CatoクラウドでPooledライセンスを使う

本記事は TechHarmony Advent Calendar 2025 12/15付の記事です

CatoクラウドのSD-WANライセンスにPooledライセンスが追加されてしばらく経ちましたが、2025年8月のメニュー改定で、これまで最低契約帯域が1000Mbpsだったのが100Mbpsから契約可能になったため、拠点数が少ないお客様にもPooledライセンスが身近な選択肢となりました。

今後、お客様の次回契約更新時にPooledライセンスへの切り替えが増えることが予想されますので、この記事ではあらためてPooledライセンスの概要と、CMAにおける実際のライセンス切り替え操作方法についてご紹介します。

あらためてPooledライセンスとは?

2025年12月現在、CatoクラウドのSD-WANライセンスには以下の4種類があります。(モバイルライセンスは除く)

No ライセンス種別 Socket 概要
1 Siteライセンス SASE 拠点接続の標準ライセンスで、接続帯域メニューが最小 25Mbpsから50M・100M・250M・500M・1,000M・2,000M・3,000M・5,000M、最大10,000Mがラインナップされています。
2 SSE 不要 CatoクラウドとIPsec接続するライセンス。Socketが不要なので安価にはなりますが、SD-WANの機能をフル活用できません。
vSocket接続ができないクラウド(2025年12月現在OCIなど)接続や、小規模拠点接続用。
3 Pooledライセンス 100Mbps以上の帯域をプール契約して、お客様ご自身で拠点に帯域を割り当てることができます。特に帯域幅が小さな拠点が多数あるネットワークではコストメリットがあります。
・初回契約時は100Mbps以上10M刻みで契約可能
・追加契約は100M単位で追加可能
・1拠点の最小割り当て帯域は10Mbps
・プール帯域の範囲内であれば、拠点の帯域割り当ての増減は自由(一時的に10Mbps→30Mbpsに帯域UPなど)
・お客様アカウント内でSiteライセンスとの同時利用は可能、但しSiteライセンスの拠点にプール帯域を追加することは不可
4 Cloud Interconnect
「旧称:Cross Connect」
不要 Cato版のAWS Direct Connect, Azure Express Route, OCI Fast Connectです。これらクラウドと専用線接続するライセンスです。(こちらは251Mbps以上のSiteライセンス契約が必須です。つまり500Mbps以上のSiteライセンスのご契約となります

では、Pooledライセンスを利用した事例をご紹介します。

Pooledライセンスを利用した例

実際には、Pooledライセンスだけで構成しているケースはほぼ無いと思われます。高帯域が必要な拠点もプール帯域で賄おうとすると費用も高くなるので、高帯域拠点はSiteライセンスにして、その他低帯域拠点はPooledライセンスにするパターンが一般的です。

以下の表は、34拠点を繋ぐネットワークで、Siteライセンスを中心に契約していたものを、契約更新時に低帯域拠点をPooledライセンスに変更する例です。

No5~7のSiteライセンスの合計帯域は1,000Mbpsですが、Pooledライセンスだと実際のトラフィック量に応じて設定できるので合計帯域は800Mbpsで済みます。また、No5~7の部分を弊社提供価格で試算すると、約40%のコストダウンになります。

また、ある拠点のトラフィック増に備えて合計1,000Mbpsを契約しても、それでも約30%弱のコストダウンとなります。1,000Mbpsを契約した場合200Mbpsの余剰があるので、ある支店のトラフィックが増えてネットワークが遅いという声が上がった場合は、20Mbpsを追加して70Mbpsにするなど、繁忙期の帯域増や営業所が増える場合もライセンスの追加契約が必要ありません。

No 拠点 用途/拠点規模 変更前 変更後
1 データセンター 社内システム Siteライセンス 100Mbps Siteライセンス 100Mbps
2 AWS 各種サービス利用 Siteライセンス 250Mbps Siteライセンス 250Mbps
3 OCI データベース Siteライセンス(SSE) 100Mbps Siteライセンス(SSE) 100Mbps
4 本社 社員数100名 Siteライセンス 100Mbps Siteライセンス 100Mbps
5 支店(全国10拠点) 社員数40~50名 Siteライセンス 50Mbps Pooledライセンス 50Mbps
6 営業所-a(全国10拠点) 社員数10~20名 Siteライセンス 25Mbps Pooledライセンス 20Mbps
7 営業所-b(全国10拠点) 社員数2~5名 Siteライセンス 25Mbps Pooledライセンス 10Mbps

ただし、拠点数や想定される割り当て帯域との組み合わせによっては、Siteライセンスのみを利用した方が安価になる場合もあります。
Pooledライセンスの場合は、現状のトラフィック利用状況に基づき、各拠点に何Mbpsを割り当てるかを決定して合計帯域を算出する必要があります。また、ある拠点はSiteライセンスで継続するか、あるいはPooledライセンスに切り替えるかなど、さまざまなパターンが考えられるため、検討すべき点が多く悩ましいところです。

続いて、Pooledライセンスに切り替える場合の具体的な対応内容をご紹介します。

Pooledライセンスへの切り替えの流れ

上記の34拠点のネットワークを例に、2月28日に契約が満了し3月1日に契約を更新する場合を想定します。このとき、支店・営業所30拠点分のSiteライセンスを解約し、代わりに800MbpsのPooledライセンスを契約するケースをシミュレーションしてみます。

大まかな流れは次の通りです。

  1. 3月1日に800MのPooledライセンスが付与される。(30拠点分のSASEライセンスは一旦そのまま利用可能)
  2. 3月31日までに、お客様作業にてSiteライセンスからPooledライセンスに切り替える。猶予期間は1ヶ月!
    切り替え作業に伴う通信断はない
    ので、業務時間中でも作業は可能。
  3. 切り替え済みのライセンス(unassign状態のライセンス)は自動で削除される

 

では、実際のCMAの画面で操作方法をご紹介します。
以降の図は、弊社の検証環境で操作したものです。切り替えのイメージをもっていただけると幸いです。

 

① 従来のSiteライセンスに加えて、50MbpsのPooledライセンスが付与された状態(Account > License でBandwidth)

 

 

 

 

② ライセンス切り替え前の状態(Siteライセンス25Mが割り当てられている)
(「該当Site」のSite Configuration > License)

③ License TypeでPooledライセンスを選択して、割り当て帯域30Mbpsを入力して「Add」ボタンを押下(その後Save)

数分でPooledライセンスに切り替わりますが、この間通信断はありません。

無事切り替えが終われば、あとは実際のトラフィック状況を確認して、割り当て帯域の妥当性をチェックしていけば良いかと思います。
将来は、AWS Auto Scalingみたいな「帯域が不足した拠点には自動で追加帯域が割り当てらる」ようになることを期待しています。

拠点のトラフィックが増えて帯域不足に!追加帯域を割り当てる

こんな事態になった場合、ライセンスの追加契約なしで帯域増ができるのがPooledライセンスのメリットです。
但し、Pooledライセンスに余剰があるのが前提です。

④ 20Mを追加して合計50Mを割り当てた状態(これで余剰帯域なしの状態)

トラフィック増が一時的なもので再び元の状態に戻ったら、追加した20Mは「ゴミ箱」から削除できます。
(元の30Mの削除もできます)

プール帯域の余剰がないと帯域ダウンができない!?

帯域を増減設定は、上記④のように「Add」と「削除」の操作になるので、帯域の余剰がない状態だと帯域ダウンする場合は要注意です。以下は、契約帯域を50Mbpsを全て割り当て済みの状態から30Mbpsにダウンする例です。

⑤ まず、契約しているプール帯域50Mを全てを割り当てた状態

⑥ 余剰がないので、割り当て帯域は選択できない

⑦ 割り当て済みの50Mを削除してもsaveができない。該当サイトをdisableにしないとダメと怒られる。

⑧ 該当サイトをdisableにすると、50Mを削除してsaveが押せるようになった。
 ※ただし、サイトをdisableにした時から当然通信断が発生

➈ saveするとライセンス未割り当て状態に。

⑩ 新規設定時と同様30Mを割り当ててsaveし、その後サイトをEnableにすれば帯域ダウンが完了!
※サイトをEnableにすると通信再開

このようなシチュエーションだと通信断ありきの作業になってしまうので、さすがにこれは受け入れられないと思われます。
ただし、Cato側でも既に仕様改善の動きがあるようなのでもう暫くするとアップデートにより改善されるはずです。

なお、現時点で余剰がない状況で帯域変更を行いたい場合は、ダミー(?)ライセンスを使って通信断なく帯域ダウンはできますので、
その際はご相談ください。

さいごに

今回は、Pooledライセンスについてご紹介してきました。
お客様毎にネットワークの色んな事情があるかと思いますので「うちにはPooledライセンスが合いそうだ」と思われたらお声がけください。
弊社では、SiteライセンスとPooledライセンスのベストな組み合わせから、将来の拡張を考慮してどういうライセンスの買い方が良いのかについてもご提案させていただきますので、よろしくお願いいたします。

著者について
takao.haruta

これまで数多くのお客様ネットワークについて提案から運用まで携わってきたネットワークおやじです。これまでの経験をもとにCatoクラウドに関する情報を発信していきます。

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