウェアがないことを確認するまで保持されます。暗号化されたファイルやパスワードで保護されたファイルはスキャンできませんが、ポリシールールによってブロックすることができます。これらの機能は、脅威者がセキュリティエンジンを回避するために使用するテクニックの1つに対処することで、組織の安全を確保するのに役立ちます。

常に最新の保護

CatoクラウドのNGAMは、すべてのファイルをワイヤスピードでスキャンし、Catoによって継続的に更新および最適化されるシグネチャおよびヒューリスティックデータベースに照らしてファイルを継続的に評価します。お客様は、従来のファイアウォールやUTMのマルウェア対策エンジンを置き換えることができ、固定アプライアンスのリソースの制約を受けることなく、すべてのファイルが包括的で最新のマルウェア対策データベースに照らして評価されるようになります。

 

まとめ

Catoクラウドのセキュリティオプション「Threat Prevention」に含まれるIPSとNGAMの記事をご紹介させていただきました。
Catoクラウドに少しでも興味をお持ちになられた方は、遠慮なくSCSKまでお問い合わせください。

SASE、Cato Networks社、Catoクラウド(Cato Cloud/Cato SASE Cloud)自体の知名度もまだまだ低い状況です。

SCSKでは、2021年からSASEの主要ソリューションを一同に紹介を行うオンラインセミナー「SCSK SASE Solution Summit(通称S4 エスフォー)」を定期的に開催しております。これまで14回開催し、1,800名以上の方にご参加いただいております。

S4については、次回2024年4月以降に開催する予定ですので、改めてご案内します。
来月、2024年3月14日に、Catoクラウドの主要機能を2時間・デモ形式でご覧いただけるセミナーを開催しますので、ご興味のある方は是非ご参加ください。

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SASE、Catoクラウドセミナー以外に、Catoクラウドのお客様導入事例の制作、FAQサイト運営、この TechHarmony(技術ブログ)で、皆様のお役に立て、Catoクラウドの知名度アップに少しでも貢献できればと考えております。

著者について

最近は、ゼロトラスト、特に SASE、Catoクラウドのエバンジェリスト活動が多くなっていますが、クラウドセキュリティ、CNAPP(CSPM/CWPP)、xSPMにも力をいれています

趣味はランニングです

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