次世代マイクロセグメンテーション Zero Networksとは?ネットワーク層のMFAで実現する真のゼロトラスト

次世代マイクロセグメンテーション Zero Networks についてご紹介します。

マイクロセグメンテーション(Microsegmentation)とは?

まず ”マイクロセグメンテーション” とは、2013年11月にVMware(現Broadcom)のNSXブログのネットワーク仮想化で「micro-segmentation」という用語が初めて使用され、その3年後の2016年に、ガートナーが「情報セキュリティ・テクノロジートップ10」でマイクロセグメンテーションが発表されたことで広く世間に認知されました。この時の定義は「エンタープライズネットワークのパブリック、プライベート、ハイブリッドクラウドインフラ全体で、より細かいゾーニング(zoning)を実装するための取り組み」とされていましたが、以下のように定義は変遷しています。

  • 2013-2014年:L2/L3セグメンテーションの延長として、単一L2セグメント上で分散ファイアウォールを使って細かく分ける技術
  • 2014-2016年:「より小さな単位(ときに個別VM)ごとに セキュリティコントロール(Security Controls)を行う」アプローチ
  • 2016年以降:ワークロード/アプリケーション単位の明示的通信制御、ホスト/ワークロードファイアウォールをエンフォースメントポイントとする詳細ポリシー

2009年にゼロトラスト(Zero Trust)を定義したフォレスターが「microperimeter(マイクロペリメーター/微小な境界防御)」という用語を使用していましたが、マイクロペリメーターを具体的に実現するためのネットワーク技術がマイクロセグメンテーションとされています。

 マイクロセグメンテーションとは、ネットワークを物理的・論理的な大きなゾーンではなく、ワークロード(サーバ、アプリケーション、デバイス)単位の細かなセグメントに分割し、セグメント間のすべての通信を明示的に許可または拒否することで、内部ネットワークの水平移動・横展開(ラテラルムーブメント)を防止し、リソース中心のセキュリティ制御を実現するアーキテクチャ。

 

Zero Networksについて

現在のサイバー攻撃者が圧倒的に有利な状況を覆し、主導権を防御側に取り戻すソリューションとして注目されているのが、Zero Networks です。
Zero Networksは、世界初SASEプラットフォームベンダーである Cato Networks社と同じく、サイバーセキュリティの中心地、イスラエルの企業です。
現在シリーズCでの累計調達額は1億ドルを突破し、売上高300%成長を記録。Global 2000に含まれる14のエンタープライズを含む350社以上に導入されています。

Zero Networks で特筆すべき点は導入実績の「質」と言われています。導入企業の約3割が銀行や投資銀行といった金融業界が占めており、その他にはエネルギー、製造、製薬といった、一秒の停止も許されない「オペレーショナル・レジリエンス(業務の強靭性・復旧力)」を最優先する業界で圧倒的な支持を得ています。
サーバ数台から、クライアントPCやIoT/OTを含む数万台規模のマイクロセグメンテーションを、単一プラットフォームでサービスが行える拡張性・柔軟性と信頼性が評価されています。

 

昨今のサイバーセキュリティ状況について

セキュリティの「壁」はすでに突破されている

昨年(2015年)の大手飲料メーカや、直近では冷凍食品メーカのランサムウェア被害が報道されていますが、サイバーセキュリティにおいて「境界を守れば安全である」という従来の境界型防御の概念は、もはや過去の遺物となっています。強固な「壁(=境界)」を築いたつもりでも、サイバー攻撃者は正規の鍵を使って玄関からどうどうと入ってきている、というのが私たちが直面している事実です。

企業のVPNを廃止し、ZTNAを導入し、正面玄関を廃止したとしても、海外拠点・グループ企業・サプライチェーン企業・保守事業者などにVPNが裏口として残り、攻撃者の侵入経路となっています。また、SASE(Secure Access Service Edge)を導入することで、WANを超える拠点間の侵入を防御することはできますが、拠点内部ネットワーク(LAN)の水平移動・横展開(ラテラルムーブメント)を防ぐことは困難です。

Zero Networks社が1年間にわたり、400超の企業環境で発生した3.4兆件というアクティビティを分析した結果、企業のセキュリティリスクの大半は、未知の脆弱性を突くような高度な攻撃ではなく「信頼されている通常のアクセス経路」を悪用されることで生じていることが分かりました。
ゼロトラストに向けて、エンドポイントセキュリティの強化や、SASE
を導入しても、サイバー攻撃者の侵入を100%防ぐことが不可能な時代に「封じ込めこそが新たな予防策となる(Containment is the new prevention)」というパラダイムシフトを受け入れる必要があります。
 
 
侵入から「1時間以内」にネットワークの心臓部へ
次に、一度でもサイバー攻撃者のネットワーク内部への足がかりを許すと、攻撃者の進行スピードは私たちの想像を超えています。内部ネットワークがいかに「オープン」で、攻撃者にとっての「Discovery(システム・サービス・権限の把握)」が容易かは、調査によると、攻撃者は有効な認証情報を使い回すことで、ホスト1台への侵入からわずか1時間以内にネットワーク内のほぼ全域に到達可能だと言われています。
具体的には、1ステップ目で内部システムの85%に、そしてわずか2ステップ目(1つのシステムから別のシステムへの移動)で、全システムの100%に到達できると言われています。
この驚異的なスピードは、単なる情報の窃取だけには留まりません。2026年3月のイランの攻撃グループ「ハンダラ(Handala)」によるワイパー攻撃のように、これまでのランサムウェアのような身代金目的の攻撃ではなく、数万台のデバイスを初期化して事業停止そのものを狙う破壊的攻撃も発生しています。
 
つまり、昨今の脅威動向においては、封じ込めまでの時間短縮と影響範囲の縮小化こそが、真の成功指標と言えます。内部環境が「誰でもどこへでも行ける」状態である限り、最初の侵害が、即座に組織全体の致命傷へと直結します。
 
 
たった「1%の管理用ポート」が、セキュリティ侵害の90%を引き起こす
ネットワークには65,535個のポートが存在しますが、リスクは極めて特定の1%にも満たない経路に集中しています。
ランサムウェア攻撃や攻撃ツールキットの主な侵入口となっているのは、SSHRDPWinRMRPC、そしてWMIやSMBといった「管理用ポート」です。
2024年に調査されたランサムウェア関連インシデントの90%において、RDP(ポート3389)が侵入経路となっていました。また、観測された脅威活動全体の71%が、これらわずか4つのプロトコルに依存しています。
 
ここには、情報システム部のIT運用部門とセキュリティ部門の深刻なジレンマが存在してます。IT運用部門は効率的な運用のためにこれら数個の特権ポートを開放し続けることが当たり前になっていますが、セキュリティ部門はそれらが「攻撃者の主要経路」になることを危惧しています。この「運用効率性と安全性のトレードオフ」という長年解決不可能と思われていた命題が、侵害拡大の最大の原因となっています。
 
 
アラートを増やすのは「逆効果」
多くの組織がEDR/NDRなどインシデント検知に多額の投資を行っていますが、アラート数を増やすことは必ずしもビジネスリスクの低減にはつながりません。むしろ、大量のアラートという「ノイズ」は、迅速な封じ込めを妨げる要因にさえなり得ます。
「アラート件数とビジネスリスクは整合しない」という事実を直視すべきであり、EDR/BDRの事後的なアラートは、サイバー攻撃者の進行を止めることも、影響範囲を縮小させることにも寄与しません。
 
つまり、アラート件数を増やすのではなく、サイバー攻撃者が水平移動・横展開(ラテラルムーブメント)できる経路を減らすべきであり、本当に優先すべきなのは、事後のアラート対応ではなく、事前の「封じ込め」です。
攻撃者がラテラルムーブメントできる経路そのものを物理的に断つことで、検知の網をすり抜けるような攻撃であっても、その破壊活動が拡散する前に隔離することが可能になります。
 
 
従来型のMFA(多要素認証)では防げない領域がある
強力な防御策とされるMFA(多要素認証)ですが、一般的に普及している「アプリケーション層のMFA」には、決定的な弱点があります。これらはNTLMやKerberosといったプロトコル上で実行されるため、攻撃者は認証が行われる「手前」の段階で、匿名や未認証のパケットによる脆弱性攻撃(エクスプロイト)を仕掛けることができます。管理用ポートが開放されている限り、認証レイヤーに到達する前の攻撃をアプリケーション側で防ぐことは不可能です。
 
これに対し、今回ご紹介する Zero Networksが特許を持つ「ネットワーク層のMFA(Network-Layer MFA)」はアプローチが根本から異なります。
Zero Networksは、管理用ポートをネットワーク層でデフォルト閉鎖し、デバイスを攻撃者から完全に「不可視」の状態にします。アクセスが必要な時だけ本人確認を行い、ジャストインタイム(JIT)でポートを一時的に開放します。これにより、認証前のエクスプロイトはもちろん、攻撃者の最初の一歩である「Reconnaissance(偵察行為)」そのものを不可能にします。攻撃者は見えないデバイスは攻撃することはできません。
 
 

Zero Networks のソリューションについて

ネットワーク層MFA

ネットワーク層MFA」とは、Zero Networksの特許取得済みのトランスポートレベルでのパケット制御とアイデンティティ認証を動的に結合する仕組みです。
 
項目
従来型MFA(IDベース)
Zero Networks(ネットワーク層MFA)
動作レイヤー
OSI第7層(アプリケーション)
OSI第3・4層(ネットワーク/トランスポート)
ポートの状態
恒久的に開放(ポートオープン)
デフォルトで完全閉鎖(ステルス化)
脆弱性保護
認証前のエクスプロイトには無防備
認証前にパケットを破棄するため保護が可能
偵察行為への応答
ポートスキャンに応答してしまう
スキャンに対して無反応(デバイスが消失)
アクセスの性質
常時接続可能
ジャストインタイム(認証時のみ開放)
ジャストインタイム(Just-In-Time)アクセスのフロー
  1. ステルス化:すべての特権ポートはデフォルトで閉鎖。攻撃者がネットワークをスキャンしてもターゲットは見つかりません。
  2. アクセス要求とMFA:管理者がアクセスを試みると、ネットワーク層でトラフィックが阻止され、即座にMFAによる本人確認が要求されます。
  3. 動的開放:MFAの認証成功後、その管理者のデバイスに対してのみ、特定のポートが期間限定で開放されます。
  4. 自動閉鎖:セッション終了後、または設定時間が経過すると権限は自動で取り消され、ポートは再び閉鎖されます。
このアプローチにより、脆弱性に対する緊急パッチが未適用の状態であっても、攻撃者はそもそも「入り口」にパケットを届けることすら不可能になります。

AI駆動型学習によるポリシー自動生成

数万台の資産に対して手動でマイクロセグメンテーションのルール(ポリシー)を作成のは現実的ではありません。Zero Networksは膨大な通信ログをAIで分析し、最小権限ポリシーを自動で生成します。
 
さらに、現代のアーキテクトが直面する最新のAIに関する脅威に対しても、以下の3つの柱で制御を提供します。
  • SaaS AIの制御:従業員によるChatGPT、Gemini、Copilot等の利用をネットワーク層で可視化・制御し、シャドーAIによるデータ漏洩を防止。
  • AIエージェントの制御:環境内で動作するAIエージェントに固有の識別子を付与し、最小権限の範囲内でのみ動作を許可。
  • LLMの保護:ネットワーク層でモデル基盤をセグメント化し、許可されたシステム以外からのバックドアの仕込みや改ざんを物理的に遮断。

エージェントレス型

Zero Networkの最大の特徴となりますが、これまでのレガシーなマイクロセグメンテーション・ソリューションとは異なり、エージェントレス」で実現することです。エージェント導入によるカーネルドライバ競合やOS再起動の心配をする必要がありません。また、スイッチと連携したマイクロセグメンテーションを行うことも可能で、産業制御システム(ICS)やIoT/OTへの対応が可能です。
エージェントレス、スイッチ連携により、数万台規模の環境においても、既存ネットワーク資産(スイッチ、FW、クラウドセキュリティグループ等)を統合制御することで、迅速に展開することが可能となります。
 
 

まとめ ~事業継続性を支えるマイクロセグメンテーションの未来~

Zero Networksの各種機能(ネットワーク層MFA、通信可視化、AIによるポリシー自動生成、エージェントレスなど)詳細は、改めて別の記事で紹介します。
 
サイバー攻撃の目的が「身代金(ランサム)」から「ビジネスの完全停止」へと激化しています。また、フロンティアAIで、従来の境界型防御の「壁」、つまりVPNやFirewallの脆弱性が大量に発見されており、それを悪用する攻撃プログラムが次々に作成され、攻撃スピードも大幅に加速されています
 
このようなサイバー攻撃に対し、境界型防御の壁へのパッチ適用や、EDR/NDRのアラート検知だけで立ち向かうのはもはや不可能といえます。ガートナーのハイプサイクルで「今後2年以内に主流化し、効果が極めて高い」と位置づけられ、CISAのガイドラインでもゼロトラスト基盤として推奨されるマイクロセグメンテーションこそが、唯一の防波堤となります。
 
Zero Networks が提供するのは、単なるファイアウォールではなく「攻撃を物理的に封じ込めるネットワーク」です。認証情報が盗まれ、ネットワーク内に侵入者が潜んでいることを前提としても、なお「事業を止めない」ための最終兵器、それが次世代マイクロセグメンテーションの真価です。
 
SCSKでは、2026年より Zero Networks を正式に取り扱いを開始しました。サービスの紹介・デモから、PoC/PoV、ライセンス販売、設計/導入(支援)、その後の運用支援までサービス提供を行っております。ご興味をもられたら、ぜひ当社までお問い合わせください。
 
Zero Networks|次世代マイクロセグメンテーション
侵入を防ぐだけでなく被害拡大を止める、次世代マイクロセグメンテーション
×
タイトルとURLをコピーしました