近年、RHELのライセンス変更の影響もあり、エンタープライズLinuxの選択肢として「Rocky Linux」に注目が集まっています。
本記事では、
・Rocky Linuxとは何か
・Amazon Linux / RHELとの違い
・AWSでの構築手順
・実務での使いどころと注意点
を整理し、本番利用を前提とした設計判断の観点をまとめます。
Rocky Linuxとは
Rocky Linuxは、RHEL(Red Hat Enterprise Linux)とのバイナリ互換を目指して開発されている無償のLinuxディストリビューションです。
CentOSの方針変更(CentOS Stream化)に伴い、従来の「安定版RHEL互換OS」の代替として登場しました。
Rocky Linuxは、RHEL(Red Hat Enterprise Linux)との高い互換性を持つ無償のLinuxディストリビューションであり、商用アプリケーションとの親和性が高い点が特徴です。また、約10年間の長期サポートが提供されるため、エンタープライズ用途においても安定した運用が可能です。開発はコミュニティ主導で行われており、CIQなどの企業による支援も受けながら継続的に改善されています。
設計観点では、RHELを前提としたミドルウェアやパッケージを利用する場合に有効な選択肢となります。一方で、RHELとは異なり標準での商用サポートは提供されないため、システムの重要度やサポート要件に応じて、外部ベンダーのサポート契約を含めた検討が必要となります。
Amazon Linux / RHEL との違い
| 観点 | Rocky Linux | Amazon Linux | RHEL |
|---|---|---|---|
| コスト | 無償 | 無償 | 有償 |
| AWS最適化 | AWS環境での利用は可能だが、専用最適化は限定的 | AWSが提供しており、EC2や各種サービスとの親和性が高く最適化が施されている | AWS上での利用は可能であり一定の最適化はされているが、Amazon Linuxほどの親和性はない |
| 互換性 | RHEL互換 | AWS独自ディストリビューションのためRHELとの完全互換ではない | 業界標準のディストリビューションであり互換性の基準となる |
| サポート | コミュニティ/外部 | AWS | RedHat |
| 安定性 | RHELのリリースに追従する形で安定した運用が可能 | AWS向けに最適化されているが、独自仕様による差異が存在する | 商用利用を前提としており非常に高い安定性が確保されている |
| サポート期限 ※詳しくは後述 |
メジャー版ごとに約10年サポート | 世代ごとに異なる(AL2 / AL2023) ※AL2023 |
長期サポート+延長サポートあり |
使い分け指針
Amazon Linuxが適しているケース
AWSネイティブ(ECS/EKS、Lambda連携)
運用負荷を下げたい
AWSサポートを重視
Rocky Linuxが適しているケース
RHEL前提のアプリケーションを使用
ベンダー指定OSがRHEL系
ライセンスコストを抑えたい
RHELが適しているケース
商用サポート必須
ミッションクリティカル
ベンダーサポート条件あり
サポート期限について
Rocky Linuxのリリースとサポート期間について
Rocky Linuxでは、各メジャーバージョンごとに「アクティブサポート」と「メンテナンスサポート」という2段階のサポート期間が定義されています。
まず、アクティブサポート期間は、当該バージョンに対して新機能の追加や機能改善が行われる期間を指します。この期間中は、バグ修正に加えてセキュリティアップデートも継続的に提供されます。
一方、メンテナンスサポート期間は、アクティブサポート終了後に続くフェーズであり、主に重大な不具合修正およびセキュリティ対策のみが提供されます。この期間中は新機能の追加は行われず、システムの安定運用を重視したアップデートが中心となります。
Rocky Linux
バージョンのリリースおよびサポート期限
| バージョン | リリース日 | アクティブサポート終了 | メンテナンスサポート終了 | 最終マイナーバージョン |
|---|---|---|---|---|
| Rocky Linux 10 | 2025年6月11日 | 2030年5月31日 | 2035年5月31日 | 10.1 |
| Rocky Linux 9 | 2022年7月14日 | 2027年5月31日 | 2032年5月31日 | 9.7 |
| Rocky Linux 8 | 2021年5月1日 | 2024年5月31日 | 2029年5月31日 | 8.10 |
AL2023
| フェーズ | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| 標準サポート | ~2027 年 6 月 30 日 | 四半期ごとにリリースのマイナーバージョン更新 |
| メンテナンスサポート | ~2029 年 6 月 30 日 | セキュリティ・重大バグ対応のみ |
Redhat10
| フェーズ | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| フルサポート | 2025年5月20日 ~ 2030年5月31日 | 機能追加・バグ修正・セキュリティ対応をすべて提供 |
| メンテナンスサポート | 2030年6月1日 ~ 2035年5月31日 | セキュリティ・重大バグ対応のみ |
| 延長サポート(任意) | ~2038年頃 | 重大なセキュリティ修正のみ(有償) |
AWSでRocky Linux 10 EC2を構築する手順
Rocky LinuxはAWS公式のデフォルトAMIとしては提供されていないため、MarketplaceまたはコミュニティAMIを利用します。
- EC2コンソールから、「インスタンス起動」画面を開きます。
- 「アプリケーションおよび OS イメージ (Amazon マシンイメージ) 」で「その他のAMIを閲覧する」をクリック

- 「AWS Marketplace AMI」タブで「Rocky Linux 10」を検索
- 「Rocky Linux 10 (Official) – x86_64」を選択

- サブスクライブ画面が開くので、内容を確認して、「サブスクライブ」をクリック

- これでRocky Linux 10 のAMIが利用可能になりました。
無償AMIでも利用規約が存在
AWS最適化はAmazon Linuxほど強くない
Rocky Linuxでは従来のRHEL系と同様にrsyslogが標準でインストールされており、/var/log/messagesをはじめとした従来形式のログ管理がすぐに利用できます。
実運用においては、Amazon Linux 2023を利用する場合でも、ログの可読性や既存運用との親和性を考慮して、rsyslogを追加導入し、/var/log/messagesベースでログを扱うケースが多い印象があります。そのため、Rocky Linuxのように初期状態からrsyslogが利用可能である点は、既存の運用フローを踏襲しやすいという意味で利便性の高いポイントだと思います。
まとめ
Rocky Linuxは、以下のようなケースで有効な選択肢です。
採用すべきケース
RHEL互換要件あり
コスト削減が重要
商用サポート不要
避けるべきケース
AWSフルマネージド中心
運用負荷を極力減らしたい
AWSサポートに依存
Rocky Linuxは「RHEL互換を保ちながらコストを抑えたい場合」に有効ですが、
AWSネイティブ環境ではAmazon Linuxの方が運用効率は高いと思いました。
そのため、要件に応じて適切に使い分けることが重要です。
