本記事は 夏休みクラウド自由研究2026 8/18付の記事です。 |
みなさん、こんにちは。SCSKの石井です!
最近、サイバーセキュリティの界隈を大きく震撼させているニュース、もう耳にされましたでしょうか?
そう、Anthropic社が発表した超自律型AIモデル「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」をめぐる騒動です。未知のゼロデイ脆弱性を一瞬で見つけ出し、エクスプロイトの作成からシステム侵入、ログ消去までを全自動・ミリ秒単位で完走してしまうという、SFのような脅威が現実のものとなっています。国内外の主要機関やメガバンクも対策に動き出していますが、この「AIが武器を手に入れた時代」において、従来のセキュリティ対策は根本的な見直しを迫られています。
これまで主流だった「侵入される前提(EDR:事後検知・対処)」という考え方は、AIの圧倒的な超高速攻撃の前では一瞬で突破されてしまうのです。では、我々はどう自衛すればよいのか?
本稿では、SCSKが自信を持ってお届けする「最強のエンドポイント防衛戦略」として、世界初のディープラーニング型予防ソリューション『Deep Instinct』と、次世代エージェントレス・マイクロセグメンテーション『Zero Networks』を組み合わせた、隙のない革新的な二重防衛シナジーをエンジニアの視点から徹底解説します!
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2026年、セキュリティは「侵入される前提(EDR)」の限界に直面している
現在のセキュリティ市場、特にエンドポイント分野において、「EDR(Endpoint Detection and Response)は必須である」という声は根強く存在します。しかし、AI脅威の本質を技術的に分解していくと、驚くべき不都合な真実が見えてきます。それは「EDRではAI時代のスピード感に構造的に追いつけない」という事実です。
なぜでしょうか? EDRの基本的なアプローチは「ファイルが実行され、システムに侵入した後の『疑わしい挙動』を動的に検知し、エージェントが隔離やプロセスの遮断を行う」というものです。つまり、後手の対策(リアクティブ)なのです。
これに対し、Claude Mythosのような自律型ハッキングAIや、攻撃に特化して高度に進化した悪意あるAIは、ミリ秒(1000分の1秒)単位の超高速で攻撃を完了します。脆弱性の自動検知から権限奪取、ランサムウェアによるファイル暗号化まで、人間や従来の検知ロジックが「おや、怪しい挙動があるな」と分析・アラートを上げている頃には、すでに攻撃は完走し、ログはきれいに消去されてしまっています。検知した時点ですでに『負け』が決まっている、これがAI時代におけるEDR限界説の厳然たる正体です。
経産省がゼロトラスト移行や脆弱性把握を重要インフラ事業者に強く要請し、金融庁が「AI脅威に対する金融分野のサイバーセキュリティ対策強化」を議論し始めている背景には、こうした「攻撃のスピードとスケールが一段引き上げられた」ことへの強い危機感があるのです。
第1の盾「Deep Instinct」:ディープラーニングによる『実行前の超予防』
この超高速攻撃に対して有効なのは、敵に1行のコードも実行させない、文字通りの「予防(プレベンション・ファースト)」しかありません。その予防をディープラーニング(深層学習)の極致によって実現したのが、世界初のディープラーニング型エンドポイントセキュリティ『Deep Instinct』です。
従来のアンチウイルス(EPP)や機械学習(ML)ベースのNGAVとの圧倒的な違いは、人間による特徴定義(シグネチャ)を一切必要としない、脳の構造を模したニューラルネットワークをベースとした「予測能力」にあります。Deep Instinct社は独自ラボにおいて、NVIDIAのGPUを駆使して1日数億、合計数十億ファイルを超える良性・悪性ファイルを演算処理し、自律的にマルウェアのDNA(特徴パターン)を規定する予測モデル「D-Brain」を作成しています。この数理モデルは非常に軽量(ディスク消費150MB未満、CPU使用率1%未満)で、オフライン環境でも動作します。
ファイルのバイナリデータを着弾した瞬間に静的解析(実行前スキャン)するため、未知のマルウェア、ゼロデイ攻撃、亜種、さらにはオフィスドキュメントに埋め込まれた悪質マクロや悪性のPowerShellスクリプトなども、実行される前の段階(わずか20ミリ秒未満)で99%以上の検知率で予測防御・遮断します。悪意あるプログラムをそもそも動かさない。これが、AI時代においてエンドポイント自体を鉄壁に保つための、第1の最強の盾です。
誰もが沈黙する「予防セキュリティの死角」:ファイルレス攻撃となりすまし侵入
「Deep Instinctでファイル実行を99%以上防げるなら、それでセキュリティは完成なのでは?」
そう思われた方も多いかもしれません。しかし、ここにサイバーセキュリティ業界の多くのプロフェッショナルが語りたがらない『盲点』があります。
それは、悪意あるプログラム(ファイル)を実行しない攻撃――すなわち、正規ツールやOS標準機能を悪用した「環境寄生型(Living off the Land)攻撃」や、「流出した本物の管理者認証情報を用いたなりすまし侵入」です。
攻撃者がフィッシングメールやVPN機器の脆弱性を突いて内部ネットワークの一角に侵入し、そこからドメイン管理者やローカル管理者の「有効な認証情報」を盗み出したとします。その後、攻撃者は正規のRemote Desktop(RDP)や、Remote PowerShell、PsExec、WMIといったOS標準の管理機能を使って他のサーバーやPCへ横移動(ラテラルムーブメント)を開始します。
この時、システム側から見れば、動作しているのは全て「OS標準の正規の機能」であり、ログインしているのは「本物の管理者アカウント」です。つまり、ここにはDeep Instinctがブロックすべき『マルウェアファイル』や『不正プログラム』は一切存在しません。ファイルが動かないため、エンドポイントの『予防』だけでは、このなりすましによる水平移動を検知・遮断することが極めて困難なのです。
ひとたびネットワーク内の他サーバーへの横移動を許せば、AD(Active Directory)が掌握され、グループ全体や重要システムへ一気にランサムウェアが展開され、壊滅的な被害をもたらします。
第2の盾「Zero Networks」:1ミリも移動させない『次世代マイクロセグメンテーション』
エンドポイント(端末)の予防を抜けてきた『流出アカウントの悪用』や『正規ツールの悪用による横移動(ラテラルムーブメント)』。
これらを完全に封じ込めるための革新的かつ唯一解となるソリューションが、次世代マイクロセグメンテーション『Zero Networks(ゼロネットワークス)』です。
Zero Networksは、社内のあらゆるIT資産(サーバー、PC、さらにはOT/IoT機器まで)の通信を学習・可視化し、デバイス間の通信制御ポリシー(必要な通信だけを許可し、それ以外をデフォルトブロックする環境)を自動設計して適用する、セキュリティのイノベーター(Fortune Cyber 60 Winner 2025受賞)です。
従来のマイクロセグメンテーション製品は、全ての機器にエージェントを入れる必要があり、既存環境へのシステム的な影響が大きく、ポリシー設計や運用管理のハードルが異常に高いのが課題でした。しかし、Zero Networksは以下の画期的な特徴により、その常識を完全に破壊しました。
① エージェントレスでの実装:WindowsにはWinRM、LinuxにはSSHというOS標準のリモート接続機能を用いてセグメントサーバーから標準FW(WFPやnftables)を直接制御。既存PCやサーバーにエージェントソフトを導入する必要がなく、性能劣化や再起動のリスクもありません。
② 30日間の自動通信学習:アセットを登録すると、ライセンスを消費せずにネットワーク内のトラフィックをグラフィカルに可視化。30日間の学習によって、どのような通信が必要か(業務通信、サービスアカウント等)を自動的に学習し、高精度な制御ポリシーを自動作成。不要なルールを自律的に排除します。
③ 特許技術「指定ポートに対するネットワークMFA(Just-In-Time MFA)」:これが最大の特徴です。管理者アクセス(RDP、SSH、WinRM等)に使用されるポートを、普段は『完全に閉塞(ブロック)』しておきます。管理者が接続しようとした瞬間だけ、Zero Networksが裏側で多要素認証(MFA:ブラウザやプッシュ通知、メールなど)を要求。認証が成功した時のみ、指定された時間を満了するまで、時限的(Just-In-Time)にポートを開放します。時間が経過すれば再び自動で閉塞されます。
この技術により、万が一、攻撃者がパスワードを窃取して管理者になりすまし、正規のRDPやPowerShellを用いて横移動を試みても、ポートがデフォルトで閉じられているため通信自体が拒否されます。さらに、ポートを開けようとした瞬間に管理者本人にMFAの承認要求が飛ぶため、攻撃者は他機器へ一歩も、1ミリも『横移動』することができず、その場で完全に孤立・鎮圧されるのです。
★超シナジー:『Deep Instinct』×『Zero Networks』が「最強」である理由
ここまで、Deep Instinct(ファイルの実行前予防)と, Zero Networks(侵入後の横移動完全ブロック)それぞれの強みを見てきました。
これら2つが融合したとき、なぜ「最強」と呼ばれる完璧なエンドポイント防衛網が完成するのか、そのシナジーをまとめましょう。
サイバー攻撃のライフサイクルは、大きく「初期侵入・実行」と「内部展開・横移動(ラテラルムーブメント)」に分けられます。従来の対策では、EDRによる「侵入後の見張りと人手による対処」に頼るしかありませんでしたが、これはAI時代の攻撃スピードの前には無力です。
しかし、我々が提唱するこの二重の防衛ラインを敷いた場合、攻撃者は完全に手詰まりとなります。
- 侵入・起動フェーズ(第1の盾):Deep Instinctによる『悪意の完全排除』
世界にまだ存在しないゼロデイウイルスや、AIが作成した新種のランサムウェアが端末に着弾したとしても、Deep Instinctのディープラーニング予測モデルが実行前に検知して20ミリ秒未満で完全隔離します。そもそもマルウェアをシステム内で起動させません。 - 水平展開・なりすましフェーズ(第2の盾):Zero Networksによる『物理的・論理的な封じ込め』
万が一、メールやUSB、持ち出しPC、あるいは流出した『本物のパスワード』を利用されて内部に侵入されたとしても、あるいはOS標準ツールを用いたファイルレス攻撃を仕掛けられたとしても、Zero Networksがラテラルムーブメントを完全にシャットアウトします。特権アクセスを狙う通信は普段はポートが閉ざされており、管理者本人のスマートフォン等での多要素認証(MFA)をパスしない限り絶対に繋がりません。
【比較表】主要な防御手段と防衛カバレッジの違い
| 防御アプローチ / 脅威シナリオ | 従来型アンチウイルス (旧世代EPP) |
一般的EDR製品 (事後検知) |
Deep Instinct (ディープラーニング) |
Deep Instinct × Zero Networks |
| 未知・ゼロデイマルウェアの実行 | ✕ (検知不可) | △ (侵入後に検知のみ) | ◎ (実行前に99%+自動予防) | ◎ (実行前に99%+自動予防) |
| AIによる超高速侵害・暗号化動作 | ✕ (防げない) | ✕ (対処スピードが追いつかない) | ◎ (実行前に20ms未満で遮断) | ◎ (実行前に20ms未満で遮断) |
| 流出アカウントによる正規RDP横移動 | ✕ (検知不可) | △ (怪しい挙動として検知のみ) | ✕ (ファイルがないため対象外) | ◎ (JIT MFAで通信そのものを遮断) |
| OS標準機能を使ったファイルレス攻撃 | ✕ (防げない) | △ (アラート検出するが手遅れ多発) | ◯ (悪意あるスクリプト等を予防) | ◎ (デフォルトブロック&横移動完全防止) |
まとめ:予測・未然防止とマイクロセグメンテーションによる新時代の防衛戦略
サイバー攻撃者がAIを手にし、ミリ秒単位で企業の最も強固なシステムを突破しようと画策している今、我々防衛側も「今までのやり方」に固執していては、企業の未来と重要な資産を守ることはできません。
『Deep Instinct』による、「そもそも悪意あるコードを一切起動させない」徹底的な実行前予防。
『Zero Networks』による、「万が一のアカウント窃取やファイルレス侵入時にも、1歩たりとも横移動させずその場で完全に孤立・封じ込める」ネットワーク制御。
この2つが組み合わさることで初めて、AI時代の超高速攻撃に対抗できる、隙のない究極のゼロトラスト二重防衛が実現します。後手後手に回り、毎日膨大なアラートの山に追われて『アラート疲れ』を引き起こすEDR運用から脱却し、予測予防による平穏な運用体制へとシフトすべき時が、まさに今来ているのです。
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