休日の障害でシステム停止?——LifeKeeperが防ぐ、見えないリスク

こんにちは、SCSK 池田です。

コロナ禍をきっかけとしてリモートワークが定着(最近はオフィス回帰も聞かれますが・・・)しましたが、セキュリティの観点で、特に個人情報を扱うシステムの運用保守では、オフィスからのシステム接続が厳密に定義されている会社も多いと思います。

本稿では、そのような状況で仮に休日に障害が発生したという身近なシナリオも含め、LifeKeeperを導入することのメリットを解説していきます。

第1章:「休日の障害」が招く現実的な危機

1.1 リモートワーク時代の新たな脆弱性

コロナ禍以降、多くの企業でITインフラの運用体制が変化しました。

通常の業務は、在宅からリモートで対応可能となりましたが、個人情報や機密情報を扱うシステムへのアクセスについては、セキュリティポリシーによりオフィス勤務が強いられるケースが少なくありません。

この「通常業務は柔軟、運用保守は制限」という構造が、予期せぬリスクを生んでいます。平日の日中であれば担当者がオフィスにいる可能性が高いため、障害発生から復旧開始までの時間は短く抑えられます。しかし、休日や深夜、長期連休中に障害が発生した場合、オフィスへの移動時間、集合までの時間、復旧作業の開始準備を含めると、実質的な停止時間は数時間から翌営業日まで広がります。

1.2 過小評価されがちなリスク、しかし深刻な損失

休日のシステム停止が報道されるような劇的な事象でないために、そのリスクは過小評価されがちです。しかし、実際の損失は無視できない規模に及びます。

顧客向けWebサービスであれば、休日の利用ピークを逃した機会損失。社内業務システムであれば、翌営業日の業務遅延による生産性低下。決済システムであれば、取引先への信頼損失と契約違反リスク。かつては「休日だから許容できる」とされた停止も、24時間365日稼働が当たり前となった現在では、単純な停止時間の羅列では捉えきれない影響を及ぼします。

さらに深刻なのは、担当者の心理的負担です。休日に緊急呼び出しを受け、オフィスに駆けつけ、焦りの中で復旧作業を行う状況は、人的ミスのリスクを高め、極端な話し、退職率の上昇にもつながりかねません。

第2章:LifeKeeperが実現する「止まらない」システム

2.1 自動フェイルオーバのメカニズム

LifeKeeperは、HA(高可用性)クラスタウェアの一種で、同一機能を持つ2台以上のサーバーをクラスタ構成にし、片方に障害が発生すると自動的にもう片方に処理を引き継ぐ仕組みを提供します。この「自動フェイルオーバ」により、人の手を介さずにシステムの継続稼働が実現します。

具体的な動作例を見てみましょう。サーバーA(稼働系)とサーバーB(待機系)がクラスタを構成している状態で、サーバーAに障害が発生すると、LifeKeeperは以下を自動実行します。

まず、サーバーAの稼働状況を監視するハートビート信号が途絶えたことを検知。次に、サーバーBがサーバーAの代わりに業務を引き継ぐ準備を整え、ストレージのアクティブ化、IPアドレスの移動、アプリケーションの起動を順次実施。通常数秒〜数分で、サーバーBが新たな稼働系として業務を継続します。

この一連の動作は、保守担当者がオフィスに到着するまでに完了しており、ユーザー側には「一時的なレスポンス低下」程度にしか感知されない場合がほとんどです。

2.2 休日障害における決定的な差異

項目 HA未導入の場合 LifeKeeper導入の場合
障害検知 監視システムのアラート(対応者不在の可能性) 自動検知、即時フェイルオーバ開始
復旧開始までの時間 オフィス到着まで数時間〜翌営業日 自動処理のため実質ゼロ
システム停止時間 数時間〜数十時間 数秒〜数分(フェイルオーバ時間のみ)
担当者対応 休日呼び出し、緊急出勤 翌営業日に切り替わり報告を確認
ビジネス影響 機会損失、信頼損失、業務遅延 最小限または実質なし
人的負担 極めて高い 軽減され計画的対応が可能

この表の通り、LifeKeeperの有無は単なる技術的選択ではなく、事業継続性と従業員の働き方に直結する経営判断といえます。

第3章:LifeKeeper導入の4つの効用

3.1 可用性の向上——数字に表れない安心感

LifeKeeperの可用性レベルは「フォールトレジリエント(稼働率99.99%)」と言われています。「稼働率99.99%」という数値は、年間停止時間52分という計算になります。しかし、LifeKeeperの真の価値はこの数字を達成すること以上に、「停止の心配から解放される」運用環境の実現にあります。

計画停止もHA構成により大幅に短縮できます。サーバーAでメンテナンス作業を行う際は、意図的にサーバーBに処理を移行し、作業完了後に元に戻す。これにより、顧客影響ゼロの計画的メンテナンスが可能となります。休日対応の負担軽減と相まって、運用チームの余裕が生まれ、より本質的な業務改善に注力できる環境が整います。

3.2 災害対策の強化——サイト全体の切り替えも

休日の単一サーバー障害にとどまらず、オフィス全体に及ぶ災害(火災、停電、水害など)への対応も、LifeKeeperは可能にします。地理的に離れた拠点に待機系サーバーを配置し、ディザスターリカバリーに対応した構成とすることで、広域災害時にもシステム継続が実現します。

ここでも重要なのは「人的対応の最小化」です。災害時にはオフィスへの物理的アクセスが困難な場合も多く、自動フェイルオーバの仕組みがなければ復旧開始そのものが遅延します。

3.3 コスト最適化——停止損失との比較で

LifeKeeper導入に伴う初期投資と年間ランニングコストは、決して無視できない規模です。しかし、これを1回の休日長時間停止による機会損失と信用失墜を金額換算し、さらに緊急対応の人件費(割増賃金、代替休日取得など)を加味すると、多くの企業で投資回収期間は意外に短いことが分かります。

3.4 組織的知見の蓄積——リプレース時の資産

LifeKeeperは導入後の運用フェーズで真価を発揮します。定期的な切り替え試験を通じて、フェイルオーバの動作確認と担当者の訓練が実施されます。このプロセスにより、システム構成の理解、障害時の対応手順、顧客連絡フローなどが組織として標準化されます。

第4章:導入検討のポイント

4.1 対象システムの選定

すべてのシステムに最高レベルのHAを適用する必要はありません。休日停止の影響が大きい順に、以下の観点で優先度を検討してください。

顧客接点システム(Webサービス、ポータル、決済)
社内基幹業務(受注、生産管理、在庫管理)
部門横断システム(メール、承認ワークフロー)
個人業務支援(開発環境、文書管理)

4.2 運用体制の整備

LifeKeeperの導入効果を最大化するには、導入と並行して運用体制の整備が必要です。定期的な切り替え試験のスケジュール、フェイルオーバ時の顧客対応フロー、担当者の教育計画をあらかじめ策定し、自動化された技術と人の対応が連携する体制を構築してください。

4.3 パートナー選定の重要性

HAクラスタウェアは導入が終わりではなく、運用が本番です。導入支援から継続的なサポートまで一貫して対応できるパートナーを選定し、長期的な可用性担保を実現してください。

おわりに:「当たり前」の裏にある設計

システムが休日も深夜も「当たり前に」動き続ける——この体験の裏には、技術的な設計と運用への投資があります。LifeKeeperはその実現のための選択肢の一つであり、特に人的対応に制約のある今の時代に、その価値は一層高まっています。

「有事の備え」としてのBCPではなく、「平常の安心」としての高可用性。ぜひこの視点で、ご自身のシステム環境を見直していただければと思います。

詳しい内容をお知りになりたいかたは、以下のバナーからSCSK LifeKeeper公式サイトまで

 

著者について
池田 雄介

中学時代にMSXを手に入れ、N88-Basicでのプログラミングを覚える。その後、ユーザ企業の情シスから社会人人生をスタート。一部署に1台程度しかパソコンが割り当たっていない時代に、Windows95のパソコンを全国展開、本社、支店、工場のLAN/WAN化を推進。WindowsNTサーバを弄りながら、当時、流行り始めたイントラネットや社外向けのサイト作成・運用など担う。
2002年に現在のSIerへ転職。2007年からオンプレミスや仮想環境を中心としたインフラ基盤の構築に携わり、2013年からLifeKeeperを担当。以来13年に渡り、LifeKeeperビジネスに携わってきた。
最近はGemini、ChatGPT、Copilotを駆使して業務効率アップを模索中
趣味は、ゴルフ、お酒を嗜むこと、ドライブなど

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