【CSPM】Cortex Cloudでレポート発行してみた

Cortexには、クラウド環境のセキュリティ状況を可視化・分析するための様々な機能が備わっており、「レポート機能」もその強力なツールの一つです。

日々変化するクラウド環境のセキュリティ状況を、ダッシュボードの画面確認だけで把握しきるのは容易ではありません。また、現場担当者がダッシュボードで日々監視を行っていても、その結果を定期的に集計してステークホルダーへ情報共有する作業は属人化しやすく、セキュリティ監視の価値が十分に伝わらない懸念もあります。

今回は、Cortexのレポート機能を活用して、クラウド環境のセキュリティ状況を構造化し、継続的に届けられないか検討してみました。

Cortex のレポート機能

Cortexのレポート機能は、クラウド環境やエンドポイントのセキュリティ状況を、定期的かつ自動的にレポート化して出力・配信できる機能です。

以下のような特徴があります。

柔軟なカスタマイズ性:豊富なウィジェット(部品)をドラッグ&ドロップで配置し、見せたい情報だけを自由に組み合わせできる
複数の出力形式:経営層への報告にそのまま使える「PDF」形式と、現場の対応リストとして加工しやすい「CSV」形式の両方に対応
自動配信と連携:日次・週次などのスケジュール生成に加え、メール配信やSlack連携が可能

本記事では、このレポートを作成・配信するまでの設定を、大きく以下の3つのステップに分けて解説します。

Define(基本設定・期間の定義)
Builder(ウィジェットの配置・デザイン)
Configure(配信スケジュールや出力先の設定)

レポート作成の構成

Cortexのレポート作成の3つのステップ(Define、Builder、Configure)について、具体的な設定項目を紹介します。

ステップ1「Define」:基本的な設定画面

レポートを起動すると、まずはレポートの骨組みを定義する「Define」のステップから始まります。ここでは、レポートの名称や、どの期間のデータを集計するのか、そして作成のベースとなる形式を選択します。

項目 説明
Report name レポートの名前
Description レポートの説明(任意)
Data timeframe レポートに含めるデータの期間

過去24時間、7日間、1か月、カスタムから選択可能

Report type レポートの作成方法(テンプレート使用 or ゼロから作成)

組み込みテンプレートの種類

組み込みテンプレートを使用する場合、目的に合わせて以下の種類から選択します。例えば、インフラ担当者向けには「ASSET INVENTORY」、経営層への報告用には「CLOUD SECURITY ASSESSMENT REPORT」といったように、ターゲットとなる読者を想定して選ぶのがポイントです。

テンプレート 用途
AGENT MANAGEMENT REPORT エージェント展開状況、ステータス、OS別内訳
CASE MANAGEMENT REPORT ケースとホストのトップ内訳、担当者別概要
ASSET INVENTORY REPORT アセットをアカウント/タイプ/場所別に集計
CLOUD SECURITY ASSESSMENT REPORT クラウドセキュリティ評価(PDF出力可能)
NTA REPORT ネットワークトラフィック分析の重要情報
DATA INGESTION REPORT データソースの取り込み状況とクォータ消費

 

ステップ2「Builder」:ウィジェットを配置する

ステップ2では、実際のレポートのレイアウトを作成します。左側のメニューには膨大な数のウィジェット(グラフや表の部品)がカテゴリ別に用意されており、それらを右側のキャンバスへドラッグ&ドロップして配置していきます。 以下にカテゴリ別の主要なウィジェットをまとめました。

🔍 Show(フィルタ)オプション

目的のウィジェットを探すためのフィルタ機能です。標準で用意されているものだけでなく、カスタムXQLクエリを記述して独自のウィジェットを生成することも可能です。

オプション 説明
All Widgets すべてのウィジェットを表示
XQL Query カスタムXQLクエリで自作ウィジェット

ウィジェット紹介

以下具体的なウィジェットの紹介です。

Cortexには多種多様なウィジェットが用意されていますが、今回はクラウド環境の設定不備やリスクを管理するCSPMの観点で、特に有用なものを4つのカテゴリに絞って選定しました。

ケース管理(Case Management)

インシデント(ケース)の発生状況や対応状況をまとめるウィジェット群です。SOCチームやセキュリティ担当者が、「どのホストが頻繁に狙われているか」「放置されている重大なアラートはないか」など、日々の対応の優先順位をつけるために不可欠なデータが揃っています。

ウィジェット名 用途
Open Cases 未解決ケースの累積数 
Open Cases by Assignee Over Time 担当者別未解決ケース推移
Open Cases by Severity 重要度別未解決ケース
Response Action Breakdown 対応アクション内訳
Top Hosts 重大度別トップホスト 
Top Open Cases 重要度別未解決ケース上位

クラウド・資産関連(Cloud/ASM)

組織が持つクラウド環境の全体像を把握するためのカテゴリです。マルチクラウドの利用比率の可視化や、管理の網から漏れている「シャドーIT」の特定など、インフラ管理者にとって非常に有用です。

ウィジェット名 用途
Accounts by Provider プロバイダー別アカウント数 
Assets Over Time 時系列アセット数
Assets by Category/Class/Provider/Region カテゴリ/クラス/プロバイダー/リージョン別アセット数
Cloud Providers Hosting Services 外部検出プロバイダー別サービス数
Common Misconfigurations/Vulnerabilities よくあるミス設定/脆弱性
Open Attack Surface Issues 外部公開資産のリスクの世界地図
Top Issues on Unmanaged Cloud Services 非管理クラウドサービスの課題
Total Unmanaged vs Managed Cloud Services 管理/非管理クラウドサービス比較
コンプライアンス(Compliance)

各種セキュリティ基準への準拠状況を評価するウィジェット群です。現在のセキュリティレベルを定量的な「スコア(%)」として示せるため、CISOや経営層への報告、あるいは監査対応の資料としてそのまま使える強力な機能です。

ウィジェット名 用途
Compliance Rate コンプライアンス率 
Compliance Rate Per Regulation 規制別コンプライアンス率
Most Violated Compliance Checks 違反多数のコンプライアンスチェック
Number of Checks by Status ステータス別チェック数
Number of Violations by Severity 重要度別違反数

レイアウト用ウィジェット

データを可視化するだけでなく、レポートを「読みやすい報告書」に仕立て上げるための装飾用ウィジェットです。

ウィジェット名 用途
Applied Filters 適用中フィルタ表示
Free Text 自由入力テキスト
Header レポートヘッダー(名前、説明、顧客名、テナントID、生成日)
Title カスタムタイトル
Widget Container ウィジェットグループ化

 

ステップ3「Configure」:配信設定画面

最後のステップでは、作成したレポートを「いつ」「誰に」「どのように」届けるかという、スケジュールと配信方法の設定を行います。

Schedule(スケジュール)3つの選択肢

オプション 動作 用途
Save as template テンプレートとして保存のみ 後で手動生成したい場合
Generate now 即座に生成 今すぐレポートが必要な場合
Schedule 定期生成をスケジュール 日次/週次/月次レポート

 配信方法

設定 説明
Email 配信先メールアドレスを追加
Slack チャンネルを選択
Attach CSV(CSV添付オプション) CSV化する特定ウィジェットを選択

レポート例

以下がテンプレート「CLOUD SECURITY ASSESSMENT REPORT」を実際に作成したレポートの画像です。

検出されたアラートの状況の重要度比率、タイプ比率、解決/未解決割合いなどを把握することができます。

運用時のレポート設定例

「セキュリティ担当者(現場)」「エグゼクティブ(経営層)」「クラウド管理者」という3つの視点で、レポートの設定例を作成してみました。

1. セキュリティ担当者(現場)

日々の運用では、膨大なアラートの中から「今日対応すべきもの」を瞬時に見つけ出す必要があります。そのため、期間を短く設定し、リスクの高い要素だけを抽出する構成にします。

目的:日次のセキュリティ対応状況を即座に特定し、アクションに移す

ステップ 項目 設定内容
Define Report Name Daily_Operational_Hygiene
  Data Timeframe Last 24H
  Report Type Create a new report from scratch
Builder 配置ウィジェット Agent Status Breakdown (停止端末の特定)

Open Cases by Severity (重要度の高いケースの放置確認)

Top Hosts (狙われている端末の特定)

Agent Upgrade Failure Reasons(要メンテナンス端末)

Configure Schedule Daily(毎朝 8:30 など業務開始直前)
  Distribution SOCチーム、セキュリティ実務者

 

  • ポイント:Top Hosts × Open Cases by Severity
    • 活用法: 「攻撃の標的になりやすいホスト」と「放置されている高深刻度アラート」をセットで見ることで、対応の優先順位を判断できます。

2. エグゼクティブ(経営層・CISO)

経営層に対しては、細かいアラートの数よりも「全体として安全なのか」「良くなっているのか」という傾向を把握できることが重要です。

目的:リスクの全体像とコンプライアンス準拠状況を把握する

ステップ 項目 設定内容
Define Report Name Monthly_Security_Posture_Report
  Data Timeframe Last 1M
  Report Type Use built-in templates(CLOUD SECURITY ASSESSMENT)
Builder 配置ウィジェット Compliance Rate (全体的な健全性指標)

Assets Over Time(管理対象の変化)

Configure Schedule Monthly(毎月1営業日の朝)
  Distribution CISO、部長、マネージャー
  • ポイント:CLOUD SECURITY ASSESSMENT REPORT(テンプレート)
    • 活用法: これをベースに月次レポートを作成。PDFで出力される「評価結果」は、専門知識がなくても「A判定」「B判定」のように直感的にリスクを理解してもらうための強力な武器になります。
  • ポイント:Compliance Rate × Assets Over Time
    • 活用法: 「資産が増えているのにコンプライアンス準拠率は維持(または向上)している」ことを示すことができます。

3. クラウド管理者(インフラ・プラットフォーム)

クラウドインフラの管理では、把握していない野良アカウント(シャドーIT)の発見や、マルチクラウド全体でのガバナンス状況の確認が重要です。

目的:シャドウITの排除と、マルチクラウドの資産ガバナンスを効かせる

ステップ 項目 設定内容
Define Report Name Cloud_Asset_Governance_Weekly
  Data Timeframe Last 7D
  Report Type Create a new report from scratch
Builder 配置ウィジェット Total Unmanaged vs Managed Cloud Services(野良環境の検知)

Accounts by Provider (プロバイダーごとのサービス利用比率)

Open Attack Surface Issues (外部公開資産のリスクを地図で確認)

Data Usage Breakdown(ログ取り込み量=コストの監視)

Configure Schedule Weekly(月曜の朝)
  Distribution クラウド推進部門、インフラ管理チーム
  • ポイント:Total Unmanaged vs Managed Cloud Services
    • 活用法: 管理外のクラウド利用(ASMで検知したもの)をあぶり出します。これを見て、「勝手に開発部署が立てたAzure環境」などを特定し、正規の管理下に置くための棚卸しに使えます。
  • ポイント:Accounts by Provider
    • 活用法:マルチクラウド環境(AWS/Azure/GCPなど)における利用比率をひと目で可視化できます。各プロバイダーに紐づくアカウント数を定期的にチェックすることで、組織全体のクラウド利用実態の把握に活用できます。

実際のレポート

Cloud_Asset_Governance_Weeklyレポートを実際に作成した画像が以下です。

今回は検出されませんでしたが、管理されていない環境やプロバイダーごとのサービス利用比率など確認できることがわかりました。

まとめ

今回は、Cortexのレポート機能と、その実践的な活用案について検証しました。
ダッシュボードによるリアルタイムな監視も重要ですが、レポート機能を活用することで、「現場のタスク化」や「経営層への可視化」が自動化され、セキュリティ運用の価値をより引き出すことができます。

弊社では、豊富な実績をもとにお客様の状況やご要件を丁寧にヒアリングしたうえで、お客様にとって最適なCortex Cloudの導入から設計支援、運用までをトータルでサポートしております。

「自社に合わせた運用フローやレポートを設計してほしい」「導入後の運用や社内展開に不安がある」など、Cortex Cloudについてお困りごとがございましたら、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。

【お問い合わせご相談窓口】 Email:cloud-security-tech@scsk.jp

 

著者について

Prisma Cloudを利用したクラウドセキュリティサービスの提供を担当しています。
Prisma Cloudは機能がいっぱいあるので細かい機能を勉強中。

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